Archive for 9月, 2011

爺ちゃんの怖い話

私がまだ小学校低学年の幼い子供だったころに、
趣味で怖い話を作っては家族や友達に聞かせていました。
「僕が考えた怖い話なんだけど、聞いてよ。」ときちんと前置きをしてからです。
特にじぃちゃんが私の話を喜んで聞いてくれました。
私はそれがとても嬉しかったんです。熱心に聞いてくれるのと同時に、こわがってくれたから。

そんな折、私の作った話がクラスの中で流行りだしました。
放課後の男子トイレで個室を叩くとノックが返ってくる。といったありがちな話です。
クラスの女子の間であっという間に流行り、噂は学年中、学校中へと広まりました。
「男子トイレの前で手招きする男の子を見た」とか言い出す女子も出てきていて
私がやっとその噂を知って「僕の作り話だってば」と言ってもきかず、
その後もまことしやかに囁かれ続けました。
ついにはそこで肝試しを始めるグループまで現れてしまいました。その肝試しでしたが、なにも起きるわけがないのに、
グループの子供が皆「ノックの音が返ってきた」と言うんです。大変な騒ぎでした。
そんなワケないだろ!?と思って作り話だということをアピールしようとしたのですが
当時の私は皆に冷たくされるのが怖くて言い出せませんでした。
しかし、そのうち私は自分の話が本当になってしまったのではないかと思うようになり、
すごく恐くなって自作の怖い話をすることをやめました。

その騒動があってからしばらくして
じぃちゃんが、怖い話をしなくなった私に「もう怖い話しないのかい」と聞いてきました。
私はもう泣きじゃくりながらその話をじぃちゃんにしたんです。
ほうかほうか、とやさしく聞きながら、こんなことを話してくれました。それはな、みんなが坊の話を本当に怖いと思ったんだ。
 坊の話をきっかけにして、みんなが勝手に怖いものを創っちゃったんだよ。
 怖い話を作って楽しむのはいいけど、それが広まってよりおそろしく加工されたり、
 より危険なお話を創られてしまうようになると、
 いつの日か「それ」を知ったワシらの目には見えない存在が、
 「それ」の姿に化けて本当に現れてしまうようになるのかもな。
 あるいは目に見えるものではなく、心のなかにね。  

 「おそれ」はヒトも獣も変わらず持つもの。
 「おそれ」は見えないものも見えるようにしてしまう。本能だからね。
 だから、恥ずかしくないから、怖いものは強がらずにちゃんと怖がりなさい。
 そして決して近寄らないようにしなさい。そうすれば、本当に酷い目にあうことはないよ。

私は、じぃちゃんも何かそんな体験をしたのかと思って
「じぃちゃんも怖い思いをしたの?」と聞きました。
すると、予期しなかったじぃちゃんのこわい話が始まったのです。昔、じぃちゃんは坊の知らないすごく遠くのお山の中の村に住んでいたんだよ。
 そこで、じぃちゃんの友達と一緒に、お山に肝試しに行ったことがあるんだ。
 そうだね、じぃちゃんが今でいう高校生ぐらいのころかな。
 お地蔵さんがいっぱい並んでいたけど、友達もいるし全然怖くなかった。
 でも、帰り道にじぃちゃんの友達が、お地蔵さんを端から全部倒し始めたんだ。
 「全然怖くない、つまらない」って言ってね。
 じぃちゃんはそこで始めてその場所に居るのが怖くなったよ。なんだかお地蔵さんに睨まれた気がしてね。
 友達を置いてさっさと逃げてきちゃったんだよ。
 そうしたらその友達はどうしたと思う?

死んじゃったの?

