Archive for 6月, 2011

母が縁の下から

松谷みよ子「現代民話考」にでていた話。
終戦から幾らもたってない頃と思われます。
当時の家は、台所が土間のままってのいうのも多かったんですね。
記憶を頼りに書いてるので細部はちがうかも。

タクシー運転手の奥さんが、まだ五才になったばかりの子を
残して亡くなった。
父親は仕事ででかけている時間が長く、そのあいだ隣の家に子どもを
預けていたのだけれど、深夜になっても帰ってこないのものだから、
親切で面倒をみていた隣人もさすがにしびれを切らして、子どもを
ひとりの家に帰してしまうことも多かった。
子どもは寂しくて、父親が帰ってくるまで、親の名を呼んで
泣いていたそうだ。

ある晩、子どもの泣き声がぴたっと止まり、笑い声が聞こえてきた。
隣人は、「ああ父親が帰ってきたのだな」と納得したのだけど、
そのしばらくあとに父親の帰宅する音が聞こえてきて、
「父ちゃんおかえり」と子どもが出迎えている。

そうした夜が何晩かつづいて、不審になった隣人はある晩、子どもの
様子をみにいった。

子どもは、暗い部屋でひとりで喋っては笑っている。
その様子が、だれかと話しているもののようなので、翌日、父親に
そのことを話した。

父親は、子どもに毎晩だれと話しているのか、とたずねた。
「母ちゃんだよ。おいらが寂しくて泣いてると、母ちゃんがきて、
だっこしたり、頬ずりしたりしてくれるの」
「それで母ちゃんはどっから入ってくるんだ?」

子どもは、土間の縁側を指さした。
「あの下から、にこにこしながら這ってでてくるよ」

それから父親は仕事をかえて、早く帰宅するようになったそうだ。


マイナスドライバー後日談

子供の私は、あの出来事も速攻で忘れて日々を過ごしていました。
間もなく我が家は引っ越すことになり、家の大掃除した後、あの銭湯に行きました。
私は大掃除で見つけた色々なガラクタを後生大事に持っていったのです。
私は例によって風呂の中で遊んでいるうち、あのドアの鍵穴のことを思い出しました。
しかしあの恐怖を忘れていた私は、ガラクタを入れた洗面器を抱えて鍵穴を覗きに行
ったのでした。また向こう側は何かに覆われて何も見えない。
私はガラクタの中にあった箸を取り出し、おもむろに鍵穴に突っ込んだのでした。
瞬間、ドアの向こうでのドタバタする気配にたじろいだ私は、箸から手を離しました。
箸はブルブル震えながらそのままでしたが、やがてこちら側に落ちてきました。
先から数センチが折れていました。私はまた母親に何も言いませんでした。
その日を最後に、我が家は隣の市へ引っ越して行ったのでした。
数年後、小学生の私は、かつて住んでいたあの町に遊びに行きました。
真っ先に子供の社交場でもあった神社の境内に赴きました。
そこに行けば昔の友人達に会えると思ったのです。しかし予想に反し誰も居なかった。
いや、境内の裏の大木の前で、一心不乱に何かをやっている大きな男が居ました。
瞬間、かつての記憶が蘇りました。彼は我々から‘ミッキー’と呼ばれ怖れられていた
青年でした。透明に近いシルバーの髪、兎の様な赤い目、今考えるとアルビノであった
のかも知れません。そして彼は病的に粗暴で、メンコやベーゴマに興じる我々の中に
乱入しては、物を取り上げたり殴りつけたりを繰り返す素性が不明の人物でした。
その彼が目の前に居る。私は金縛りに会ったようになり、話し掛けることも逃げること
も出来なかった。彼は動作を止めると、ゆっくりとこちらを向いた。
彼の片方の目は潰れていました。


マイナスドライバー

そんなに怖くないのですがきいてください

私がまだ4~5歳の頃の話です。

当時家には風呂が無く、よく母親と銭湯に行っていました。
まだ小さかったので母と女湯に入っていました。
或る日のこと、身体を洗った後飽きてしまった私は、湯船の
中でプールよろしく遊んでいました。

今迄気付かなかったのですが、湯船の横から階段状になりドア
が付いているんですね(何処もそうなのかも知れません)

私はふとそのドアが気になって段々を昇りドアの前まで行った。
ドアノブの直下に大きな鍵穴があるのです。
ワクワクして覗きました。・・・・・向こう側は何かに覆われて見えない。
なんだ、ツマらない。いったん顔をあげました。
何を思ったかもう一度鍵穴を覗き込んだのです。

ぼんやりとした明かりの中、ボイラーとおぼしき器械が見えました
おわースゴい。夢中になって覗いていました。
ドアの向こうの気配、それとも何かが知らせてくれたのか
突然、私は目を離し身を引いたのです。

