顔を両手で覆う人々

人ごみにまぎれて妙なものが見えることに気付いたのは去年の暮れからだ。
顔を両手で覆っている人間である。ちょうど赤ん坊をあやすときの格好だ。
駅の雑踏の様に絶えず人が動いている中で、立ち止まって顔を隠す彼らは妙に周りからういている。
人ごみの中でちらりと見かけるだけでそっちに顔を向けるといなくなる。
最初は何か宗教関連かと思って、同じ駅を利用する後輩に話を聞いてみたが
彼は一度もそんなものを見たことはないという。その時はなんて観察眼のない奴だと内心軽蔑した。
しかし、電車の中や登下校する学生達、さらには会社の中にまで顔を覆った奴がまぎれているのを見かけて
さすがに怖くなってきた。
後輩だけでなく何人かの知り合いにもそれとなく話を持ち出してみたが
誰もそんな奴を見たことがないという。だんだん自分の見ていないところで皆が顔を覆っているような気がしだした。
外回りに出てまた彼らを見かけた時、見えないと言い張る後輩を思いっきり殴り飛ばした。

俺の起こした問題は内々で処分され、俺は会社を辞めて実家に帰ることにした。
俺の故郷は今にも山に飲まれそうな寒村である。
両親が死んでから面倒で手をつけていなかった生家に移り住み、しばらく休養することにした。
幸い独身で蓄えもそこそこある。毎日本を読んだりネットを繋いだりと自堕落に過ごした。
手で顔を覆った奴らは一度も見なかった。
きっと自分でも知らないうちにずいぶんとストレスがたまっていたのだろう。そう思うことにした。
ある日、何気なく押入れを探っていると懐かしい玩具が出てきた。
当時の俺をテレビに釘付けにしていたヒーローである。
今でも名前がすらすら出てくることに微笑しながらひっくり返すと俺のものではない名前が書いてあった。
誰だったか。そうだ、確か俺と同じ学校に通っていた同級生だ。
同級生といっても机を並べたのはほんの半年ほど。彼は夏休みに行方不明になった。
何人もの大人が山をさらったが彼は見つからず、仲のよかった俺がこの人形をもらったのだった。

ただの懐かしい人形。だけど妙に気にかかる。気にかかるのは人形ではなく記憶だ。
のどに刺さった骨のように折に触れて何かが記憶を刺激する。
その何かが判ったのは生活用品を買いだしに行った帰りだった。
親友がいなくなったあの時、俺は何かを大人に隠していた。
親友がいなくなった悲しみではなく、山に対する恐怖でもなく、俺は大人たちに隠し事がばれないかと不安を感じていたのだ。
何を隠していたのか。決まっている。俺は親友がどこにいったか知っていたのだ。
夕食を済ませてからもぼんやりと記憶を探っていた。
確かあの日は彼と肝試しをするはずだった。夜にこっそり家を抜け出て少し離れた神社前で落ち合う約束だった。
その神社はとうに人も神もいなくなった崩れかけの廃墟で、危ないから近寄るなと大人達に言われていた場所だ。
あの日、俺は夜に家を抜け出しはしたのだが昼とまったく違う夜の町が怖くなって
結局家に戻って寝てしまったのだ。
次の日、彼がいなくなったと大騒ぎになった時俺は大人に怒られるのがいやで黙っていた。
そして今まで忘れていた。

俺は神社に行くことにした。親友を見つけるためではなく、たんに夕食後から寝るまでが退屈だったからだ。
神社は記憶よりも遠かった。大人の足でもずいぶんかかる。
石段を登ってから神社がまだ原形をとどめていることに驚いた。
とうに取り壊されて更地になっていると思っていた。
ほんの少し期待していたのだが神社の周辺には子供が迷い込みそうな井戸や穴などはないようだ。
神社の中もきっとあのときの大人たちが調べただろう。
家に帰ろうと歩き出してなんとなく後ろを振り返った。
境内の真ん中で顔を両手で覆った少女が立っていた。
瞬きした。少女の横に顔を覆った老人が立っていた。
瞬きした。少女と老人の前に顔を覆った女性が立っていた。
瞬きした。女性の横に古めかしい学生服を着込んだ少年が顔を覆って立っていた。
瞬きした。皆消えた。
前を向くと小学生ぐらいの子供が鳥居の下で顔を覆って立っていた。
俺をここから逃がすまいとするように。
あの夜の約束を果たそうとするように。