 ううん、それが何も起こらないで普通に帰ってきたんだよ。
 でもじぃちゃんはもうそれからオバケが怖くなって、友達と肝試しに行くのを一切やめたんだ。
 その友達はその後も何度も何度も肝試しといってはありがたい神社に忍び込んだり
 お墓をうろうろしたりお地蔵さんにイタズラしたり色々するようになってね。
 周りの人からは呆れられて相手にされなくなっていったよ。 
 人の気をひくために「天狗を見た」なんていうようになってしまった。
 じぃちゃんに「見てろ、噂を広めてやる」なんて言って、笑っていたよ。そして、ある日ふっと居なくなったんだ。
 じぃちゃんもみんなと色々と探したんだよ。
 そしたら…
 山の中の高い木のふもとで、友達は死んでた。
 木の幹には足掛けに削った後がてんてんと付いていてね。
 友達は自分で木に上って、足を滑らせて落ちたんだ。ばかなやつだよ。
 
 坊、世の中には人が入ってはいけない場所っていうのがあるんだ。
 それは怖い場所だ。
 坊だったらタンスの上もその場所だよ。
 落ちるのは怖いだろ。そういうことだよ。
 じぃちゃんの友達には、怖い場所が見分けられなかったんだ。

怖いね。ばちがあたったのかな。

 いいや、怖いのはここからさ。
 友達が死んでから、村の中のひとたちが次々に「天狗を見た」って言い出したんだ。
 じぃちゃんは「あれは友達のでまかせだ」と言ったんだけどね。
 友達が天狗の怒りに触れた、祟りだ、呪いだ、と皆は自分達でどんどん不安をあおっていった。
 夜通しで見張りの火まで焚いたんだ。
 皆が顔をあわせるたびに天狗の話をするので、村の中がじめじめしていた。そんな時に限って具合が悪くてね、村の中でケガをするのが4件続いたんだよ。
 どうってこともないねんざまで数に数えられてね。どう見てもあれは皆おかしくなってた。
 さらに噂に尾ひれがついて、「天狗に生贄を出さなくては皆殺される」とまで酷い話になっていた。
 
 そしてついに、本当に生贄を出そうという話をするようになったんだ。
 友達が死んだのは木から足を滑らせて落ちたからなのに、完全に天狗のせいになってた。
 村の中の皆も、人が入ってはいけないところに踏み入ろうとしていた。
 それはね、人の命だよ。 誰にもそれを奪う権利なんてないだろうに。
 じぃちゃんはね、天狗よりも村の中の皆がすごく怖かったんだよ。
 
 だからね、じぃちゃんは、その村から逃げてきたんだ…じぃちゃんのこの話は、その後もねだって2度程聞かせてもらいましたが
「絶対に内緒だぞ」と言われ、両親の居るところでは決して話しませんでした。
でも、今でも私の家には父方の実家はありません。
農家の次男のじぃちゃんが、庄屋の娘のばぁちゃんと駆け落ちしてきたからだよと、
私の両親からはそう聞いています。

じぃちゃんが私に自作の怖い話を聞かせてくれたのかとも思いましたが、多分違います。
その長い話が終わった時、
じぃちゃんは大粒の涙をぼとぼと、私の小さな手の甲に落としたのですから。


自殺サイト

ネットやってるといろんなやついるよな。荒らしとか冷やかしとかネット
でお悩み相談してるやつとか。
そんな俺はいわゆる『引きこもり』ってやつだ。何度か自殺も考えたよ。

自殺支援サイトって知ってるよな?一回いったことあるんだよ。
そこでさ、HN『ピロリン』ってやつが仲間を集めてたわけね。
俺も死のうと思って参加したわけよ。
んで、まあやっぱりいかにも過去につらい思い出がありましたってツラの
やつが集まったわけさ、下は15歳ぐらいのガキから上は60超える
ジジイまでな。

でも主催者のピロリンだけが来なかったわけよ。野郎ドタンバでビビリ
やがったな、って思ってよ。しょうがないから主催者抜きで自殺する
ことになったんだ。
で、そしたら死ぬ前に遺書とか残したいじゃん。みんなで遺書書いて
るわけよ。
俺も遺書書こうと思ったけど、どうせなら電話で昔俺のこと虐待して
くれさった親父に文句のひとつでも言ってやろうと思って
親父の携帯に電話したわけさ、
「もしもし」
「もしもし○和(俺の名前ね)今どこにいるの?お父さんが大変なの!」
電話に出たのお袋でよ。親父がぶったおれたらしいんだ。

