Archive for 6月, 2011

暗示ゲーム

まだ自分が、BLとか知らない純粋な中学生だった頃の話。

剣道部だった自分が放課後いつも通り部の活動場所である武道場に行くと、
顧問の先生とか部長がまだ来てないのをいい事に、部員達があちこちでじゃれあったりおしゃべりしたりして遊んでいる。
それはいつもの事だから何もおかしくはないんだけど、その中に何故か二人一組で向き合って、何やらきゃーきゃー騒いでるのが数組いた。
よく見ると、それに参加してない他の部員達も遠巻きに、でも興味深げにその数組を眺めているらしかった。

確か稽古が始まるまで道場の電気はつけないとか決まりがあったんだと思う。
普通教室よりもう少し広い道場は、大きな窓があるとはいえ自然光だけに頼った状態ではちょっと薄暗かった。
いつもはそんな事気にならないのに、その日は何か嫌な感じがした…って程でもなかったんだけど。とにかくいつもと何かが違う気がした。
とっさに入り口で立ち止まり、よく分からない違和感に戸惑っていると、
謎の二人組の一組の片割れがわりと仲の良かったYで、Yは自分を見付けていつも通りの笑顔で寄ってきた。

「O(自分)もやってみる?超怖いよ!」
ちょっと興奮気味なY。何をしているのか聞いてみると、今していた遊びを楽しそうに説明してくれた。

『まず二人一組になって向き合う。仮に二人をAとBとする。
AはBに向けて両手を差し出し、Bは差し出されたAの左右の手首それぞれに、
糸だか紐だかを結ぶつもりでその動作をする。
結び終わったら、Aは「きをつけ」の状態に手を戻して力を抜く。
それからBは、胸の前で自分の両手をグルグルする。
「♪いーとーまきまき」って歌いながらやるアレみたく。
そうすると、Aの手首に巻かれた見えない紐が巻き取られるように、
勝手に Aの両手が前へ持ち上がっていく。』

「本当に上がるんだよ!」
一通り聞いた自分は勿論信じなかったが、疑いの眼差しを向ける自分にムッとしたようにYは言うと、そこで見てろと早速実演し始めた。

巻き取り役の部員が手をくるくるまわすと、糸を結ばれた(ことになっている)Yの手がゆるゆると持ち上がる。
「ほらね!」とYは騒ぐが、どう考えてもYが自ら腕を動かしているようにしか見えない。

「自分で上げてるんじゃないの?」と聞いても、
「違うよ、勝手に持ち上がるの、これは霊が動かしてるんだよ」と言い張るY。

ようはコックリさんみたいなものか。怖がりの怖い物好きであった自分は、何かで読んだコックリさんの正体を思い出し
目の前の遊びと照らし合わせて、密かに納得した。霊が動かすと信じて、無意識に自分で腕を動かしているのだ。
思い込みの激しい、暗示にかかりやすいお年頃ならではの遊び。

そんなことを考えていると、Yが持ち上がって腕をゆっくり降ろしながら
「Oもやろうよ」と誘ってきた。何故すぐに腕を降ろさないのかと思ったら、

『遊びを終えるにはBが最初にしたのと反対方向に手を回して
巻き取った糸を緩め、Aの手を元の位置まで降ろさなくてはならない。
いつまでも巻き取り続けると、持ち上がっていく腕は最終的にA本人の首を絞めてしまう』

のだそうだ。幼稚なようだが、ちょっと気味の悪いルールである。

終了の儀式を終えたYが、改めて自分にまとわりつく。Oもやってみようよ、面白いよと。
今も昔も零感である自分は、霊の存在に興味はあったが半信半疑で、ありえないとは思いつつ、本当に腕が動いたら怖いので遠慮した。