人気ブログランキングへ 


手紙

東京に上京している専門学校生の友人から聞いた話です。
千葉県‥‥といっても比較的東京寄りの地域に住んでいる女性がいました。
彼女は気立てがやさしく正義感の強い、25歳程の女性(A子さんとします)で、
5歳年上の会社員の彼氏と同姓しており彼女自身も東京の比較的都心に近い場所にある
会社に某私鉄の東○線を利用してOLとして働いていたそうです。
2人の付き合いは長く、築20年を悠に超えるであろうアパートでの2人暮らしはすでに5年目を迎え
お互い口に出さないながらもそろそろ結婚も‥との思いからか、
ひそかにそれぞれ貯金しながら切り詰めた生活を送っていました。
年末も押し迫まったある日、彼が中心となって立ち上げたあるプロジェクトが大成功を収め、
大仕事を成し遂げた彼は昇進したそうです。仕事に自信が出てきた彼はこれを機会に
A子さんへのプロポーズを決意し、A子さんも喜んで受け入れ2人は夫婦になる約束をしたのでした。
ある日、残業で遅くなったA子さんが足早に帰宅の戸に付くと
玄関の郵便受けに便せんが入っているのに気が付きました。
数日前に結婚披露宴の資料の請求をしていたので
それが送られてきたのかなと思いつつ手にとってみましたがどうもそうではないようです。
消印の日時は経年劣化のように擦り消えかかった状態で読み取れず、
宛名欄に「○○(ある地方でしか見ないような特有の苗字)」となんとか読み取る事ができるやけに古めかしい便せんで

ある事に気が付きました。
A子さんとは苗字が違うので、配達員が間違ったのかなとふと考えてみたものの
自分達が住んでる部屋の両隣に住んでいる住人もその比較的珍しい苗字ではない事に気づいたA子さんは
おかしいなと思いましたが、気立ての優しい性格がそうさせたのか彼女が住んでいるフロアに
この手紙の受取人がいるのでは‥?と思い一軒一軒尋ねて廻ってみたのです。
しかし、彼女が住んでいる2階フロアはもとより1階フロアにもその苗字の住人はいない事が判明しました。

A子さんは、おかしな事もあるもんだ‥と思いつつもこの手紙を待っている人がいたらと思うと
気軽に捨てる事もできず、アパートの大家にこの手紙について相談する事にしたのでした。
アパートの隣にある大家の家をA子さんが尋ねると70歳前後の男性の管理人が姿を現しました。
挨拶も程ほどにこの便せんを手渡しどうするべきか指示を仰ごうとすると、
それを受け取った管理人の表情が微妙に引きつったように変化したのを
A子さんは見逃しませんでした。A子さんが問い詰めると、
管理人は重い口を開き語りだしました。
この便せんに書かれている○○という珍しい苗字の人間は
今は当然A子さんが住んでいるアパートにいるわけもなく、
管理人さんが20年ほど前に、当時携わっていた仕事が大成功して大もうけし、
それを機会に今でいう脱サラをして不動産業にくら替えし、
このアパートを建てた20年前に最初の住人として住み着いた地方出身の夫婦の苗字と同じだという事です。
この管理人とも年が近い事もあって親しい友人のように付き合っていたそうです。
しかしその夫婦はすでに十数年前に実家に引越してしまったそうです。
このまま捨ててしまう気持ちにはとてもなれず、失礼ながらも管理人さんは
この朽ち果てていると言ってもいい古ぼけた便せんを空けて中身を確認する事にしたのです。
そうする事で何か次に繋がる情報を得られるかも知れないと思ったからです。

