Tag: アパート

声にならない叫び

398 :本当にあった怖い名無し:2010/04/23(金) 00:17:02 ID:hPRMHK6z0
怖い話かちょっと微妙だけど、小4か5の頃あった話。

小学生のころに、うちの家族はアパートに住んでいた。
で、そのアパートは壁が薄くて、隣の部屋の音が結構聞こえる。
隣のテレビの音も聞こえるし、たまーにギシアンしてる音も聞こえる事もあった。
また逆に友達と家で騒いでいると、隣の部屋に住んでる男が「うるさい!」と、怒鳴りこんでくる事も結構あった。
この隣の男、仮にA男としよう。
A男は今でいうDQN。昔で言うならチンピラっぽい男で、定職についていないのか、昼間に見かける事が多かった。
いつも不機嫌そうで、夜に隣から怒鳴り声や、喧嘩してる音が聞こえることも多かった。

399 :本当にあった怖い名無し:2010/04/23(金) 00:17:50 ID:hPRMHK6z0
俺はA男が嫌いだったし、(何度か理不尽に怒鳴られたり、絡まれたりしてた)
うちの両親も、A男が隣で騒ぐたびに、嫌な顔をしていたのはよく覚えてる。
ただ、うちの父も割と血の気が多いほうで、イライラが募ると隣に文句言いに行く事があり、
その度に怒鳴り合いになるから、ご近所には迷惑かけてたと思う。
ちなみに、A男が怒鳴ってる相手は、同居していた女性だった。

その人をまぁ、A子さんとしよう。A子さんは当時の俺目線だと、美人さんだった気がする。
A男とどういう関係だったのかは知らん。夫婦だったのかもしれないし、恋人同士だったのかもしれない。
ただ、A子さんはA男から暴力を受けてたらしく、顔に青あざがあったり、どっか怪我してることも多かった。
一度だけ、電話ボックスの中で座り込んでるA子さんを見たことがあったけど、
その時は何というか、雰囲気的に疲れ切ってるというか、ボロボロになってる感じがして、
子供の自分には話しかけることが出来なかった。

ちなみに部屋の配置は、A男の部屋が角部屋で、その隣がうちだったので、
主にA男の騒音の被害にあってたのは、うちだけだった。

400 :本当にあった怖い名無し:2010/04/23(金) 00:18:50 ID:hPRMHK6z0
あと、A子さんとうちの母はそこそこ交流があって、立ち話とかしていたんだが、
大体内容は、「あんな男と別れた方がいい」「警察に相談しよう」と母が言って、
A子さんが、「そんなことをすると何されるか分からない」みたいな事を言って、会話が堂々巡りしていた。

そして、あの日の夜がやってきた。
珍しく隣から怒鳴り声も、喧嘩する音も聞こえず、
早めに仕事から帰った両親と夕食食って、一家団欒していたんだけど、
突然外からドアをドン!と開ける音と、誰かが走りさる音が聞こえた。
何かあったのかとうちの親父が外に出ていき、暫くすると血相を変えて戻ってきて、「救急車呼べ!」と叫んだ。
救急車で運ばれたのはA子さんで、走り去っていったのはA男だった。

何故そんな事態になったのかは分からない。
両親は警察から事情を聞いたみたいだったが、俺には何も話してはくれなかった。
ただ、多分A男の暴力で、A子さんが非常に危険な状態に陥ってしまった事は、俺にも見当がついた。
幸いなことに、A子さんは病院に搬送されて、一命を取り留めた。

401 :本当にあった怖い名無し:2010/04/23(金) 00:19:35 ID:hPRMHK6z0
その後、母と一緒にA子さんの見舞いに行く事になった。母はとてもA子さんを心配していた。
ところが、だ。A子さんは俺たちの姿を見るなり、半狂乱になって暴れ出した。
暴れるってレベルじゃなかったかもしれん。
点滴の支える棒みたいな奴は倒れたし、お医者さんや看護婦さんたちが2、3人で必死に抑えつけていたから。
ただ俺が、多分母も一番ショックを受けたのは、A子さんのその様子ではなくて、叫んでたセリフだった。
「助けてくれって言ったのに助けてくれって言ったのに助けてくれって言ったのに」
ひたすらそう叫び続けていた。
そして俺達は、病室から看護婦さんに追い出された。

