俺と嫁のなれ初め

2年程前から、隣町に住んでる女に言い寄られてた
高校からの友達で性格は良いんだけど顔が好みじゃないから、
やんわりと付き合えないと断り続けてた
その頃仕事も上手くいかず、悪いことは重なるもので母ちゃんが事故で死んだんだ
同情だけは絶対にされたくないから、
母ちゃんが死んだことを誰にも言わず一人で落ち込んでた
母ちゃんが死んだその日の夜、その女から電話が
「お母さん亡くなったらしいね・・・。」
「・・・」
「今まで言わなかったけど、私もお母さん死んだんだ・・・
昨日だよ。家の階段から落ちたんだ・・・」
「・・・え?」
「・・・一緒だね」

・・・この一言で救われた様な気がした。彼女なら分かってくれると思った
同情なんていらないと思ってた。ただ甘えたかったんだ
抑えてた感情が一気に溢れ出し、大の大人がわんわん泣いちまった
そんな俺の醜態にも、彼女は一緒になってわんわん泣いてくれて、
いつしか彼女のことが好きになってた
これが俺と嫁のなれ初め

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違和感と雑音

関西方面のある有名なホテルで。
2泊3日の旅行で泊まることになった。

1日目に3時過ぎにチェックインして部屋に向かい、何故か入った瞬間にいきなり咳き込む。

テレビのチャンネルや電灯のスイッチやデジタル時計が置いてある棚の上に、少し古めの小型ラジオが置いてある。
このご時勢にラジオが置かれてることに少し驚きつつも、チャンネルに手を伸ばしテレビをつけるといきなり映ったのは砂嵐。

結構有名なホテルだったので、最近のテレビが設置してある。
だからテレビをつけて直ぐに映るのはそのホテルの案内映像だと思ってただけに少し複雑な気持ちに。

ましてや客を通す際にせめて砂嵐以外のチャンネルにしててくれよ。
などと思いながらもゆったりとソファーに座りテレビを観る。

その後、妻と一緒にホテルのロビー横にある土産コーナーを少し眺め、夕食をビュッフェにするか中華にするかフランス料理にするかを悩みながら一旦部屋に戻る。
少し違和感を感じるもその時は特に分からず。

夕飯を済ませ部屋に戻り売店で買ってきたスルメと冷蔵庫の中のビールを飲みながらテレビを観てると、妻が「先にお風呂に入るね」と風呂場へ。
そこで再度違和感が。

酔ってるからか認識は出来ないが何か先程までと違う。
でも何が? それが分からない。

妻が風呂場から出てきたので自分も入りその日は寝ることに。
久しぶりにダブルベッドだし、一緒に寝ようと言い棚を挟んだ、妻のベッドへと移る途中に「ゴリッ」と音が鳴る。

何か踏んだ感触は足には無い。妻も特に何かを押し潰したような事は無い。
何の音か確かめようと足元を見るも何も無い。

1日目はそのまま寝て次の日は朝から観光に。
帰宅したのは夕飯後の7時。

部屋に入り前日同様にビールを飲みながらテレビを観てる時に、また妻が「風呂にはいるねー」と言う。
ここで予期せぬ事が。

「うん」

だとさ。

ん? 誰が?? 聞き間違いか?
俺酔ってるのかな。と思いなおし妻に

「今なんて?」

と聞き返す。

「え? お風呂先に頂きますって言ったんだけどー」

と言うので、「今そのあと返事した?」と返す。

妻は聞き流しながら風呂へ。
何か昨日から違和感があるな。と思い始めるが分からない。

すると

「ゴホン。ゴホン」

と隣の部屋から咳き込む声が聞こえる。

初めに俺もこの部屋に入った時咳き込んだけど、有名ホテルの割りには掃除怠けてるのか。
などと愚ちりながらビールを飲み干す。

あれ? 有名ホテルだよな?
ここって結構値段もして久しぶりの旅行だから良い部屋取ろうって言って選んだんだよな?