驚いて自殺のことも忘れてトンで帰ったよ。
病院いったらもう親父死んでてね。
死因聞いたら殺人だとよ。胸にナイフ刺されてたそうな。
まあ俺は親父嫌いだったから死ぬ前に親父の死に目が見れて
うれしかったし、犯人に感謝したよ。つづく・・

でも結局それ以来自殺する機会失っちまってなぁ・・・
そういえばあのとき一緒に自殺しようとしてたやつらな。地方のニュース
でやってたけど自殺成功したらしいよ。
それが問題であの支援サイトも閉鎖になってな。とうとう俺も行き詰まりよ。
なんかその気も失せちゃって、その後はなんとなーくつまらん人生送ってたわけ。

ここまでが19のときの話。んでこっからが20のときの話。

親父が死んでからお袋変わっちまってなぁ・・・
すっかり生きる気力なくして親父の後追うようにお袋が自殺したよ。
俺はっつうと、一人っ子で身よりもなかったし、こんな家いたく
ないからとっとと土地売りはらって仙台に移り住んで
適当に仕事探してフリーターしてたもんよ。

まあでも俺って学歴も資格もしょぼかったんで、都心じゃ道路整備の
仕事とかそんなんしかなくてな。だるい肉体労働生活してたのよ。
そしたらそこで偶然にも中学のときの後輩にあってさ。そいつったら
ヤンキーやってて、今度遊ぼうぜって誘われたわけ。
で、アーケードわかる?あそこって10時すぎるとほとんど店もしまって人通りも
少なくなるから。夜中にそこで待ち合わせしたわけ。まあ今度仙台いってみそ。

そしたらそいつ(陸っつうんだけど)路上で3人ぐらいのババアにかこまれて
「まあカワイイ♪うちの娘の旦那にしたいわぁ~」
とかいわれてて、そのそばで携帯のストラップあるじゃん、あれ売ってる
30ぐらいの親父がいて、その親父のそばには19、20ぐらいのわけぇ
兄ちゃんや姉ちゃんがいてさ、タバコすっとるわけよ。変な光景かな?
なんか話しかけづらいからとりあえず俺もタバコでも
吸いながら地面に座って待ってたの。
10分ぐらいしたかな?そのババアどもが陸にバイバイ
言いながらかえっちって、
「おまたせ」
陸がこっち来たわけよ。
そっから陸にいろいろ友達紹介されてさ、そこにいたやつら、
30ぐらいのおっさんの
ミッチーっつうやつも含めてみんなそいつの友達なんだと。

そっからみんなで飯くい行くことになってな、店で話し込んじまったよ。
で、俺はっつうとそのミッチーってやつとなんか気があっちまってな。
可愛い女のことかもたくさんいたんだけど、朝までミッチーと話し込んでて、
んで皆が帰った後も二人で飲んでたわけ。

ミッチーは32のおっさんで、板前やってるデブで、
それだと若いコとの出会いがないから、
出会いを求めて夜中になるとアーケードで無許可でストラップ売ってるんだと。
そんなことしてると若いコよってくるジャン?
そのときに陸と知り合ったらしくてね。(ちなみに陸は男だぞ)
いっしょにいた兄ちゃんも姉ちゃんもヒマだから
ミッチーの手伝いで客引きとかしてたんだと。

俺も面白そうだなと思って、昼間は道路整備の仕事して
夜になるとミッチーのとこいって客引きやったりしてたわけ。
まあボランティアだから客引きは金にはならんけど。
そのおかげで俺も友達いっぱい出来てさ、女の子の友達も結構出来たわけ。
なんかだんだん人生が楽しくなってきてさ、不思議なもんだよ。
20になるまで死ぬこと考えてた引きこもりが、
気がつくと生きてることがたのしくて
たのしくてしょうがなくなっちまってよ。まだつづく・・