402 :本当にあった怖い名無し:2010/04/23(金) 00:20:36 ID:hPRMHK6z0
そう、よくよく考えれば、色々おかしいところはあったんだ。
なんであの日、隣の音が全く聞こえなかったのか。普段なら絶対に何か聞こえるはずなのに。
現にA男がドアを開ける音は聞こえたんだから。喧嘩してるなら、うちには一発で分かるはずなんだ。
A子さんがそうやって助けを求めたなら、聞こえないわけが絶対ない。
なのにどうしてあの日の夜は、何も聞こえなかったんだ?

その後、暫くしてうちは引っ越しした。
理由は簡単。
隣に誰もいなくなって、何も聞こえなくなった事が耐えられなくなって、
俺が突然泣き叫んだりするようになってしまったからだ。
多分、うちの親も精神的に限界だったのだとは思うけど。

403 :本当にあった怖い名無し:2010/04/23(金) 00:22:34 ID:hPRMHK6z0
ちなみに、ちょっとした後日談がある。
大学に入学して夏休みに帰省した時、記憶を確認したくてそのアパートまで行ったことがある。
アパートは改築されて、当時の面影は全く無くなっていた。
でも大家さんはまだまだ現役だったので、幸運な事に話を聞くことが出来た。
A子さんは退院した後、すぐにアパートから出て行ったらしい。A男は警察に捕まったとの事だった。
ただ大家さんは、その後にこう続けた。

「あの部屋の壁に血が付いちゃってさ。
 お巡りさんが言うには、ひどい事にA男がA子さんの頭掴んで、壁に何度か叩きつけたらしいよ。
 壁紙変えるのが大変だったよ」

怖くて、どっち側の壁だったのかは聞けなかった。

正直、子供だった俺が記憶を改竄して、何も聞こえなかったと思いこもうとしてるのかもしれない。
そうなるとうちの両親は、助けを無視した最低の人間だという事になるのだろうけど。
ただ、俺の記憶が正確で、あの夜に起こった事が本当ならば、
どうしてA子さんにとって最悪のタイミングで、何も聞こえなかったのか、
なんだか、人しれない悪意を感じてしまうんだ。


白い紙

これは自分が2年くらい前の話なんだが、当時色々親と揉めて一人暮らしをすることになった。
とにかく金がないので家賃が月2万3千で1DK、トイレバス付きってところをうまく見つけたので
そこにもぐりこむように生活を始めた。

自分にはIとKっていう友人がいて、よく三人で遊んでた。
引越しのときもその二人に付き合ってもらったんだけど、Iのほうがなんか気乗りしないというか
妙にピリピリしてる。
「手伝ってもらってマジで悪い、あとでなんか奢るからさ」
というと
「いや、そういうことじゃないんだ。気にしないでよ。」
と返すばかり。
部屋の掃除とかいつもやってもらってるIは、こういうことで怒るような性格ではないと分かっていたので、最初は何か向こうのほうでトラブルでもあったのかな?程度にしか考えてなかった。

で引越し作業も終わって、深夜料金覚悟で3人でファミレスに行ったとき、
「本当はこういうこと言いたくないんだけな」
っていきなりIが語り始めた
「おまえらさ、あの部屋で何か感じたりとか、何かみたりしなかった」
「は?」
「いや、別に。」
もう寝耳に水というか、最初は悪い冗談かと思った。その時の自分は幽霊否定派だったし。
「あそこでさ、見たんだよ。手。バスのところから伸びてる手」
「オイ、マジそういう冗談笑えないって」
ぶっちゃけ半ば切れて怒り半分でそういうと。
「いや、ごめん。そういう意味じゃないんだ。Dには悪いと思うけどさ、あとでなんかあったとき後悔し
たくないから
一応注意ってことで、何もないなら別にいいんだ。」
自分としても気味は悪いが、これ以上話して空気が悪くなるのは嫌だったし、
そこで打切ってさっさと忘れようと努めた。