中に入っている手紙には次のように書き綴られていたそうです‥‥

‥ここはどこだろう‥‥耳を澄まして‥‥みます‥‥‥‥。そうか‥‥
‥ここ‥は‥‥地下‥鉄‥‥?体に感じる‥ガタンゴトンという‥特有の‥感覚と‥‥
‥トンネルの‥中とわかる騒音‥‥‥でそうだと‥わかりました‥‥。
‥‥お母さんとも‥よく買い物に行く時に‥‥一緒に乗りましたね‥‥。
‥でも‥おかしい‥‥。私は‥眠っていた‥‥の?‥いつ
‥地下鉄に乗ったの‥だろう‥?‥‥具合が‥悪くて気を‥失って‥しまった‥の?
‥‥何が‥どうなって‥いるのか‥わかりません‥‥
‥耳を澄まして‥周りを見てみると‥‥人の気配や‥電車の揺れる‥音が聞こえる‥のですが
‥‥‥何かが‥おかしい‥です‥‥周りにはたしかに‥人がいる‥のですが‥‥顔が見えないのです‥‥
‥勇気をだして‥声を出して‥みました‥が‥だれも返事を‥してくれま‥せん‥‥
たしかに‥電車に‥乗って‥地下鉄を‥進んでいる‥のに‥何が‥どうな‥って‥いるのか‥わからない‥‥
‥そうだ‥今何時‥だろう‥と思い時計で時間を‥確認しようと‥しても‥時計をしていないのに‥気づき‥ました‥‥。
なにか大事な‥用事があったような‥気がします‥誰か‥いませんか‥‥
‥気配は感じる‥のに‥あいからず‥だれも答えてくれません‥‥‥体の具合が‥悪いのだろうか‥‥‥
漠然と‥そう思いながらも‥‥さらに‥何か‥おかしい事に‥気づきました‥‥‥。
いつまで‥たっても‥‥駅に着く気配が‥‥ないの‥です‥‥。声を出してだれか‥の反応を‥待っても‥
だれも‥答えてくれません‥‥目をつぶって‥‥いると
‥ふと‥視界が明るく‥‥なっていく‥‥感覚‥‥になり‥ました‥。
‥‥やっと‥私が‥降りる駅に‥‥着いたみたい‥‥です‥‥。駅名の‥‥標識を‥見ても‥目に見えなくても‥‥はっきりと‥感じとること‥が‥できま‥す。
電車は‥停車し‥ドアが‥開き‥私は降りようと‥‥立ち上がろうと‥しました‥‥が‥
‥足が‥動き‥ません‥‥必死に‥動かそうとしてました‥が‥だめ‥‥した‥‥‥。
‥‥まぁ‥いい‥か‥次の‥駅で‥‥降りて‥折り返せば‥いいんだ‥‥と思い‥ながらも
‥長い‥長い‥次の駅までの‥‥時間‥を過ごす‥ことにしました‥‥。でも‥だめなん‥です‥‥
いくら駅に‥つこうにも‥‥立ち上がることが‥‥できないの‥です‥。
‥‥何時間‥‥いや‥何十‥時間‥‥‥、何日‥‥‥‥過ぎたで‥しょうか‥‥‥‥
‥漠然と‥私は‥理解‥‥‥しまし‥た‥‥‥。‥私‥‥は‥‥‥死んで‥‥いるん‥‥だ‥‥‥‥。
‥‥そう‥だ‥‥‥、手下げバック‥‥に‥手紙と鉛筆が‥入っている‥‥のに気が‥‥つき‥ました‥‥。
‥‥わたしは‥もう‥戻れない‥‥‥のでしょう‥‥なので‥‥手紙を書く‥事に‥しまし‥た‥‥。
‥‥駅に‥停車したら‥‥ドアの外に‥向かって‥便せんにいれた‥この‥手紙を‥‥投げれば‥‥誰か‥‥ポストに‥
‥入れて‥‥くれるかも‥‥しれません‥‥なので‥‥切手も‥貼って‥おきます‥ね‥‥
‥‥お母さん‥お元気で‥‥‥お父さんも‥ね‥‥、スケジュール‥帳に‥七時‥駅前‥大橋さん‥‥そう‥だ‥思い出した‥‥
‥私は‥婚約者の‥大橋‥さんと‥‥待ち合わせ‥していたの‥ね‥‥‥でも‥もう‥遅いみたい‥‥‥
‥切手は‥一枚‥しかないので‥大橋‥さんにも‥よろしく‥ね‥‥‥‥‥‥さよう‥なら‥‥‥‥‥‥‥‥

そこで手紙の内容は終了していました。
管理人の話では、今A子さん達が住んでいる部屋は
この手紙の送り主であろう女性の両親が住んでいた部屋だったのです‥‥
‥20年前に書かれた‥?であろうこの手紙が現実に届くなんて‥ありえません‥。
A子さんは図書館に走りました。
そして20年前の新聞を手当たりしだい読み漁りそして発見しました。
20年前に千葉の某駅の入り口で恋人と待ち合わせていたであろう女性が、
酔払い運転の暴走車にひき逃げされ、ちょうど待ち合わせの時間に
居合わせた彼がすぐに救急車を呼んだのも空しく彼女は即死だったそうです‥‥。
A子さんはこの事故の件を管理人に話すと
この事件を知っていた管理人は遠い目をしながらこう話したそうです。
この夫妻の娘は黒髪がとても綺麗で腰近くまであるロングヘアーで、漆黒のような黒髪もあいまって
「やまとなでしこ」という言葉がぴったりのとても清楚できれいな女性だったそうで
両親も娘の結婚を楽しみにしていたそうです。
しかしこの事件で娘を失った○○夫妻は、娘が死んだ土地にいるのはさすがにつらいという事で
夫の実家である地方の田舎に引っ越していったそうです。