だけど楽しい時間はそんなに長く続かなかったよ。ある日、雨のよく降る日
だったからかなぁ~。すごく記憶に残ってるんだけど、
ミッチーが自宅で首つって自殺したんだよね。
なんか店の経営がうまくいかなくて、いろんなとこに
借金しててさ、毎日とりたて屋が店に来てて、
それが苦になって死んだらしい。
店の経営のことなんて全然話さなくてさ、そんなになるほど苦しんでた
なら相談して欲しかったよ。

ミッチーがいなくなると、俺らもアーケードに行く理由なくなるじゃん。
それにお互いあうとミッチーのこと思い出しちゃうし
なんかいきなしあいづらくなってさ、仕事にしたって
いまいち身が入らなかったんだよね。

んで嫌になってきて道路整備の仕事やめて地元帰ってきちゃったよ。

ここまでが20の話。こっからが21の話。

地元でアパート借りて、そっからは友達とかそういうのなんか嫌で誰とも仲良く
しないようにしながらスーパーのパートやりながら生きてたよ。

久々にネットやっててさ、そういえば、19のときの自殺支援サイトのこと
思い出して、似たようなサイトネットで探したわけよ。
んで見つけて掲示板に面白半分で書き込みしたのね、
僕と自殺しませんか~って。
そしてメールがきたのよあいつから・・・
ピロリンだよピロリン

『         ピロリンさん 200X/XX/XX(木)

 僕は××県のとある社会人です、生きていることが嫌で嫌で
 死にたいです。良かったら僕と一緒に死にましょう   
                             』

なんとなく気になっちゃってさ、メールしてみたのよ。
んであう約束してさ・・・

会社休んでそいつに直で会ってさ、あのときなんで来なかったのか
あれからなんで2年もの間生きてたのか、
どうして死にたいのかいろいろ聞きたくてね。

適当に喫茶店で待ち合わせして、先にいって待ってたら
そいつ昼間から厚手のコート着てでっかい帽子かぶっててさ、
いかにも人目さけてる感じで近づいてくんの。

「お待たせしました、ピロリンです」

なーんかおかしいんだよねそいつ、どっかであってる気がしてさ。
んで、よーく顔みたら似てるんだよね。
似てるんだよ、俺に・・・・

「僕はあなたのことを昔から知っています、2年前にあなたが自殺
したがってたことも、両親が死んだことも、去年あなたの友達が
自殺したこともね。僕の顔、そっくりでしょう。似てるはずですよ。
あなたの父親は昔から女癖が悪くて、結婚してからもよく浮気してたんですよ。
知ってましたか?あなたの父親が浮気相手と作った子供のこと。
それが僕ですよお兄さん。」

そいつは俺の腹違いの弟だった。そしてそいつの母親は親父との結ばれない
関係を苦にして自殺したらしい。
そいつの話だと2年前、通り魔事件で親父を殺したのは
自分だという。そいで親父の息子だった俺にも復讐したかったんだと。

どこから手に入れたのか、そいついきなり拳銃出してよ、
目つむりながら、ああ、俺の人生もこんなもんかって思ったよ。
バーンって音がなって、キャーって店の客が悲鳴あげてよ。

俺は椅子から転げ落ちて倒れこんでよ、

「救急車、店長救急車呼んでください!」

きっと店員さんが俺のために救急車呼んでくれてるんだろうな。
でももうだめだよ、撃たれてるし。どうせならこのまま死なせてくれって
思ってたら。あれ?どこも痛くないんだよね。
起き上がってまわりの様子みたら。俺の弟だっていってたそいつが
頭から血だしてぶっ倒れてるんだよね。

結局そいつは俺にその光景を見せたくて呼び出したらしくて、
そいつも自殺したんだよ。

これでとりあえずこの話は終わりなんだけどさ、2年前のあの日、
あいつは自殺しようとして支援サイトで仲間を集めたけど、
ドタンバで死ぬ前に親父殺すこと思いついて、
んで親父を殺し、そのあとでどうせなら俺の前で死のうとして
俺を2年間探してたんだろうね。
で、地元戻った俺をみつけて、自殺サイトに
たまたま俺が書き込みしてたからうまく連絡とって
会う約束してきたんだよ。

