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歯形

865 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/06/28(木) 15:50
これは今から13年前に起きた出来事です。今ではあれが
何だったのか、、分かりません。幽霊であれば良いと
願っています。
 当時私は上京してきたばかりで右も左も分からない状態でした。
祖父からもらったぼろぼろの東京マップを手に、見知らぬ
都会をさまよいました。上京の理由は出稼ぎです。
 地方で職にあぶれていた私は遠い親戚を頼って来たのでした。
「職は知らんが住む場所なら安く提供してやろう」

叔父にあたる其の人は電話でしか話したことも無く、
まったくもって不安でした。普通なら不慣れな土地です。
迎えにきてくれてもよさそうなものだと思いませんか?
しかし今になって思えば、あのときの不安な気持ちは、
虫の知らせだったのかもしれません。

866 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 15:50
目的のアパートについたときは日が暮れかかっていました。
そこにはおばさんが立っていました。
「ようこそおいでました。お疲れでしょう。案内します」
私は案内されるがまま、その薄暗いアパートへと
入っていきました。入り組んだ場所に建っているだけで
なく、建物自体がさらに奥まったところへ伸びている為か
私はなにか、いいしれぬ圧迫感を感じました。
実際、日は暮れかかってましたが、まるで暗い洞窟に
入っていくような錯覚すら感じました。
小さなおばの背に止まっている蜂が妙に恐ろしく、
私は荷物を握り締め
「いやー、東京は始めてなので、人がおおくって」と
声を大きめに云いました。するとおばさんは振り向いて
「静かに!!!」と怒鳴りました。私はそのとき
そのおばさんが、女装したおじさんだと分かりました。

とっさの怒鳴り声が男の声だったのです。

私は意気消沈し、そのときは都会の恐ろしさを
感じました。今となってはそこが異常なところで
あったと自覚しています。

部屋は割と広く血なまぐさいのを除けば、文句が言いよう
が無かった。しかし東京の家賃は、いくら親戚価格で
提供してくれているといっても9万と高かった。
六畳が一間と床板のめくれた台所。水は耐えず濁っていた。
だが私専用のトイレは有り難かった。
しかし、といれの穴の奥からが一番血なまぐさかった。

867 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 15:51
おばさん、、いやおじさんの厚化粧はぎらぎらと
輝き、むっとする化粧の匂いがいつまでも吐き気を
催しました。そして化粧を落としてきたおじさんが
今度は何事もなかったかのように再び訪れて来て
挨拶をしました。
「遠いところご苦労様。所用で迎えにこれなくて
申し訳無い。。 女性が応対しただろう?
どうだった?」
「え?」「綺麗だったか?」そういうと小太りの
おじさんは私の目を除きこみました。アイラインと
言うのでしょうか?目のあたりがまだ化粧が落ちずに
残っていました。
「なんとも、、」あいまいに口だけで返事すると
おじさんはあからさまに機嫌が悪くなりました。
部屋に漂う鉄っぽい血のような香りと、私の脂汗と
おじさんの化粧の匂いが風も無い六畳に
充満していました。その夜、備え付けのほこり
臭く、ゴワゴワした布団に入っていると部屋の中に

思い出して気分が悪くなってきたので続きます。
続かないほうが良いかな、、。

873 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:46
部屋の中に、複数の動く物があります。気配というか、音というか、、
匂いと言うか、、とにかく何かが私のふとんの周りにいるのです。
しかし、私は強引に目を瞑って眠りました。相当疲れてもいたようです。
 次の日、いくつかの場所をあたってバイトを探しました。
しかし、なかなかに見つからず喫茶店でコーヒーを頼み、
街の喧騒に怯えながら小さくなって寂しい思いでした。
 、、、、ふと、私は自分のコーヒーカップを持つ手首に目がとまりました。
、、、、、、歯型?

 良く見ないと気づかない、しかしはっきりと歯型がついていました。
私は寝ぼけて噛んだのだろう。と思いこみました。
私のものよりはるかに小さな歯型がついた手で飲むコーヒーは不味かった。
正直、帰りたかった。

 しかし帰る場所はアパートでした。おじさんに会うのではないか?と
怯えながら部屋に足早に戻り鍵をかけました。
 血なまぐささは幾分、収まりましたが、、化粧の匂いが新しく残り香として
部屋に漂っていました。
 其の夜。

私がたくさんのよだれのついた布団をかぶり眠っていると、
またも、いくつかの気配が感じます。猫か?そう思いますが
私は熱帯夜のような(実際にはまだ夏ではなかったです)蒸し暑さの
中で汗をたらしながらも布団の中でふるえていました。