そして次の瞬間、鍵穴からはマイナスドライバーの先端が狂ったように
乱舞していました。・・・・・・
私は息を呑みそこを離れ、コワくて母親にさえ話すことが出来ませんでした


元彼の洒落にならない体験談。

肝試しが好きでその日も○○山へ車で肝試しにいった。
山に入ってしばらく進むと脇に小さい神社があってさ。
興奮してみんな「あそこやべー!」とか言ってんの。
酒の勢いもあって車の中のやつら全員乗り気。
大丈夫だって!!と何を根拠にいうのかわからんが馬鹿笑いしながら運転手のBが車を止めた。
神社はこれといって何もなかった。
小さな祠が一つあって、その祠の側にでかい木が一本立ってた。
周りは真っ暗で雰囲気は最強だったが全員酒が入ってるので関係ない。

「うひょ!こえぇええ!」

なんて言いながらおもしろ半分に祠に手を合わせたり付近でふざけ回ったりしていた時。
霊感が微妙にあると言うAがふざけるのをやめて俺の方をじっと見つめてる。
俺は祠の側の木を背にして立ってて、「エロくて裸エプロンで仕事帰りの俺を迎えてくれるあゆ似の彼女を俺に下さい!!」とか祠に祈ってる連れをみながら爆笑していた。
Aもさっきまで一緒に爆笑していたのに、急に真剣な顔になって俺を見ている。

そして突然おれの手首をつかんで強引に俺を引っ張った。

「なぁ、こんな時に悪いんだが、俺、明日早いんだわ。そろそろかえらねぇ??」

Aの顔が懐中電灯の中で妙に青白い。

「なにいってんだよ、お前明日休みとかいってたじゃん」
「まじわりぃ。ぼけててさ、忘れてたんだよまじ。」

Aはそう言って笑ったが無理矢理作った笑顔みたいな感じだった。
Aが微妙に霊感があることは皆知ってる。
もしかしてやばいのか?でもいつもならこれ以上は行くなとかあそこに○○がいるとかまず言うしこいつ。
はしゃぎまわってるやつを収集して車に戻りエンジンをかけた。
するとAが早口で言った。

「絶対神社の方見るな!!!」

この一言で全員了解。
かなり飛ばして峠を降りた。
車内全員無言。
Aはうつむいて青白い顔でなにやらぶつぶつ言っている。

地元の町について、ファミレスに入り、俺が聞いた。

「なにがいたわけ?」
「後ろ向いたやついる?」とA

全員見てなかった。
それかrなおAの答えを聞いて全員てんぱった。

「Y(彼)が立ってたとこの後ろに木があっただろ。そこから白い着物来た女がゆっくり出てきてお前の首に手をかけようとしてたんだよ。目がやべぇんだよ…俺も酔っ払ってていつからあの女がいたかよくわかんねぇんだけど最初は木の陰にいてさ。酔い冷めて固まってしばらく見てたらなんか出てくるんだよ。皆が車に走る間その女ずっとお前の事目で追ってたぞ。エンジンかかるまで生きた気しなかった。あんなやばい気初めてだったわ。安心して神社の方見たら、その女、こっちに向かってくるんだよ。最初はゆっくりだったけど段々スピード上がってくるの。絶対生きてるもんの早さじゃないの。まじ、すぐ後ろをキープしてはしってんの。途中で消えてくれたけど、追い付かれたらどうしようと思って必死でお経となえてたんだ、俺。」

「なぁ、なんで言わなかったんだ?」俺が聞いた。

「あんな至近距離で言えるかよ。見えてるってばれたらそれはそれでやばいぞ。全員ぱにくって運転とか無理になんだろ」

うちの元彼は白い着物の彼女に狙われていたらしいです。
この彼は肝試し好きな性格のせいで自分は見てないけど実はヤバかった系の話しをけっこう話してくれてたのでまたアップします。


ぼろぞうきん

俺がまだ小学校3年生でクワガタ虫捕獲に夢中になっていた時の事です。
小学生の時はゲットしたクワガタの大きさ種類でヒエラルキーがあった筈。
5年生のH君がヒラタクワガタをゲットした。と情報が流れその情報に奮起した俺たち3年生二人と6年生のO君が近所のD山に最強のミヤマを捕りに行く事になった。
ミヤマクワガタが最高のランクで赤くてクワがすごければもうそれだけで学校のチャンプだったのだ。
D山はちょっと小高い山の上にテニスコートのあるクワガタがよく捕れるポイントだった。
周囲は金網で覆われて基本的には立ち入り禁止だったがおかまい無しでみんな金網に穴をあけたり、金網を乗り越えたりしてクワガタランキングに挑戦していた。
私有地であるにもかかわらず(893の私有地だという噂もあった)。
まぁ、小学生ってのはそんなものだったとしておいて下さい。