別に怖い話じゃなかったから面白くなかったかもね。
ただなんつーか、誰かに言いたかった。

今でも俺は仲間は作らないようにしてるよ。家族も恋人も友達も
なにもいらん。もう人の死にはかかわりたくないし。


歯形

865 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/06/28(木) 15:50
これは今から13年前に起きた出来事です。今ではあれが
何だったのか、、分かりません。幽霊であれば良いと
願っています。
 当時私は上京してきたばかりで右も左も分からない状態でした。
祖父からもらったぼろぼろの東京マップを手に、見知らぬ
都会をさまよいました。上京の理由は出稼ぎです。
 地方で職にあぶれていた私は遠い親戚を頼って来たのでした。
「職は知らんが住む場所なら安く提供してやろう」

叔父にあたる其の人は電話でしか話したことも無く、
まったくもって不安でした。普通なら不慣れな土地です。
迎えにきてくれてもよさそうなものだと思いませんか?
しかし今になって思えば、あのときの不安な気持ちは、
虫の知らせだったのかもしれません。

866 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 15:50
目的のアパートについたときは日が暮れかかっていました。
そこにはおばさんが立っていました。
「ようこそおいでました。お疲れでしょう。案内します」
私は案内されるがまま、その薄暗いアパートへと
入っていきました。入り組んだ場所に建っているだけで
なく、建物自体がさらに奥まったところへ伸びている為か
私はなにか、いいしれぬ圧迫感を感じました。
実際、日は暮れかかってましたが、まるで暗い洞窟に
入っていくような錯覚すら感じました。
小さなおばの背に止まっている蜂が妙に恐ろしく、
私は荷物を握り締め
「いやー、東京は始めてなので、人がおおくって」と
声を大きめに云いました。するとおばさんは振り向いて
「静かに!!!」と怒鳴りました。私はそのとき
そのおばさんが、女装したおじさんだと分かりました。

とっさの怒鳴り声が男の声だったのです。

私は意気消沈し、そのときは都会の恐ろしさを
感じました。今となってはそこが異常なところで
あったと自覚しています。

部屋は割と広く血なまぐさいのを除けば、文句が言いよう
が無かった。しかし東京の家賃は、いくら親戚価格で
提供してくれているといっても9万と高かった。
六畳が一間と床板のめくれた台所。水は耐えず濁っていた。
だが私専用のトイレは有り難かった。
しかし、といれの穴の奥からが一番血なまぐさかった。

867 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 15:51
おばさん、、いやおじさんの厚化粧はぎらぎらと
輝き、むっとする化粧の匂いがいつまでも吐き気を
催しました。そして化粧を落としてきたおじさんが
今度は何事もなかったかのように再び訪れて来て
挨拶をしました。
「遠いところご苦労様。所用で迎えにこれなくて
申し訳無い。。 女性が応対しただろう?
どうだった?」
「え?」「綺麗だったか?」そういうと小太りの
おじさんは私の目を除きこみました。アイラインと
言うのでしょうか?目のあたりがまだ化粧が落ちずに
残っていました。
「なんとも、、」あいまいに口だけで返事すると
おじさんはあからさまに機嫌が悪くなりました。
部屋に漂う鉄っぽい血のような香りと、私の脂汗と
おじさんの化粧の匂いが風も無い六畳に
充満していました。その夜、備え付けのほこり
臭く、ゴワゴワした布団に入っていると部屋の中に

思い出して気分が悪くなってきたので続きます。
続かないほうが良いかな、、。

873 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:46
部屋の中に、複数の動く物があります。気配というか、音というか、、
匂いと言うか、、とにかく何かが私のふとんの周りにいるのです。
しかし、私は強引に目を瞑って眠りました。相当疲れてもいたようです。
 次の日、いくつかの場所をあたってバイトを探しました。
しかし、なかなかに見つからず喫茶店でコーヒーを頼み、
街の喧騒に怯えながら小さくなって寂しい思いでした。
 、、、、ふと、私は自分のコーヒーカップを持つ手首に目がとまりました。
、、、、、、歯型?