874 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:47
しかし私は逆に耐えきれず暗闇の中、ふとんからいきなり手を出し、
その黒い塊のほうへブン!と布団を持って払いました。
気のせいだと確かめたかったのです。しかし、私の手の甲はある冷たい
物にぶつかり、それは勢い良く壁にぶつかり畳に転がったようでした。
私は手に感じた感触に背筋が凍りました。昔、若い頃、喧嘩をして
殴った頬の感触と同じだったからです。黒い塊がころころと
転がってとまりました。そのときふいにそれが人間の頭部であると
理解出来ました。その刹那「ここどこ!!」突然それが低いドスの聞いた声で
叫びました。私は気を失ったようです。

目覚めると、たくさんの頭部は消えてました。私は汗びっしょりだったので
体を吹くためにシャツを脱ぎました。そして驚愕しました。
全身、歯型だらけだったのです。、、、、自分でねぼけてやったのでは
ありません。その証拠に私の頬に血が出そうなほどの歯型がついていました。
しかも、その歯型は大きいのから小さな小さな物までさまざまでした。
私は悲鳴をあげて出ていこうとしましたが、髭をそるのは忘れませんでした。

 おばさんおじさんは現れませんが、私はどんどん追いこまれていきました。
実際、このころの私は今思っても行動がおかしいです。
その最たる理由は相変わらずその部屋で寝てたことでしょうか。

875 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:47
私の体重は10キロ以上減り、傍目から気味悪がられるほど青白くなって
いました。そのせいか仕事もまったく見つからず、疲れ果てて帰るという
毎日でした。歯型は1日消えることなく全身に及び。
 面接官のひとりから、その歯型は?と質問されましたが
さしてうまい良いわけも見つからずそのまま「噛まれてるようですね」と
言ったところ苦笑されました。彼女にやられたとでも思ったのでしょうね。

しかし私の限界は近くなっていました。幻が見えるようになり、
歯型をかくすため全身に包帯を巻いたりもしました。
そのくせ表を出歩き、見知らぬ人に「おはようございます!」などと
大声で言ったりしてました。気が狂う直前だったようです。

 その夜はおじさんからのさし入れと書いてあり
栄養ドリンク剤が部屋においてました。私は疲れていたので
遠慮なくゴクゴク飲みました。そして私はいつもより深い眠りにおちたようです。
そのおかげか夜中に目が覚めたときすっきり頭がさえてました。そして
私の体にとりついている10数個の黒い塊が私を噛んでいる事が、
異常だとはっきりづいたのです。怖がってる場合じゃない。と。
まぁそうですね。。そう思ってる私は冷静なつもりでしたが、
ピークにたっしていたのでしょう。
ムクっと置きあがると暗い部屋の中で黒いかたまりがズズズっと
畳を転がるように進み台所に消えていったのを感じました。

876 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:48
私は「待てぇ!!!」と今まで上げたことの無いような声を上げると
台所に行きました。そしてそれらの影がなぜかといれに逃げた
ような気がしてトイレにかけこみました。トイレは和式でしたが
中は真っ暗です。電気をつけようとしましたがつかず、
私は荷物箱をひっくり返し懐中電灯を手にしました。

そして笑いながらトイレの中にライトを向けました。。
闇に照らし出される、、汚物、、目を凝らすとウジがうごめいてるのが
分かります。そして其の中に、、うつろに見上げるたくさんの
頭部が私を見上げていました。私の糞尿にまみれて。。。

 ぎゃぁああああ。私は悲鳴を上げ、なぜか帽子を手にとると
下着姿のままドアを蹴破るように飛び出しました。
ぎゃ!!ドアの向こうに誰かがいたようでした。振り向くと
女装したおじさんがマスターキーと、、包丁をもって倒れていました。
「いきなり開けるな!!」そう怒鳴られ私は無償に腹が立ち
近くの石をどんどん投げつけました。
おじさんは悲鳴をあげうずくまりました。私はいつしか投げている
石が人の頭であることに気づきました。それらがおじさんに
どんどん噛みついています。私は怖くなり、アパートを飛び出しました。

877 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:48
 あれ依頼、おじとは連絡をとっていませんし、連絡も来ません。
あの頭部が幽霊であってほしいと思っています。そうじゃないと私は
あのアパートにいる間、ずっと毎日、糞尿を、、、。