現実に存在するはずもない手紙になんともいえない違和感を感じながらも、いたたまれなくなったA子さんは
この手紙田舎にいる両親に送ろうかとも思いましたが過去のつらい思い出をぶり返させてしまうのも忍びないと思い
あるお寺の住職に渡して供養してもらう事にしました。お寺の住職に手紙を渡し終え、
心の中で手を合わせて女性の冥福を祈りました。
そしてA子さんは千葉に帰るために地下鉄のホームで電車を待つことにしました。

時間帯がよかったのか待っている人はだれもおらず、
一人でベンチのような腰掛に座って晩御飯のおかずどうしようなんて
たあいもない事を考えていると地下鉄に列車が入ってくるのを
知らせるアナウンスが鳴り響きゴゴゴゴーと列車がやってきました。
腰掛を離れ、誰もいないホームで黄色線に足を運ぶとふと階段方向から懐かしい声がしました。
声の主は学生時代の親友のN子でした。しかしN子の顔色がなんとも優れないのです。
体の調子が悪いのかなぁと思いながらも久しぶりの再会ということで、というより
N子の強い押しもあって電車には乗らず駅の中にある喫茶店でお茶でも飲もうという事になりました。

懐かしさのあまり2人は時間がたつのも忘れて卒業してからの事や付き合ってる男性の事などを話しました。
そして話題もつきるとA子は不思議な手紙の件をN子に話しました。
するとただでさえないN子の顔色がより一層真っ青になったのでした。

手紙の話しを聞いてしまったN子は言える筈もありませんでした。
先ほど駅のホームで乗り口に進入してくる列車に向かって
歩きだすA子の後ろに、やけに古い服装をして腰まである黒髪の女が
鬼のような形相で、A子をホーム下に落とそうとしている姿を‥‥‥

人気ブログランキングへ 


寄ってくる

ある夕方も暮れに差し掛かった中学校のとある教室に、
二人の少女がまだ居残ってた。仮に名前をAとBにしよう。
中学2年生で、バレー部だった二人は、外がもうそろそろ
暗くなってきたから帰宅することにした。

下校の途中で、Bが荷物を教室に忘れていたことに気づく。
「A!ごめん…一緒に取りに言ってくれない?」とAを
誘ったのだが、日はすでに沈んでいたため、Aは嫌がった。
それでもBがしつこいため、嫌々学校に戻っていった。

学校についた頃は、辺りはすでに真っ暗だった…。

教室にたどり着き、荷物も手にしたところで、
さあ帰ろうとなったときにBがAに提案した。
「そうだ、なんか凄く怖い雰囲気だし、怖い話しない!?」
Aはさすがに嫌だと即答したが、なぜかBがロウソク
なども準備して、火を灯して座り始めて語りだしたため、
しぶしぶと仕方なくホラー対談に付きあった。

しばらく二人で怖い話をしあって、鳥肌が立ちまくり。
でも二人とも笑っていたので、まあまあ楽しめたらしい。
その時、廊下からズカズカ集団で歩いてくる音がした…。
しかもその集団は、自分達のいる教室へと向かってくる。

「何!?何?」とBは立ち上がった。Aもビクビクしていた。
とうとう集団の足音が教室のまえでとまり、ガラっと勢い
よく扉は開いた。「あ!二人ともなんでまだここにいるの?」
そこにいたのは、10人のバレー部員の中間たちだった。

AとBはホっとした。「な~んだ、みんなだったんだ!」
今頃帰ってきたの?とB。実はバレー部で、合宿に行って
いたのだったが、AとBは風邪をひいていたためその
合宿にいけなかったという。そのほかのメンバー達が
帰ってきてたのだ。

「ちょwというか二人ともなにやってるの?」と部員たち。
ホラー話をしていることを伝えると、部員たちも楽しそう
だからとのことで話に加わった。人数も増えたため、
恐怖も激減するだろう。AとBは安心しきっていた。