でファミレスで解散して戻ったのはいいんだけど、どうにもさっきの言葉が頭から離れなくてこまる。

仕方が無いのでPCの電源をつけて、メッセ始めたんだけどそこからだった。
どういうことか漢字に変換できなくなる。
IMEの故障かと弄ってみたけど変化なし。
引越しの作業でどっか悪くなったのかと思うと、Iに学校が終わったらPC見てくれ。とメールしてその日
は寝る事にした
(IはPCが得意で、自分のPCのメンテとかも勝手にやってもらってる)
その日の夜はそれで問題なく終わった。

翌日、Iが来てPCをつけてみると、何の問題もなく変換できる
「別に問題なさそうだけど?」
「えー、いや昨日はマジでつかなかったんだけど。」
「まぁ、治ったから別にいいじゃん」
その後は適当にゲームの話してIは帰って行った。
途中まで見送りにいって、家に帰ると、不思議な光景が待っていた。
何故かテーブルの上にノートサイズの真っ白い紙とボールペンがちょこんと置いてある。
確かにボールペンは自分のものだけど、紙に関しては記憶に無いし、そもそもこの家に来てからペンを
握った試しが無い。
IはずっとPCの前にいたのでこんなことするはずないし、と思うとなんだか背筋が寒くなってきた。
気味が悪かったので紙をゴミ箱にいれて、ボールペンも机の引き出しにいれ、布団を頭から被るようにして寝た。

それからなんだけど、毎日のようにバイト先から帰ってくると、机の上に紙とボールペンが置いてある。
本当にただただそれだけなんだけど、日に日にストレスが溜まってしようがなかったので、休日におりをみてKとIに相談した。
Kはただのビビリなのでただ驚くだけだったんだけど、Iのほうは話が終わるとすぐに
「分かった。明日休みだからお前の部屋をウェブカメラで監視してやるよ。
もしストーカーとか泥棒の類だったらすぐにおまえに電話するから」
なんでもネット経由でテレビ電話のように監視ができるらしく、3000円もあれば十分だというのでそのまま家電屋に直行。
その日はIやKも泊まっていった。

そこには確かに自分の部屋が写っていた。そして冗談でもなんでもなく、自分の部屋にいた女の姿も・・・
いわゆるブ女。見れたもんじゃない体型に、ビチビチのジーパンとTシャツ。
そして、何故かぼやけて良く見えない顔。
Iが無言で次々と画像を送っていく。
廊下から出てきたそれが、自分の部屋をぐるぐると、何かを探すように回り、そして引き出しからボールペンを取り出して
置いたあと、満足そうにさっていく様子が。
「分かったろ?まじでいたんだよ。とにかくおまえはもう家に帰るな。今までは平気だったけど、これからも何もないって保証はどこにもないぞ?」
恐怖で泣いたのはこれが生まれて始めてだった。
体がガクガク震えて、顔が熱くて溜まらない。失禁寸前のところでIに支えながらトイレに連れて行ってもらい、そこで喚き散らした。

一暴れして落ち着くと、Iはこういった。
「まぁ、あれだよ。こういうのはマレにいるんだ。そういうことにしとけ。
これはこの家から出てくることはないはずだから、おまえはもう家に戻るな。
で新しい家を探せ。その間くらいはこっちで面倒みれる。
新しい家見つかったら、俺とKで引越し作業するから。それでいいだろ?」

翌日のバイトは休みをとって、自分は不動産屋を駆け巡った。
もう怖くてしょうがなく、一秒でも早くあの家から縁を切りたかった。
幸いにも午前中には契約が取れて、午後には向こうの家の解約手続きに踏み切ることができた。
何か問題でもあったのか?とやたらとしつこく聞かれた辺り、こういうことは始めてだったのかもしれない。
とにかく今よりいい条件の家を紹介されたから、先着だから時間がなくて思わずそっちに申し込んだ。
といって何とか切り抜け、2日後には引っ越すことができた。
その間何の問題もなく、突然引越しの手伝い(しかも当の本人が不在)で一日をフイにしたKも
多少モンクはいいつつも特に問い詰められることはなく、無事にあの家から離れることができた。
新しい家に変わってから、しばらくはビクビク怯えていたけど、何事も1週間も過ぎるとようやく調子を取り戻してきた。