あれから13年がたち、今では遠い記憶になりましたが
私の首元に残る一つの歯型はしばらく消えませんでした。
私が殴った頭部だったのでしょう。


真夜中の少年

自分の話(怖くないけど)を。
数年前に友達とドライブに行った時の事。
結構盛り上がって帰る頃には夜中の2時を回っていた。
車も人も全く通らない道路を走っていると前方に人影が。道路の真ん中をフラフラと歩いている。
最初は酔っ払いかと思ったが近づいてみると小学生の子供だった。
こんな夜中に?
瞬時に俺らは楽しい気分が吹っ飛んだ。多分誰もが「幽霊か?」と思ったと思う。
スピードを落としてよく見るとちゃんとした人間のようだった。
そのまま見過ごすのは不憫だと思った俺らは車を止めて少年に近づいた。
俺が車を降りて「何してるの?」と聞くと少年はボソッと「遊んでた・・・・・」

夜中の2時に子供が遊んでいた?

その時点でかなり怖かったんだけど一応送る事にした。
車に乗せて話を聞いても要領は得ない。なんと言ってもその少年が終止無表情だったのが
ゾッとした。とくにその目。俗に言う「ガラス玉のような目」に始めて遭遇した。
その時の印象は「ああ、この子は人を信用してないんだな」というものだったな。
しばらく走ったところでそのこが「ここで良い・・・・」と言うので降ろした。
「本当にここでいいの?家まで送る?」と聞いてはいたが内心はホッとしていた。
後から友達にその時の話をするとみんなかなり怖かったらしい。
 ただの少年にここまで恐怖するとは思っても見なかった。
最初に浮かんだ言葉は「虐待」と言う言葉だった。
親に虐待されて完全に人を信用してないとああいう「目」をするのかなと思うと悲しくなった。


クレヨン

不動産屋で働く友人から聞いた話。

その友人が担当するマンションの空室に
一部屋だけ他と雰囲気の違う部屋があった。
その部屋に入ると、いつもなにか違和感を感じていたのだが、
ある日その部屋の廊下が、他の部屋より1m位短いことに気づいた。
他の部屋よりも短い廊下が、いつもこの部屋で感じる違和感の原因なのかと
友人は思ったそうだ。
しかし、なぜ短いのだろうかと思い、廊下の突き当たりの壁を叩いてみると
どうやら本来の壁と、今叩いている壁との間に空間があるようだった。
イヤな予感がした友人は支店長の許可をもらい管理人と一緒にその壁を壊してみた。

友人:「白骨死体でも出てきた方がスッキリしたんだけどさ。」

でも実際は、その空間の壁一面にびっしりと赤いクレヨンで
“お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん・・・・”
と書かれていた…そうだ。


旅館の求人

丁度2年くらい前のことです。旅行にいきたいのでバイトを探してた時の事です。
暑い日が続いてて汗をかきながら求人をめくっては電話してました。
ところが、何故かどこもかしこも駄目,駄目駄目。
擦り切れた畳の上に大の字に寝転がり、適当に集めた求人雑誌を
ペラペラと悪態をつきながらめくってたんです。

不景気だな、、、節電の為、夜まで電気は落としています。
暗い部屋に落ちそうでおちない夕日がさしこんでいます。
窓枠に遮られた部分だけがまるで暗い十字架のような影を
畳に落としていました。 、、遠くで電車の音が響きます。
目をつむると違う部屋から夕餉の香りがしてきます。
「カップラーメンあったな、、」私は体をだるそうに起こし
散らかった求人雑誌をかたずけました。ふと、、偶然開いたの
でしょうかページがめくれていました。

そこには某県(ふせておきます)の旅館がバイトを募集しているものでした。
その場所はまさに私が旅行に行ってみたいと思ってた所でした。
条件は夏の期間だけのもので時給はあまり、、というか全然高くありません
でしたが、住みこみで食事つき、というところに強く惹かれました。
ずっとカップメンしか食べてません。まかない料理でも手作りの
ものが食べれて、しかも行きたかった場所。
私はすぐに電話しました。

「、、はい。ありがとうございます!○○旅館です。」
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
「え、少々お待ち下さい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ザ、、、ザ、、ザザ、、、
・・い、・・・そう・・・・だ・・・・・・・・」
受けつけは若そうな女性でした。電話の向こう側で低い声の男と(おそらくは
宿の主人?)小声で会話をしていました。私はドキドキしながら
なぜか正座なんかしちゃったりして、、待ってました。やがて受話器をにぎる
気配がしました。
「はい。お電話変わりました。えと、、、バイトですか?」
「はい。××求人でここのことをしりまして、是非お願いしたいのですが」
「あー、、ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。いつから
これますか?」
「いつでも私は構いません」「じゃ、明日からでもお願いします。すみません
お名前は?」「神尾(仮名)です」「神尾君ね。はやくいらっしゃい、、、」