見渡すと、この不思議な遊びはすっかり道場内に浸透したらしく、向かいあって騒いでいる部員がさっきよりも増えている。
みんなして、単純にも程がある。

「ねぇ、Oもやろうってば!」
なおもYが誘う。やめとくよと離れても、腕に抱きついてついてくる。あんまりしつこいのでイラっときた自分は、
「いいってば!」と強くYの手を振り払った。よろけてやっと離れたYをトドメに睨みつけたが、びびったのは自分の方だった。

Yの目の下が紫になっている。寝不足でできるクマみたいな、黒っぽい紫色だ。
さっきまでそんなクマはなかった。驚いて固まっている自分にYがさらに迫る。「一回だけだから!」とか言いながら。

Yは、こんなにしつこいヤツだっただろうか。華奢で可愛らしく、どちらかと言えば気が弱くて優しいタイプなのに。
普段なら自分がここまで嫌がる前に、とっくに引き下がっている筈だ。

普段通りの可愛らしい笑顔だが、明らかにいつもと何かが違う事をそのクマが示している。
誰かに助けを求めようにも、みんなこの妙な遊びで盛り上がっていて、誰一人自分達のやり取り等気にしていない。
何かおかしい。いよいよ怖くなって、自分は武道場を飛び出した。

Yは追ってこなかった。ほっとしたのも束の間、それで結局今のはなんなんだと考えると怖くて道場にも戻れない。
中庭の端に建つ武道館の脇で、中に戻ろうかどうしようか右往左往していると、声をかけられた。同じ剣道部員のTだった。

「何やってんの、中入ろうよ」
不思議そうにこちらを見るTに私は泣きついた。Tは自分の友人の中でただ一人の霊感少女だった。
美人だわ顔小さいわ細いわちょい悪だわ霊感あるわで、私はTを崇拝していた。
今思えばそれこそお子様な自分が、なりきり霊感少女Tに騙されていたのかもしれないが、
当時の自分はTを見てもうこれでなんとかなると思った。

早口で事情を説明すると。Tは「ふーん」と気のない返事をして、ずかずかと武道館に入っていった。慌てて自分も後を追う。
二階建ての武道館は入って靴を脱ぐとすぐに剣道部の使っている武道場だ。入るなり、Yがまたあの遊びをしているのが見える。
武道場の入り口でTは部員達の遊ぶ様子を眺めている。早くなんとかして欲しくて、自分はTに詰め寄った。
「どうなのあれ、ほんとに霊が動かしてるの?」「ん~・・・ほとんどは勘違いだけど。ちょっと呼んじゃってるね」
呼んじゃってるってなんだ。

「私もやってみる」Tの衝撃発言にびっくりして止めるより早く、Yがこちらに気がついて駆け寄って来た。その目の下は相変わらず暗い紫色だ。
「Tもやる?」「うん」誘われるがままに件の遊びを始めるT。Yが手をぐるぐるすると、Tの両腕がゆっくりと持ち上がる。

一通りの作業を終えたTと武道場を出た。恐る恐る聞いてみる。
「どうだった?」「うーん、白い手が後ろから私の手を掴んで押し上げてきた」
Tはけろりと応えたが、もうこっちは大パニックである。それが本当なら、けっこう大変なことじゃないのか。
「何それどうしよう!」「あんまりいい遊びじゃないみたいだけど、やめれば平気だと思うよ?」
そう言うとTは武道場の入り口に立って勢い良く手を叩いた。「もう先生来るよ!着替えて稽古始めよう!」
Tの言葉に、つまらなそうにしぶしぶと部員達が更衣室に入っていく。