 良く見ないと気づかない、しかしはっきりと歯型がついていました。
私は寝ぼけて噛んだのだろう。と思いこみました。
私のものよりはるかに小さな歯型がついた手で飲むコーヒーは不味かった。
正直、帰りたかった。

 しかし帰る場所はアパートでした。おじさんに会うのではないか?と
怯えながら部屋に足早に戻り鍵をかけました。
 血なまぐささは幾分、収まりましたが、、化粧の匂いが新しく残り香として
部屋に漂っていました。
 其の夜。

私がたくさんのよだれのついた布団をかぶり眠っていると、
またも、いくつかの気配が感じます。猫か?そう思いますが
私は熱帯夜のような(実際にはまだ夏ではなかったです)蒸し暑さの
中で汗をたらしながらも布団の中でふるえていました。

874 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:47
しかし私は逆に耐えきれず暗闇の中、ふとんからいきなり手を出し、
その黒い塊のほうへブン!と布団を持って払いました。
気のせいだと確かめたかったのです。しかし、私の手の甲はある冷たい
物にぶつかり、それは勢い良く壁にぶつかり畳に転がったようでした。
私は手に感じた感触に背筋が凍りました。昔、若い頃、喧嘩をして
殴った頬の感触と同じだったからです。黒い塊がころころと
転がってとまりました。そのときふいにそれが人間の頭部であると
理解出来ました。その刹那「ここどこ!!」突然それが低いドスの聞いた声で
叫びました。私は気を失ったようです。

目覚めると、たくさんの頭部は消えてました。私は汗びっしょりだったので
体を吹くためにシャツを脱ぎました。そして驚愕しました。
全身、歯型だらけだったのです。、、、、自分でねぼけてやったのでは
ありません。その証拠に私の頬に血が出そうなほどの歯型がついていました。
しかも、その歯型は大きいのから小さな小さな物までさまざまでした。
私は悲鳴をあげて出ていこうとしましたが、髭をそるのは忘れませんでした。

 おばさんおじさんは現れませんが、私はどんどん追いこまれていきました。
実際、このころの私は今思っても行動がおかしいです。
その最たる理由は相変わらずその部屋で寝てたことでしょうか。

875 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:47
私の体重は10キロ以上減り、傍目から気味悪がられるほど青白くなって
いました。そのせいか仕事もまったく見つからず、疲れ果てて帰るという
毎日でした。歯型は1日消えることなく全身に及び。
 面接官のひとりから、その歯型は?と質問されましたが
さしてうまい良いわけも見つからずそのまま「噛まれてるようですね」と
言ったところ苦笑されました。彼女にやられたとでも思ったのでしょうね。

しかし私の限界は近くなっていました。幻が見えるようになり、
歯型をかくすため全身に包帯を巻いたりもしました。
そのくせ表を出歩き、見知らぬ人に「おはようございます!」などと
大声で言ったりしてました。気が狂う直前だったようです。

 その夜はおじさんからのさし入れと書いてあり
栄養ドリンク剤が部屋においてました。私は疲れていたので
遠慮なくゴクゴク飲みました。そして私はいつもより深い眠りにおちたようです。
そのおかげか夜中に目が覚めたときすっきり頭がさえてました。そして
私の体にとりついている10数個の黒い塊が私を噛んでいる事が、
異常だとはっきりづいたのです。怖がってる場合じゃない。と。
まぁそうですね。。そう思ってる私は冷静なつもりでしたが、
ピークにたっしていたのでしょう。
ムクっと置きあがると暗い部屋の中で黒いかたまりがズズズっと
畳を転がるように進み台所に消えていったのを感じました。

876 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:48
私は「待てぇ!!!」と今まで上げたことの無いような声を上げると
台所に行きました。そしてそれらの影がなぜかといれに逃げた
ような気がしてトイレにかけこみました。トイレは和式でしたが
中は真っ暗です。電気をつけようとしましたがつかず、
私は荷物箱をひっくり返し懐中電灯を手にしました。