とんとん拍子だった。運が良かった。。私は電話の用件などを
忘れないように録音するようにしている。再度電話を再生しながら
必要事項をメモっていく。住みこみなので持っていくもののなかに
保険証なども必要とのことだったのでそれもメモする。
その宿の求人のページを見ると白黒で宿の写真が写っていた。
こじんまりとしているが自然にかこまれた良さそうな場所だ。

私は急にバイトが決まり、しかも行きたかった場所だということも
あってホっとした。しかし何かおかしい。私は鼻歌を歌いながら
カップメンを作った。何か鼻歌もおかしく感じる。日はいつのまにか
とっぷりと暮れ、あけっぱなしの窓から湿気の多い生温かい風が
入ってくる。私はカップメンをすすりながら、なにがおかしいのか
気付いた。
 条件は良く、お金を稼ぎながら旅行も味わえる。女の子もいるようだ。
旅館なら出会いもあるかもしれない。だが、何かおかしい。
暗闇に窓のガラスが鏡になっている。その暗い窓に私の顔がうつっていた。

なぜか、まったく嬉しくなかった。。理由はわからないが
私は激しく落ちこんでいた。
窓にうつった年をとったかのような生気のない自分の顔を見つめつづけた。

次の日、私は酷い頭痛に目覚めた。激しく嗚咽する。風邪、、か?
私はふらふらしながら歯を磨いた。歯茎から血が滴った。
鏡で顔を見る。ギョッとした。目のしたにはくっきりと墨で書いたような
クマが出来ており、顔色は真っ白。、、、まるで、、、。
バイトやめようか、、とも思ったが、すでに準備は夜のうちに整えている。
しかし、、気がのらない。そのとき電話がなった。
「おはようございます。○○旅館のものですが、神尾さんでしょうか?」
「はい。今準備して出るところです。」
「わかりましたー。体調が悪いのですか?失礼ですが声が、、」
「あ、すみません、寝起きなので」
「無理なさらずに。こちらについたらまずは温泉などつかって頂いて構いませんよ。
初日はゆっくりとしててください。そこまで忙しくはありませんので。」
「あ、、だいじょうぶです。でも、、ありがとうございます。」
電話をきって家を出る。あんなに親切で優しい電話。ありがたかった。
しかし、電話をきってから今度は寒気がしてきた。ドアをあけると眩暈がした。
「と、、とりあえず、旅館までつけば、、、」
私はとおる人が振りかえるほどフラフラと駅へ向かった。

やがて雨が降り出した。
傘をもってきてない私は駅まで傘なしで濡れながらいくことになった。
激しい咳が出る。「、、旅館で休みたい、、、、」
私はびしょぬれで駅に辿りつき、切符を買った。そのとき自分の手を見て驚いた。。
カサカサになっている。濡れているが肌がひび割れている。まるで
老人のように。「やばい病気か、、?旅館まで無事つければいいけど、、」

私は手すりにすがるようにして足を支えて階段を上った。何度も休みながら。
電車が来るまで時間があった。私はベンチに倒れるように座りこみ
苦しい息をした。。ぜー、、、ぜー、、、声が枯れている。
手足が痺れている。波のように頭痛が押し寄せる。ごほごほ!咳をすると
足元に血が散らばった。私はハンカチで口を拭った。血がベットリ。。
私は霞む目でホームを見ていた。
「はやく、、旅館へ、、、」
やがて電車が轟音をたててホームにすべりこんでき、ドアが開いた。
乗り降りする人々を見ながら、私はようやく腰を上げた。腰痛がすごい。
フラフラと乗降口に向かう。体中が痛む。あの電車にのれば、、、、
そして乗降口に手をかけたとき、車中から鬼のような顔をした老婆が
突進してきた。

どしん!私はふっとばされホームに転がった。老婆もよろけたが
再度襲ってきた。私は老婆と取っ組み合いの喧嘩を始めた。
悲しいかな、相手は老婆なのに私の手には力がなかった。
「やめろ!やめてくれ!俺はあの電車にのらないといけないんだ!」
「なぜじゃ!?なぜじゃ!?」
老婆は私にまたがり顔をわしづかみにして地面に抑えつけながら聞いた。
「りょ、、旅館にいけなくなってしまう!」
やがて駅員たちがかけつけ私たちは引き離された。
電車は行ってしまっていた。私は立ち上がることも出来ず、人だかりの
中心で座りこんでいた。やがて引き離された老婆が息をととのえながら言った。
「おぬしは引かれておる。危なかった。」そして老婆は去っていった。