これで、もう大丈夫らしい。本当だろうか。更衣室に向かう部員達の中に、Yを見つけた。
「Yのクマは、その霊とかとは関係ないの?」心配になって聞くと、ああそうだったと呟いて、TはYを呼んだ。
「なぁに?やっぱりOもやるの?」しつこいY。その笑顔が妙に虚ろに見えて怖い。
そんなことは少しも気にしていない様子で、TはYに後ろを向くように言った。何か新しい遊びを始めるとでも思ったのか、
素直にYは自分達に背中を見せた。するとTは、Y首の付け根あたりを、ぽんぽんと二回程、軽く叩いた。はたいたと言う方が近いかもしれない。
「はいこっち向いて」Tにこちらを向かされたYの顔は、すっかりキレイになっていた。あんなに濃かったクマが、さっぱり消えている。
呆気にとられている自分をほっといて、Yを更衣室に押し込み戻ってきたTは、
「今のは誰にでもできる簡単なお祓いだから覚えとけ」みたいなことを言った。覚えるも何ももうそんなお祓いが必要になるような体験をしたくない。
でも、不思議な出来事はこれだけは終わらなかった。
すごい。これって、ほんとに心霊現象じゃないのか。初めて見た。どうしよう。
自分がぐるぐると無駄に考えを巡らせている横で、Tは別段いつもと変わらない調子で
「着替える前にトイレに行ってくる」と言う。興奮状態だった自分だが、今Tから離れるのは心細いのでついていった。

武道場のトイレに入る。Tは個室に。自分は特に用はなかったので、手を洗って、鏡に向かって髪型を直したりしていた。
するといきなりTが個室で「うわ!!」と大声を上げた。さっきの今なので正直飛び上がる程びびった。
すぐによろよろとTが個室から出てくる。何だどうしたと歩み寄ると、
「今背中、押されたってゆーか、叩かれたってゆーか・・・すごい痛かった」と言う。
いやいやいや。
そんなに人を怖がらせて面白いかとビビリながらも笑い飛ばすと、「じゃあ見てみろ」とTが体操着の背中をめくりあげて見せた。

確かにその背中には、今ついたばかりにしか見えない真っ赤な両手のあとがついていた。
誰かが後ろから思い切り両手を叩き付けなければできない手の向き。Tの手よりもずっと大きい大人の手のあと。
自分は絶句した。なんだこれ。

「私が遊びを中断させたから、”邪魔するな”って言われたのかも」Tは溜め息一つで事を片付けた。
自分は幽霊の存在を信じるようになった。

以上です。
誤字脱字あったらすいません。長文読んで下さった方ありがとうございました。


どちらを信じますか

あなたなら、お父さんと、お母さん、どちらを信じますか?

学校から帰って台所で麦茶を飲んでいると
床下の収納スヘ゜ースに死んだお母さんが押し込められているのに気がついた

隣の部屋からお父さんが出てきた
「由美?、お母さんは他に好きな人がいたんだ、お前のことも捨てて
出て行こうとしていたんだ、だからけんかになってさっき殺してしまった」
と泣き出した

私はお父さんを警察に突き出すつもりはない
このまま二人で暮らしていこうと思った

着替えのため自分の部屋に行くとメモ帳の切れ端が落ちていた
「由美、?逃げて お父さんは 狂っている」

あなたなら、お父さんと、お母さん、どちらを信じますか?


くねくね

『分からない方が』って話あるじゃないですか。その話、自分が子供の頃体験した事と、恐ろしく似てたんです。それで、体験した事自体は全然怖くないのですが、その『分からない方が』と重ね合わせると、凄い怖かったので、その体験話を元に『分からない方が』と混ぜて詳しく書いてみたんですが、載せてもいいでしょうか?

これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時の事である。年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、早速大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。都会とは違い、空気が断然うまい。僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と田んぼの周りを駆け回った。そして日が登りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風が止んだ。と思ったら、気持ち悪いぐらいの生暖かい風が吹いてきた。僕は、
「ただでさえ暑いのに、何でこんな暖かい風が吹いてくるんだよ!」
と、さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。すると、兄は、さっきから別な方向を見ている。その方向には案山子(かかし)がある。