しばらくたってからだった。
「私も仲間に入れて」と呼びかける声がした。

みんなで振り向くと、教室の隅っこに見知らぬ女の子
が立って、仲間に入れてもらいたそうにこっちを見ている。
しかしいつの間にそこにいたのだろうか。ドアは閉まって
いたのだが、開いた音さえみんなには聞こえてなかった。

みんなちょっと不思議に思ったが、「あなた、誰なの?」
とみんなで聞いてみた。「私、転校生なの。明日からこの
クラスに入ることになってて…」ということで、みんな納得。
その13人目の女の子を話に加えることにした。

そしてまた、しばらく経ったころだった。
部員の一人が、「ねえねえ、怖い話してると幽霊が寄って
くるって聞いたことがあるんだけど…」と言い出したため、
みんなどうしよう、どうしようと一斉に怖がった。で、
もう怖いから帰ろう、帰ろうということに話は進んだ。

しかしここでBが、
「【とっておきの恐ろしい話】があるんだ!最後に話させて^^」
とみんなに言った。

まあ最後なら、ということで、しかもとっておきという
ことで、みんなはBの話を聞き始めた。
「あのね、この学校で、自殺した女の子がいるっていう
噂があるじゃん。でも先生達、誰が、どこで自殺したとか、
まったく教えてくれないじゃん。」みんな、うんうん頷く。
「あのね…どこで自殺したかっていうとね…」

「ここよ」

とうえから声がした。
みんなゆっくり上を向いてみると、そこには恐ろしい
顔をした首吊りしたいが揺れていた。よくみると、
その子はさっき参加した13番目の女の子だった…。

「ギャァァァアァァアァアアアア!!!」」
みんなは一目散に教室を抜け出し、階段を駆け下り、
後ろを振り返らずにそれぞれの家へと走っていった。
たまたま、AとBは近所だったため、一緒に走っていった。
Bが先に家につき、Aは一人で泣きながら走っていく…。

そして、家につき、出迎えてくれた母に、帰りが遅く
なったことを叱られながらも、親の顔を見ていっきに
Aは安心して、ホッとした。

夕食の準備もして、Aは家族とテーブルについた。
いざ食べようとしたところで、電話が鳴って、母がでた。
「ねぇA?Bちゃんから電話よ。急いでるみたい」
Aはなんだろう…と思いながらも、電話にでた。
Bはヒステリックになっていた。

「ねえA!?テレビ見た?ニュース見た?今すぐ見て!」
とB。Aはテレビを付け、ニュースを見た。ナレーターが
緑の茂った山場の映像のニュースについて解説していた…。

「本日、お昼の12時半、山でバスが墜落し、乗客12名
の死者をだしました。乗客は、運転手1名、教師1名、中学生10名………」

人気ブログランキングへ 


廃屋のかくれんぼ

私が幼稚園児の頃の話。

幼稚園の隣りに木造二階建ての廃屋がありました。

当時の私はその建物(隣接大学の旧校舎らしい)が何なのかわからず、ただ先生の「あそこで遊んではいけません」という言葉を無視して、毎日のようにその廃屋で友達とかくれんぼをしたりして遊んでいました。

その日もまた、友達数人とかくれんぼをしていました。鬼はA君です。

A君は廃屋の外で数を数え、私たちは一斉に廃屋内に自分の隠れ場所を探しました。

私は2階の部屋にある、アップライトピアノと積み上げられた段ボールの間(鍵盤の下側の空間)に隠れました。

しばらくすると、二階に上ってくる足音が聞こえました。足音は私のいる部屋とは反対にある部屋へ向かって遠ざかって行きます。

息を潜めて隠れていると、あの足音が私のいる部屋に向かって近づいてきました。

部屋に人が入る気配を感じ、さらに身体を低くして隠れました。

「どこー?どこー?」という声が、段ボールを隔てた向こう側でしました。

あれ?これ・・・・・・・・・誰の声?

私はその声に聞き覚えが有りませんでしたが、鬼役のA君の声ではない事はわかりました。

ただ、当時の私たちには「遊び(かくれんぼ等)の途中から参加した人は、最初は鬼をやる」というルールが遇った為、誰かがA君と入れ替わって鬼をやっているのだろうと思いました。