それから少し経って、再びファミレスで集まることになり、Kにようやく今まで起こったことを説明した。
Kは学校で怖い話(SFC)を本当にあった話だと信じてしまうような人間なので、むしろ
「それヤバクね?」「次は俺らがのろわれるんじゃねーの?」
とかいちいちこちらを不安にさせるようなことをいう。
そんなときにIが一枚の紙をテーブルの上に置いた。
「この紙、なんだかKは分かるよな?」
「ああ、引越しのとき机の上においてあった奴でしょ?」
「これさ、真っ白い紙に見えるけどよくみると文字が書いてあるんだよ」
Iはもう一枚似たような紙を取り出すと、さっきの紙の上に重ねて、バッグから取り出した鉛筆でガリガリ擦り始めた。
そうして出来上がったものは
『さびしい、いたい、さびしい、いたい』
そんしばらく続いてたが単語がノートの半分を過ぎたあたりで
『さびしい、いない、さびしい、いない』
に変わり、最後のほうになると
『しね、しぬ、しね、しぬ、しね、しぬ』
見ていて頭が痛くなるような文に変わっていた
最初のほうは薄くて全部は読めないものも多かったが、最後のころにはしっかりと文字が浮かび上がっていた。
「一応調べてみたんだけどさ、あのアパートで死んだとか自殺した。って奴は新聞とかネットではいなかったよ。
あいつが何だったのか?って聞かれると困るけど、多分Dと馬が合ったっていうのかな?多分そんな感じだと思う。
事故みたいなもんなんだよ。きっと。」
それから誰が言ったわけでもなく、三人ともその話を止めてカラオケに行き、3人でまた一晩泊まって終わった。

あれから今まで、何の問題もおきてない。


妙なモノ

今はもうあまりないんだが、
10代のころは時おり妙なものが見えることがあった。
なかでも複数回見ているモノが以下に書く奇妙なもの。

最初に見たのは学生時代の友人Mのアパート。
友人が実家からでて引っ越してきたばかりのそのアパートは
築何十年とかで見た目にもいかにもなオンボロアパートだった。
イメージとしては4畳半フォークとか男おいどんとかそんな感じw
引っ越し祝いで別の友人Aと初めて部屋に行った時、入った瞬間から
ひどく暗いし、空気も悪いなあと感じた。
まあ立地的にも物件的にも仕方ないのかと思ったとき、そいつが目に入った。

そいつの見た目は50センチくらいの蛇みたいなもの。色は紫がかった黒一色。
蛇というよりはウナギとか(巨大な)ドジョウに近いかも知れない。
目とか口とかは何もないが両端は先細りでどことなく生物めいて見える。
そしてどういう仕組みかは知らないが宙に浮いて部屋の電灯の周囲をただよってる。
煙のようなものではなく明らかに実体がある感じ。
表面の質感としてはゴムのようで光を反射したりは一切してなかった。
時おり体をくねらせる動きもどこか生物っぽい。
もっとも体を二つ折りみたいにしてたし背骨とかはなさそうだが。

MもAもまったく気づいていない様子だったので
なにも言わなかった。
特にAはは少し前にとある恐怖体験をして以来、
俺をその元凶のように思っているのでw
いやな感じがしたので俺は2人を飲みに誘い、そのまま帰った。

数ヵ月後(その間意識して行くのを避けてたので)に
再びMの部屋に行くとそいつはいなくなってた。
心なしか部屋も明るく、空気も淀んではいなくなってた。
その時は別にそんなものもいるのかくらいにしか感じなかった。
まあ、こっちの世界のものとは思わなかったけど。

その後、何回か同様のものを見た。
場所はバイト先の作業場だったり大きなホールだったりいろいろ。
長さはは30センチくらいのものから4,5メートルくらいのものまで
様々だったけど、太さは決まって5センチくらいだった。