「あの案山子がどうしたの?」
と兄に聞くと、兄は
「いや、その向こうだ。」
と言って、ますます目を凝らして見ている。僕も気になり、田んぼのずっと向こうをジーッと見た。すると、確かに見える。何だ…あれは。遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。しかも周りには田んぼがあるだけ。近くに人がいるわけでもない。僕は一瞬奇妙に感じたがひとまずこう解釈した。
「あれ、新種の案山子じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かったから、農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!」
兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた。風がピタリと止んだのだ。しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。兄は
「おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?」
と驚いた口調で言い、気になってしょうがなかったのか、兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。

兄は、少々ワクワクした様子で、
「最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!」
と言い、はりきって双眼鏡を覗いた。すると、急に兄の顔に変化が生じた。みるみる真っ青になっていき、冷や汗をだくだく流して、ついには持ってる双眼鏡を落とした。僕は、兄の変貌ぶりを恐れながらも、兄に聞いてみた。
「何だったの?」
兄はゆっくり答えた。
「わカらナいホうガいイ…」
すでに兄の声では無かった。兄はそのままヒタヒタと家に戻っていった。僕はすぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、落ちてる双眼鏡を取ろうとしたが、兄の言葉を聞いたせいか、見る勇気が無い。しかし気になる。遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけだ。少し奇妙だが、それ以上の恐怖感は起こらない。しかし、兄は…。よし、見るしかない。どんな物が兄に恐怖を与えたのか、自分の目で確かめてやる!僕は、落ちてる双眼鏡を取って覗こうとした。

その時、祖父がすごいあせった様子でこっちに走ってきた。僕が
「どうしたの?」
と尋ねる前に、すごい勢いで祖父が、
「あの白い物体を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!」
と迫ってきた。僕は
「いや…まだ…」
と少しキョドった感じで答えたら、祖父は
「よかった…」
と言い、安心した様子でその場に泣き崩れた。僕は、わけの分からないまま、家に戻された。帰ると、みんな泣いている。僕の事で?いや、違う。よく見ると、兄だけ狂ったように笑いながら、まるであの白い物体のようにくねくね、くねくねと乱舞している。僕は、その兄の姿に、あの白い物体よりもすごい恐怖感を覚えた。そして家に帰る日、祖母がこう言った。
「兄はここに置いといた方が暮らしやすいだろう。あっちだと、狭いし、世間の事を考えたら数日も持たん…うちに置いといて、何年か経ってから、田んぼに放してやるのが一番だ…。」
僕はその言葉を聞き、大声で泣き叫んだ。以前の兄の姿は、もう、無い。

また来年実家に行った時に会ったとしても、それはもう兄ではない。何でこんな事に…ついこの前まで仲良く遊んでたのに、何で…。僕は、必死に涙を拭い、車に乗って、実家を離れた。祖父たちが手を振ってる中で、変わり果てた兄が、一瞬、僕に手を振ったように見えた。僕は、遠ざかってゆく中、兄の表情を見ようと、双眼鏡で覗いたら、兄は、確かに泣いていた。表情は笑っていたが、今まで兄が一度も見せなかったような、最初で最後の悲しい笑顔だった。そして、すぐ曲がり角を曲がったときにもう兄の姿は見えなくなったが、僕は涙を流しながらずっと双眼鏡を覗き続けた。
「いつか…元に戻るよね…」
そう思って、兄の元の姿を懐かしみながら、緑が一面に広がる田んぼを見晴らしていた。そして、兄との思い出を回想しながら、ただ双眼鏡を覗いていた。…その時だった。見てはいけないと分かっている物を、間近で見てしまったのだ。
「くねくね」