私は駅員と2~3応答をしたがすぐに帰された。
駅を出て仕方なく家に戻る。
すると体の調子が良くなってきた。声も戻ってきた。
鏡を見ると血色がいい。
私は不思議に思いながらも家に帰った。

荷物を下ろし、タバコを吸う。
落ちついてからやはり断わろうと旅館の
電話番号をおした。すると無感情な軽い声が帰ってきた。
「この電話番号は現在使われておりません、、」
押しなおす
「この電話番号は現在使われておりません、、」

私は混乱した。まさにこの番号で今朝電話が掛かってきたのだ。
おかしいおかしいおかしい。。。
私は通話記録をとっていたのを思い出した。
最初まで巻き戻す。

、、、、、、、、、キュルキュルキュル、、、、、     ガチャ

再生
「ザ、、、ザザ、、、、、、、、はい。ありがとうございます。○○旅館です。」
あれ、、?私は悪寒を感じた。若い女性だったはずなのに、声がまるで
低い男性のような声になっている。

「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
「え、少々お待ち下さい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ザ、、、ザ、、ザザ、、、
・・い、・・・そう・・・・だ・・・・・・・・」
ん??
私はそこで何が話し合われてるのか聞こえた。
巻き戻し、音声を大きくする。
「え、少々お待ち下さい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・ザ、、、ザ、、ザザ、、、
・・い、・・・そう・・・・だ・・・・・・・・」
巻き戻す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ザ、、、ザ、、ザザ、、、
、、むい、、、、こご、そう・・・・だ・・・・・・・・」
巻き戻す。
「さむい、、、こごえそうだ」
子供の声が入っている。さらにその後ろで大勢の人間が
唸っている声が聞こえる。
うわぁ!!私は汗が滴った。。
電話から離れる。すると通話記録がそのまま流れる。

「あー、、ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。いつから
これますか?」
「いつでも私は構いません」、、、

記憶にある会話。しかし、私はおじさんと話をしていたはずだ。
そこから流れる声は地面の下から響くような老人の声だった。
「神尾くんね、、はやくいらっしゃい」

そこで通話が途切れる。私の体中に冷や汗がながれおちる。
外は土砂降りの雨である。金縛りにあったように動けなかったが
私はようやく落ちついてきた。すると、そのまま通話記録が流れた。
今朝、掛かってきた分だ。
しかし、話し声は私のものだけだった。
、、、、、、

「死ね死ね死ね死ね死ね」
「はい。今準備して出るところです。」
「死ね死ね死ね死ね死ね」
「あ、すみません、寝起きなので」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
「あ、、だいじょうぶです。でも、、ありがとうございます。」

私は電話の電源ごとひきぬいた。
かわいた喉を鳴らす。な、、、、なんだ、、、なんだこれ、、
なんだよ!? どうなってんだ??

私はそのとき手に求人ガイドを握っていた。
震えながらそのページを探す。
すると何かおかしい。      、、ん?
手が震える。。そのページはあった。
綺麗なはずなのにその旅館の1ページだけしわしわでなにか
シミが大きく広がり少しはじが焦げている。どうみてもそこだけが
古い紙質なのです。まるで数十年前の古雑誌のようでした。
そしてそこには全焼して燃え落ちた旅館が写っていました。
そこに記事が書いてありました。
死者30数名。台所から出火したもよう。
旅館の主人と思われる焼死体が台所でみつかったことから
料理の際に炎を出したと思われる。
泊まりに来ていた宿泊客達が逃げ遅れて炎にまかれて焼死。

これ、、なんだ。。求人じゃない。。
私は声もだせずにいた。求人雑誌が風にめくれている。
私は痺れた頭で石のように動けなかった。

そのときふいに雨足が弱くなった。。一瞬の静寂が私を包んだ。

電話がなっている


交通事故現場

交通事故現場で両足ちぎれた男の子を
お母さんがすごい笑いながら「どうせ死にますから!殺しましょ!
ね!それが正しいでしょ!ね!殺そ!ね!どうすんの!こんなん助かってどうすんの!」
って石で殴り殺そうとして、周りの人が止めてた。
「あんた親だろう!親は信じろよ!親は最後まで信じろよ!ダメだよ!」て
八百屋のお兄さんが泣きながら叫んでた。
神戸市北区、つくしが丘で三週間前に起きた事故です。
近隣住民、そして僕も見ていました。やるせなかった。


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