なんで横の部屋の咳払いが聞こえるんだ?
と酔いが醒める。

俺飲みすぎたか。と少し自重し妻が上がった後に風呂へ。
風呂を出て妻と一緒に寝る為ベッドへ。

電気をリモコンから消す為に電気のリモコンを「ピッ」と電気に向かって押すと

「ガガ‥ガガ…ガアアアアアアアアア」

といきなり雑音がベッドの足元から聞こえ出す。

何が起きたのか全く分からず、びくつきながら足元に向かう。
その瞬間ピッという音と共に電気が反応し消えた。

妻に「なんで消すのよ?」と言うと「私じゃないよ。リモコンもってないもん」とビクつきながら答える。

「点けて」

と言った瞬間に再度

「ガ…ガ・・・・・・・・・ダ・メ」

と雑音に紛れて音が鳴り始める。

恐怖で飛び跳ねてしまう。
怖さからリモコンを何度も上の電気に向かい流すも反応しない。

直ぐに横の棚にある電話を取りフロントへ電話をかけて番号を言い来てもらうことに。

従業員が来るまでの間、電気と雑音は鳴りやまず、チャイムが鳴り再度腰を抜かしそうになりながらもドアまで走り開けて中の様子を説明。
電気に関しては入り口に設置されてあるリモコンからすぐに点いた。

その時にベッドの足元側の下にあったものにびっくりした。
少し古い小型ラジオがそこにあり音を出してる。

従業員があっけにとられた顔で俺を見る。
俺も妻と従業員を交互に見る。

少し恥ずかしくなり「こんな壊れてるの置いとかないでよ」と従業員に言うと「え?」と言う。

「いや、お客様がご使用されたのでは?」

と言うので「一切なにもしていない」と言い、妻へ向き「使った?」と聞くも首を横へ振る。

従業員も相手にしてられないという感じでラジオを止めて失礼しました、と出て行こうとする。

その時に明らかにラジオから聞こえた音が未だに恐怖で二度とあのホテルには泊まらないって決めた。

「ぜんぶとれた?」

意味は分からんが何か怖すぎて血の気が引いた。

従業員も「え?」って向きなおしてたから俺らが言ったと思ってるのかもしれんが、俺らも全く訳分からない。

従業員が出口を出る瞬間に

「ぜぇんぶとれた??」

と二度目に聞こえた時に必死に電源を探してた彼に言いたい。

電池が一個下に落ちてるから、音出るはずないのよ。そのラジオ。

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部屋の前に立つ女

あれは俺が前のマンションに住んでた頃だから2年くらい前の話だ。
今日はそのマンションで起きた恐怖体験を書いてみる。

マンションは6階建てで俺は最上階に住んでいた。見晴らしも良く最寄駅も近い。

その日、俺はいつものように仕事から帰り、1階からエレベータに乗った。ちょうど3階を過ぎようとした時、目の前の部屋の前に女性が背中を向けて立っているのが見えた(エレベータのドアはガラスで内外から見える)。
あの部屋の住人の知り合いかな?俺はたいして気にも留めず自分の部屋へと帰った。

翌日、また仕事から帰りエレベータに乗り込んだ。そして3階を過ぎようとした時、今日もあの女性があの部屋の前で立っているのに気がついた。
何だ?今日も来てるのか?なんでずっと外で待ってるんだ? 時計を見ると深夜0時近かった。不審に思ったが自分の部屋の帰るとすぐに忘れた。

そしてその翌日。金曜なので飲んで帰りマンションに着いたのが、午前1時過ぎだった。いつもにように1階からエレベータに乗り6階を押そうとした。
と、この時酔っていたので間違えて5階を押してしまった。アチャ~と思ったが、まぁ酔い覚ましに5階から階段を歩くかと思い6階ボタンは押さなかった。

上機嫌で鼻歌を歌いながら3階に差し掛かった時、その酔いは一気に覚めた。いたのだ、あの女が。今日もあの部屋の前に立っている。
そして通り過ぎようとした瞬間、その女がゆっくりと振り返った。ギリギリ顔は見えなかったが俺が乗っているのが向こうからも見えてしまった。

なぜか本能的に危険を感じた俺は、5階でエレベータが停まると、すぐに足音を立てず6階へと非常階段を上って息を潜めた。
エレベータは下がっていったかと思うと3階で停まり、再び上階へ上がってくる音がした。心臓がバクバク鳴り始めた。

エレベータは5階で停まり、誰かがウロウロする足音がしている。
俺は音を立てずに自分の部屋に入ると、ゆっくりと鍵を締めた。

ストーカーか?異常者か?どうして俺についてエレベータを昇ってきたんだ?見られちゃまずいことでもあるのか?
しばらく考えたが結論が出ないので、しばらく様子を見ることにした。

場合によっては不動産屋に報告しなければならない。
女は朝はいない。夜の何時~何時までいるのか不明だが、もし今度見かけたら警察に電話しようかなどと真剣に考えていた。

ここで一旦整理する。女が立っているのは3階の302号室だ。1フロアーに部屋は3つ。なので302は中央かつエレベータの正面に位置している。
そして非常階段はエレベータの横。なので女に気づかれず階段から3階を突破して6階に上がるのは非常に困難だ。