鬼は「どこー?どこー?」と繰り返しながら、部屋の中を歩き回っています。結局私は見つからないまま、鬼は部屋を出て行きました。

どれ位時間が経ったでしょうか。

「おーい!B君(=私)とC君!!降参だから出て来てー!」と、A君の呼ぶ声がしました。

「やった!勝った!」と思い、一階へ降りて行くと、玄関の入ったところに、A君と見つかった数人の友達が立っていました。

A君は私を見るなり「B君、今日は二階は禁止っていったじゃん!!見つかる分けないよー。」と言うのです。

人数が少ない時は二階を禁止して一階だけでかくれんぼをする時もあったため、私は「え?そうだった?ゴメン・・・。」と謝ると「でも、さっき二階に誰か探しに来たよ。A君、誰かと鬼変わったんじゃないの?」と聞きました。

「え?鬼は僕だよ。誰とも変わってない。」とA君。

「あれ?C君は?」誰かが言いました。最後まで見つからなかったのは、私とC君です。その場にいた全員で「Cくーん!!」と呼ぶと、目の前の廊下の床下が「ガバッ!!」と開きました。

出て来たのはC君です。

そこが収納スペースだったのか、たんに床板が脆くなって外れたのかは覚えていませんが、C君は廊下の床板を持ち上げ、その下のスペースに隠れていたのです。

「そんなところに隠れてたの!?すげえ!」と皆が声を挙げました。

次の瞬間、「わぁーーーーーーっ!!」という悲鳴を上げて、C君が駆け寄ってきました。

C君は自分が隠れていた床部分を指差し、「あれ、なんだよ!」と怯えています。

私たちは廊下にポッカリと空いた穴に近寄りました。

真っ暗な穴の中を玄関から入る陽の光で照らして覗き込むと、そこには、3cm程の小さな「人形の右手だけ」がギッシリと敷き詰められていました。

私たちは悲鳴・驚嘆の声を上げ、一斉にその場から逃げ出しました。

それ以降もその廃屋で幾度となく遊んだとは思うのですが、もう全く覚えていません。人形の手が、何故あんな場所に、あんなに大量に有ったのかもわかりません。

ただあの床の穴を覗いた時の光景は、今でも鮮明に覚えています。

そして今では、「どこー?どこー?」という声の主は、あの右手を探していたんではないかと思っています。

人気ブログランキングへ 


次はお前だよ

ある4人家族がとある地方の旅館に宿泊。深夜に娘か母親が
トイレで惨殺されているのが発見された。

全身を刃物で滅多刺しにされ、顔面は誰だか判別がつかなくなる程
斬り付けられていた。死体には舌がなかった。
トイレには格子のついた幅30・、高さ10・程の窓と小さな通風孔があったが、
とても人の入れる大きさではない。
カギもかけられていた。誰がどこから侵入してきたのか・・・。

警察はその旅館を経営している夫婦、その息子、近辺の変質者などを
聴取したが、現場が密室だったこともあり、迷宮入りになるかと
思われたが、ある日、旅館経営者夫婦に付き添われたその息子が署に出頭。
「近所の目もあり、なかなか正直に話すことができなかったが、
とんでもないことになったので、お話します」

「息子は盗撮が趣味で再三注意していましたが、事件当夜もビデオカメラで
天井裏から個室を撮影していていたのです。撮影していると格子のはまっている
小窓のガラスが開き、ガラスの破片を持った小さな・・・、いや、
このビデオテープに一部始終がはいっていますので・・・。」

息子はビデオテープについて訪ねられると、恐怖が蘇ったのか半狂乱に。
精神に異常をきたすほどの何かがこのテープに入っているのかと思い、
捜査員達もテープを再生するのを恐れた。

そのテープには排尿する女性を俯瞰で撮影した映像が収っていた。
和式便器にしゃがんでいた女性が立ち上がろうとしたその時、
小窓からガラスの破片らしきものを握った小さな、15~20・程の
老婆が音もなく飛び込んできた。女性は悲鳴をあげる間もなく
咽を掻き斬られ、そして顔中を、体中を斬り付けられ・・・。
女性が息絶えると、小さな老婆は死体から舌と頭皮の一部を切り取り、天井を見上げ、
「次はおまえだよ」
と言って小窓から出て行った・・・。舌と、髪の毛のついた頭皮とを持って。

捜査員の中には、嘔吐するもの、泣き出すもの、恐怖の余り失禁する
者もいたという。結局事件は未解決のままだが、警視庁に、件のビデオテープが
今なお保管されていると言う。

人気ブログランキングへ 


  • PR

  • アマゾン ホラーランキング

    Powered by fun9.net
  •  

    2024年11月
    « 4月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
  • 最近のコメント

  • Copyright © 1996-2010 2chの怖い話. All rights reserved.
    Jarrah theme by Templates Next | Powered by WordPress