Archive for 3月, 2012

エレベーターを動かすな

昔の母校、今はもう廃校となってしまいましたが、
当時としては珍しく、その校舎にはエレベーターがありました。
エレベーターと言っても、現代のような完成されたものではなく、
吹きさらしの「かご」をワイヤーに吊るしたものといった御粗末な
ものでした。

そんな校舎で、やはり事故が発生してしまったのです。
ある女子生徒がエレベーターに挟まれて、即死状態というものでした。
事故の原因は、1階のエレベーターが降りる空洞部分に「髪飾り」を
落としてしまい、それを取ろうとした女子生徒が不運にもエレベーターの
下敷きになってしまったということです。
それ以来、エレベーターは使用禁止になってしまいました。
それから約2年ほど経った頃(昭和43年頃)のことですが、
その校舎にも夜間警備員が常駐されるようになりました。
にわかに警備員が夜間に幽霊らしきものを目撃するといった話しが現れて
きたのです。その話しを聞くと、新米の警備員が夜間にエレベーターを動かそうと
すると、どうやらエレベーターが行きつく最上階から、怒号がするというのです。
「ウ ゴ カ ス ナ ッ」
更に、青白く半透明で薄く押しつぶされた霊魂を見たとのことです。
それ以来、その話しは校舎に纏わる伝説となっており、
今も尚、エレベーターは動かず安置されているとのことです。


たすけて

もう5年くらい前の話です
週末の深夜になると仲間で車で集まっては夜明けまで峠を流したり騒いだりしてた頃がありまして
その夜も峠でドリフトの真似事とかしてたんですね
助手席には先輩乗っけててお互いの運転でおおげさな悲鳴あげたり馬鹿笑いしたりして
そのうち仲間ともちりぢりになり、そろそろ疲れたし帰って寝よう、と
俺の運転で帰路についた・・と思ったのですがどこかの私道に入り込んでしまったらしく、気が付くと
両側とも木々が生い茂る狭い道をガタゴトと走っていたんですが
すぐバックで引き返せばすむ事を、面白がって「いくとこまでいこう!」と笑いながらその道を走り続けたんです

だんだん霧が深くなってきて、あ、こりゃ廃道だったらヤバいな、と
二人とも無口になってきたところで、少し道が舗装されて広いところにたんですね
見ると まばらに民家とか見えてきて、ああ、小さな村だなと気づきました

・・さすがに深夜だからか、どの家も明かりも外灯もついておらず「廃村じゃねえの?」と先輩がつぶやいたときです

車をとめた道の先から、だれか走ってくる!

先輩も俺も息をのんで20メートルくらい先をみつめました
どんどんちかづいてくる、それは男で、上半身裸で、両手を振り回して、なにかを叫んでいる・・ 血だらけで!

「・・・た・すけ・・た・・すけて・・  たす・・けて・・」

男の手が車のボンネットに触れるかというところで先輩が叫びました
 
「出せ!!」「出せ!!」

その叫び声の真剣さに反射的にバックのままエンジンを吹かし男を残し俺達は逃げて逃げました

やっと車は見覚えのある道に出られ、俺は落ち着きを取り戻し
「いやぁ・・びびったすね・・でもあのおっさん助けよんでたみたいだけど・・
先輩パニくってるから、俺も逃げちゃったけど・・・大丈夫かな?」

おまえ、あのおっさんが車に触れる瞬間、何て言ったか聞いたか、と
先輩はまだ青い顔でつぶやきました

「あのおっさん・・こういったんだ」

 た す け て や ら な い


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