そして笑いながらトイレの中にライトを向けました。。
闇に照らし出される、、汚物、、目を凝らすとウジがうごめいてるのが
分かります。そして其の中に、、うつろに見上げるたくさんの
頭部が私を見上げていました。私の糞尿にまみれて。。。

 ぎゃぁああああ。私は悲鳴を上げ、なぜか帽子を手にとると
下着姿のままドアを蹴破るように飛び出しました。
ぎゃ!!ドアの向こうに誰かがいたようでした。振り向くと
女装したおじさんがマスターキーと、、包丁をもって倒れていました。
「いきなり開けるな!!」そう怒鳴られ私は無償に腹が立ち
近くの石をどんどん投げつけました。
おじさんは悲鳴をあげうずくまりました。私はいつしか投げている
石が人の頭であることに気づきました。それらがおじさんに
どんどん噛みついています。私は怖くなり、アパートを飛び出しました。

877 名前:865 投稿日:2001/06/28(木) 16:48
 あれ依頼、おじとは連絡をとっていませんし、連絡も来ません。
あの頭部が幽霊であってほしいと思っています。そうじゃないと私は
あのアパートにいる間、ずっと毎日、糞尿を、、、。

あれから13年がたち、今では遠い記憶になりましたが
私の首元に残る一つの歯型はしばらく消えませんでした。
私が殴った頭部だったのでしょう。


真夜中の少年

自分の話(怖くないけど)を。
数年前に友達とドライブに行った時の事。
結構盛り上がって帰る頃には夜中の2時を回っていた。
車も人も全く通らない道路を走っていると前方に人影が。道路の真ん中をフラフラと歩いている。
最初は酔っ払いかと思ったが近づいてみると小学生の子供だった。
こんな夜中に?
瞬時に俺らは楽しい気分が吹っ飛んだ。多分誰もが「幽霊か?」と思ったと思う。
スピードを落としてよく見るとちゃんとした人間のようだった。
そのまま見過ごすのは不憫だと思った俺らは車を止めて少年に近づいた。
俺が車を降りて「何してるの?」と聞くと少年はボソッと「遊んでた・・・・・」

夜中の2時に子供が遊んでいた?

その時点でかなり怖かったんだけど一応送る事にした。
車に乗せて話を聞いても要領は得ない。なんと言ってもその少年が終止無表情だったのが
ゾッとした。とくにその目。俗に言う「ガラス玉のような目」に始めて遭遇した。
その時の印象は「ああ、この子は人を信用してないんだな」というものだったな。
しばらく走ったところでそのこが「ここで良い・・・・」と言うので降ろした。
「本当にここでいいの?家まで送る?」と聞いてはいたが内心はホッとしていた。
後から友達にその時の話をするとみんなかなり怖かったらしい。
 ただの少年にここまで恐怖するとは思っても見なかった。
最初に浮かんだ言葉は「虐待」と言う言葉だった。
親に虐待されて完全に人を信用してないとああいう「目」をするのかなと思うと悲しくなった。


クレヨン

不動産屋で働く友人から聞いた話。

その友人が担当するマンションの空室に
一部屋だけ他と雰囲気の違う部屋があった。
その部屋に入ると、いつもなにか違和感を感じていたのだが、
ある日その部屋の廊下が、他の部屋より1m位短いことに気づいた。
他の部屋よりも短い廊下が、いつもこの部屋で感じる違和感の原因なのかと
友人は思ったそうだ。
しかし、なぜ短いのだろうかと思い、廊下の突き当たりの壁を叩いてみると
どうやら本来の壁と、今叩いている壁との間に空間があるようだった。
イヤな予感がした友人は支店長の許可をもらい管理人と一緒にその壁を壊してみた。

友人:「白骨死体でも出てきた方がスッキリしたんだけどさ。」

でも実際は、その空間の壁一面にびっしりと赤いクレヨンで
“お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん、お母さん・・・・”
と書かれていた…そうだ。


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