黒いくねくね

過去ログをあさっていたら

「田んぼの真中でひたすらくねくねしてるやつが云々…」

って話があったのですが、他にも見た人いませんか?
俺は見ました。

高校の時、家に友達を呼んでくだらない話で盛り上がっていると玄関を勢いよく開けて母が転がり込んできました。
尋常ならざる様子に俺が駆け寄ると母は

「お願い、お願いだから田んぼには行かないで」

と繰り返しました。

買い物帰り、自転車で田んぼ道を走っていると見慣れない黒いものがうごめいているのが見えたそうです。
カカシかな、と思い自転車を止めてよく見てみると手足の細い人型の物体がその四肢を狂ったようにくねくねと動かしていたらしいのです。
とたんに得も言われぬ恐怖に襲われ、逃げてきたそうです。
その時は分かった、と一言いって母を落ち着かせたのですが、話のネタにも困っていた俺達はこっそり母の言った田んぼにいってみることにしました。
それはやはり居ました。風も無いのに、ひたすら手足を動かす黒いもの。
しかもそれはゆっくりと移動していました。しまった!と思ったときにはもう遅く、目からは涙があふれ膝はがくがくと奮え出しました。
友人も口元を振るわせながら目をうるませていました。
泣きながら逃げ帰ったのは言うまでもありません。
くねくね動くだけのものがどうして怖いのか?と問われると言い返しようがありませんが、まるで俺を飲み込むようなあの圧倒的な違和感はこの世のものとはとても思えません。
ほんとに怖かったんです。


とちぎ

これ、栃木県の県南の話

●その1
5年以上前、小○市のとある小学校で改装工事をやってたとき。
工事にたずさわっていた作業員のうちの一人の中年男性が、他の作業員の
運転ミスのせいで、学校の門とパワーショベルカーとの
あいだに挟まれてしまい、そのまま潰され内臓破裂で亡くなった。
事故だった。
新聞にも載った実際の事故だ。
その小学校は、私の通ってた中学校の通学路の途中にある。
小学校の門の外の道路からは、体育館の倉庫が見える。
その倉庫には、胸から上くらいしか見えないであろう高い位置に
小さい窓がある。

その窓が開いているとき。
倉庫の中から、黄色いヘルメットを頭にかぶった作業服を着た
中年男性が顔を出している。
立ってるんだって。
潰れたおじさん、体育館の倉庫の中にいる。

●その2
これも小○市のある病院の話。
野○病院跡地という、地元では「出る」というのでわりと有名な場所。
その病院は、施設が2箇所に分かれてるとかなんとかで、
その一つが取り壊され廃墟になってる。

数年前、友達のお兄ちゃんの友達(男)が、夜、友達数人と
その病院跡地に探検に行った。
若者でおもしろがって見にいく人、多いんだよ。
でも、彼らは別に幽霊なんか見なかったそうだ。
・・・途中で、誰かが地面にメスが落ちているのを見つけた。
それをそのうちの一人の男は持ち帰ることにした。

深夜、その男がアパートに帰宅したその直後、携帯に
非通知の電話が掛かってきた。
男はテーブルに置いてあった携帯に出た。
電話からは女性の声が聞えた。

「メスを返してください」

●その3
母が20年以上大事にしていたフランス人形を、母自身が
家のすぐ裏で焼いたときのこと。
私は学校を休んでいて自分の部屋にいた。
母が火をつけて人形を燃やし始めたちょうどその時、
部屋のドアのすぐ前から、女の人の小さな悲鳴がした。

●その4(おまけ)
私の住んでる場所は、田んぼの多いド田舎。
変なジンクスみたいなのがあって、住人が一人死ぬとかならず(マジで
100%)葬式が連続する。
酷いときは一週間で3~4人死んだりする。
良いときでも、一週間に1人は必ず!死人が出て3人くらい死んで、
ようやくその連鎖が終わる。
で、また誰かが死ぬとそこから連続で葬式。
住人が少ない田舎にもかかわらず。
祖母が子供だった頃から、すでにそうだったらしい。
だから最初の葬式があると、住人の間で「次は誰だべな」って
会話がされたりする。
もはや常識みたい。
寂しいから連れていっちゃうんだろう、と母は言っている。
本当に、葬式が一度では終わらない。


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