そいつはだいたい何もせずに宙を舞っているだけだったのだが、
一匹だけバイト先で知り合ったパートのおばちゃんに
やたらまとわりついているやつを見た。
やはりおばちゃんは気づいていないようだ。
因果関係はわからないがそのおばちゃんはしばらくして
大病を患ったとかでパートを辞めた。
そして、まもなく亡くなられたと聞いた。


大家さん

某有名メールマガジンにも投稿した話。
掲載されたけど、筆者本人だし文章は一から書き直しなので問題ないかと。

東京の大学に合格し、父親と下宿を探しに行った。
父親も私も、慣れない東京での部屋探しに手間をかける気になれず、
学生課に紹介された、大家さんが同じ建物に住む古びたアパートで即決した。

そこの大家さんは、独り身で初老のおじさんで、理由は知らないが親族らと
折り合いが悪く、しかし結構な財を成している為、生まれついた場所ではない
その辺一帯の地所を多く持ち、アパート・借家の収入で、とくに働くこともなく
一人静かに暮らしているおとなしい人だった。

後で知ることになるのだが、若い頃からの持病があり、ずっと病院通いだった事も
そんな生活をしていた理由の一因だったらしい。

そのアパートがえらくボロかったこと、最終的にその建物(隣や向かいの同じ大家さんの
持ち物である建物は除いて)に住んでいたのが、大家さんと私だけになった事を除けば、
さしたる変化もなく数年が経った。職に就いてはいなかったが、大家さんはマメな人で、
いつも建物の掃除や手入れに余念が無く、私や他の住人にも、色々と世話を焼いてくれた。
地主や大家という人達への、私の幼稚な偏見を自覚させてくれた人だった。

大学3年の11月、年末の帰省の予定を立て始めた頃、大家さんが私の部屋をノックした。
「いやーちょっと持病がね・・・」そう切り出した大家さんに、都内の大きな大学病院に入院
する事を告げられた。
「ちょっとした療養と検査だから。時々は帰ってきて、掃除もするからね」
最後の住人であった私にそう言い残し、大家さんは病院へ行った。

多少心配していたものの、大家さんは意外に元気で、数日後にはアパートを掃除する大家さんと
大学からの帰りに挨拶を交わし、私に杞憂であったと思わせた。それからは、ボロアパートながら
周囲を気にする必要のない一人住まいを満喫していた。時折、下の階に自室を持つ大家さんの
帰宅があったが、日中だけのことであった。

そうこうする内に年末が来た。明日には田舎に帰省する。コタツでうとうとしながら、ごろ寝を
していると、階下の大家さんの部屋から「ガタゴト」と音が聞こえてくる。
「ああ・・・大家さん帰ってきたんだ・・・明日帰省するって言っとかないとな・・・」
そう思いつつも、コタツの誘惑に負け、「まあいいか・・・」とそのまま寝入った。
暗くなってから起き出したが、当然大家さんは病院へ戻ってしまったようだった。
次の日、火の元と戸締まりをしてから、帰省した旨書き置きをポストに突っ込み、帰路についた。

正月が過ぎ、アパートに戻った私の目に入ったのは、喪服を着た親族を名乗る人々だった。
「あの人、死んだから。このアパート、あなたしか住んでないでしょ?家賃一緒でいいから、
向こうの建物に移ってね」
それにあたる人は居ないと聞いていた「相続人」を名乗る人が、そんな事をべらべらと喋り立てた。
あとから色々なツテで聞いたところによると、病の床で遠縁の者が、養子縁組だかなんだかで
そういった立場に収まったらしい。数年を暮らしたボロアパートは、2ヶ月と建たず更地になり、
近隣の不動産屋が管理者として看板を立てて行った。

かすかな憤懣はあったが、あずかり知らぬ他人様のお家事情。
しかし一つだけ疑問に思った事があった・・・
「相続人」を名乗る人間が垂れ流して行った大家さんの最期は、癌によるものだったそうだ。
そして命日の日付・・・
不可能ではないだろうか。癌で死ぬ人が、その前日に自室で「ガタゴト」と掃除をすることなど。


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