あんちゃん、俺、しあわせになりてえ

私たちは、元々親がおらず養護施設で育ちました。
3つ上の兄は中学を出るとすぐに鳶の住み込みで見習いになって、その給料はすべて貯金してました。
そのお金で私は私立の高校、そしてさほど一流でもありませんが大学へも行けました。

小さな会社ですが就職も決まり、兄への感謝を込めて温泉へ連れて行きました。
ビールで上機嫌の兄に、「あんちゃんありがとう、あんちゃんも遊びたかっただろう?」と言うと
「お前憶えてねえんか?『あんちゃん、俺、しあわせになりてえ』って小6のとき言ったろ?それで決めたんだ、なーんも辛くなかったどお前を『しあわせ』にしてやるのが俺の夢だったかんな」

自分ではそんなこと言ったなんて憶えてません。
思春期には、金髪で人相も悪く、クチャクチャと音をたてて食事する兄を恥ずかしく思い、
そんな兄に学校へ行かせてもらうことへの憤りすら感じてました。
その晩は23歳と26歳の兄弟が布団で抱き合って眠りました。
8年前のことですが、ネタじゃないんですよ
本当の話です。

あんちゃん (新潮文庫)

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2月 10, 2011 · 悲しい名無しさん · No Comments
Posted in: いい話

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