いつもの用に金網にあいた穴から山に入り込んだガキどもはクヌギを蹴っ飛ばして落ちてくるカナブンやらコクワガタを広い集めプラケースに入れて目的地に向かった。
目的地は一番でかいクヌギの木で、その木ではヒラタはおろか伝説のオオクワガタすら捕獲出来たと言うありがたい木だった。
蹴りだけではびくともしないので最年長のO君が木に登り、ミヤマを探す。という作戦を立てた。
ミヤマは高い木の上にいるのです。
猿のようにクヌギの木に登るO君を下でハラハラしながら俺たちは見守っていた。
しばらく木の上でごそごそやっていたO君が急に木から降りてきてこう言った。

「あのよう、あそこの囲いの中に雑巾のでかいやつが引っかかってるんだけど。」

そう言ってO君は茂みの中に少しだけ見えている緑の金網を指差した。

「のこぎり爺だったりして(w」

と俺たちはからかった。
のこぎり爺とはこの山に住んでいるという怪老人で、でかいのこぎりで侵入者を追い回す噂の人物だった。
いつもこの山に入る時はのこぎり爺の気配に気をつけながら侵入していたのだ。

クワガタの事は忘れて俺たちはその囲いの方へ足を向けた。
近づくにつれ、むかつくような臭いと(死んだザリガニの臭い)大小の蠅が気になった。
ちょっと窪地にあるその囲いは変電機を守るためのものだった。
そこには雑巾というよりは洋服を着た雑巾ではないものがぶら下がっていた。
猛烈な臭い、蠅の飛び交う音も聞こえる。
おわかりだろう。
俺たちは首縊り雑巾を見つけたのだ!

「首つりだ・・・」

怖くなって、でも逃げたら追いかけてきそうなのでゆっくりと元来た道を戻り、小走りで少し広い場所まで逃げた。
最年長のO君は頂上にテニスコートがあるのを知っているので通報してくる。
お前らは山から脱出しろ。
のこぎり爺に気をつけろ。
と言って別の道を通って通報に行った。
後に残された二人のガキどもは怖くなって急いで山を下りる事になった。

途中、何度も草に足を取られ転び、転げ落ちながら2人は山を必死に下りた。
一緒に居た仲間が本格的に擦りむいたので少し休憩した。
そこらの葉っぱで傷口を拭きながらさっきまで恐ろしいものがあった場所を振り返る。
生まれて初めて見る生死体。
それも腐った死体だという事実に二人はガクブルだった。
O君は無事に通報出来ただろうか?
そんな事を考えているとさっき降りてきた道を黒いコートを着たような男(?)が登って行くのが見えた。
ゆっくりとまるでえさを探す熊のようにのっそりのっそりと登って行く。

「おい、あれのこぎり爺じゃねぇか!?ヤバいよ。」

傷を葉っぱで拭いていた友人が俺に耳打ちした。
俺は恐怖マックスでうなずく事しかできなかった。

「うわ~~~~~!zght#’&ふじこ!!」

一気に恐怖が襲いかかり、こけようが何をしようがとにかく山を駆け下りた。
有刺鉄線で穴の周りを囲われた金網の穴に二人でサーカスのライオンのように飛び込んで二重の脱出劇を味わった二人だった。
俺はこのとき太ももを有刺鉄線で引っ掻いたらしく左の腿は血だらけだった。

結局、クワガタどころの騒ぎではなく山の下にはもう何台もパトカーが止まっていた。
O君もそこに居た。
O君が言うにはもう既に誰かが通報していたらしく俺たちが気づかないうちに仏さんは病院へ搬送されたのだそうだ。
つまり、山の下にいるパトカーは現場検証のためのパトカーなのだ。
救急車は居なかった。
ここでO君も含め、俺たちは釈然としないと言うか、おかしいと思う点があった。

まず、O君と俺たちの共通の疑問。
・もう通報されて仏さんは運び出されていたなら、俺たちが見たあの死体は何だったのか?
・山へ入る時は車の1台も止まっていなかったし、パトカーなんて目立つ車はいなかった。

そして、O君を除いた俺たちの疑問
・あの黒いコートの人物は誰なのか?
・警察が現場検証をしているならなぜ警察官とは出会わなかったのか?

警察官に太ももの応急手当をしてもらい(マキロンぶっかけただけ)警察にもう帰るように言われた。
黒いコートの男の話をするべきかどうか迷ったが話せなかった。
O君にも話してはいなかった。
のこぎり爺だったんだろうか?
その年の夏以降、俺たちはD山へは行かなくなった。
もっとクワガタが捕れる場所を見つけたのもあるが、何となくD山へ行くのが嫌だった。
太ももの傷はもう何十年経っているがまだ残っている。


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