今日のオソロシア:ソマリア海賊漂流

ロシア海軍が5月初め、アフリカ・ソマリア沖で海賊に乗っ取られたタン カーを解放した際、拘束した海賊10人をゴムボートに放置し、死に至らせたとみられることが明らかになった。国防省が「海賊を裁く国際法の不備」を理由に “漂流刑”を正当化したのに対し、専門家からは「法的にも人道的にも問題だった」と反論が出ている。ソマリアの海賊が国際的な脅威となり、各国艦船が取り 締まりを強化している中で議論を呼ぶ事例となりそうだ。(モスクワ 遠藤良介)

問題となっているのはリベリア船籍の大型タンカー「モスク ワ大学」(10万6474トン)の解放作戦。露海軍は5月6日、大型対潜哨戒艇を現地に急派し、ソマリア海賊1人を射殺、10人を拘束してロシア人乗組員 23人を救出した。検察当局は当初、拘束した海賊らをモスクワに移送する考えを示した。

海軍はしかし、海賊から武器を没収した上でゴム ボートに乗せ、沿岸から約600キロの沖合で“釈放”。国防省はその後、ボートの発する信号が1時間後にレーダーから消え、海賊らは「死亡したとみられ る」と発表した。飲料水や食糧は与えたとしているが、ボートの測位システムは取り外してあったという。

国防省はこの措置について「海賊の 責任を問う国際法的な根拠がなく、海賊の国籍を確認することもできないため」と説明。政府機関紙ロシア新聞は(1)殺害が目的なら今回のような方法を取る 必要はない(2)イエメンやスーダンなどの沿岸国は海賊引き取りに消極的だ(3)事件は公海上で発生し、ロシア船籍でなかった-と海軍の行動を擁護した。

これに対し、有力誌ブラスチは「国連海洋法条約によれば、海賊を拘束した 国は自国の法に従って裁くことができる。国防省の論拠は全く批判に耐えない」と指摘。海軍が何らかの理由で拘束した海賊らを殺害してしまい、“漂流刑”で つじつまを合わせたのではないかといった憶測も紹介した。

ロイター通信によると、ソマリア「暫定政府」の情報省当局者は「海賊も公正な裁 判を受けねばならない。公海に捨てるのは唯一の選択ではなかった」と批判。沿岸都市、ホビョの海賊リーダーは「ロシア人の人質には露海軍がしたのと同じ対 応をとる」と報復を宣言しており、海賊側の行動がいっそう凶悪化する懸念も出ている。

ロシアは4月、国連安全保障理事会に海賊訴追の国際 裁判所を設置するよう求める決議案を提出、全会一致で採択されている。

【ソマリア沖の 海賊被害】国際海事機関(IMO)によると、ソマリア沖で頻発する海賊被害は2006年には31件だったが、09年は222件まで急増した。海賊によるロ ケット弾や自動小銃の使用も相次いで報告されており、商用船舶の乗っ取りによる身代金収入は年間8千万ドル(約72兆3700億円)にのぼるとの推計もあ る。

産経新聞

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毅然とした態度にもほどがあるな
やりすぎだが日本は少しだけ見習えよ



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