しかしよく考えたら、なんで俺がコソコソと悩まなくてはならないんだ?と思い、だんだんと腹が立ってきた。
よし、今度見つけたら文句を言ってやろうと心に決めた。女は土日には現れなかった。なんだ、つまんねぇ、折角文句言おうと思ったのに。

月曜日。俺は女のことなどすっかり忘れて終電近くまで仕事をして帰宅した。
頭の中にはもう、あの女のことなど微塵もなかった。エレベータが3階を通り過ぎたが、そこには誰もいなかった。

その時点でやっと女のことを思い出し、あ~あのスト-カー女やっと諦めたか!と、ご機嫌になった。
俺が甘かった・・・。

エレベータが5階に差し掛かった時、我が目を疑った。いたのだ、あの女が。502の前に立っているではないか。
俺は硬直した。ヤバイ!女はこっちを振り返った。またもやギリギリ顔は見えなかったが、俺が6階に住んでることがバレてしまった。

俺はパニクって6階に着くと同時にすぐに1階のボタンと閉じるボタンを連打した。
間違いなく高橋名人の16SHOTを凌駕したかと思うほどの速さだった。そしてそのまま1階に向かった。

エレベータが5階を過ぎた時、すでに女はなかった。予想通りというか、きっと階段から6階に上がるだろうと思ったのが的中したようだった。
1階に着いた俺は壁に沿って外へ出て、非常階段が見える位置まで移動した。女が6階の踊り場をうろうろしてる姿が見えた。やはりバレていたか。どうしよう。

あの手の異常な女には近づかないに限る。どうする、友達を呼ぶか、警察を呼ぶか・・・しばらく思案していると女の姿が消えた。
おかしいな?どこかに隠れているのか、帰ったのか・・・しかし帰るなら玄関から出るしかないので、必ずここから見えるはず。

結局30分ほどそこで待ってたが動きがないので、思い切って自分の部屋へ向かった。非常階段で足音を立てずに上ろうと思った。
ドキドキしながら進んだが、結局6階まで女の姿は発見できなかった。なんだ、やっぱりどこからか帰ったのか。よかった。

俺は自分の部屋に入ると、蛍光灯のヒモを引っ張り、電気をつけようとした。
その瞬間、ベランダから何かの気配がして固まった。

・・・何かが・・・いる・・・

俺は蛍光灯のヒモをゆっくり離すと、聞き耳を立てた。よく見るとカーテン越しに人の影が見える。たぶんあの女だ。
俺は考えた。どうやって入った・・・?そして俺は思い出した。隣の部屋が空き部屋だということを。

何度か引っ越しをしたことがある人なら知ってるかもだが、物件が専任ではない場合、鍵が開けっぱなしになっていたり給湯器や水道メーターの戸の中に鍵が隠してある場合が多い。
おそらくそれで中に入り、ベランダからうちのベランダへと侵入してきたのだ。

さすがにここまできては警察に電話するしかない。俺は外に聞こえないよう注意し、警察に電話をした。
俺はそのまま音を立てずに部屋から出て、6階の踊り場でパトカーを待った。万が一、女が出てきた場合は完全な不法侵入なので俺がとっ捕まえればいい。それだけの筋力はある。

ほどなく無音でパトカーが到着、お巡りさんが2人、エレベータで昇ってきた。俺は事情を説明し、1人のお巡りさんが空き部屋から、もう1人が俺の部屋から入り、ベランダで女確保、という作戦でいくことになった。
俺はこの時ほど、お巡りさんが頼もしく思えたことはなかった。

そして作戦決行。ベランダに突入した。
・・・誰もいなかった。そう、ベランダには誰もいなかったのである。

そんな馬鹿な!と、俺は自分の部屋(601)と空き部屋(602)も探したが女の姿はどこにもなかった。
一応、その隣の部屋(603)も事情を説明してお巡りさんが入って行ったが、女の気配はなかった。

おかしい。どう考えても消えるわけがない。俺は狐につままれたような気がしたが、ふと302号室がどうなっているのか気になり、お巡りさんに一緒に行ってもらった。
事情が事情だけに不動産屋にも来てもらった。

302号室には確かに人が入居しているという。不動産屋さんが鍵を開けようとしたら、すでに鍵が空いていた。
中からは異臭がした。ここから先はあまり書きたくないが・・・

死後1ヵ月ほど経過していたらしい。俺は怖くて中に入らなかった。たくさんの警官が来た。
俺は警察へ呼ばれて事情聴取をされた。しかし完全に自 殺 という状況だったので、俺が疑われることはなかった・・・しかし・・・

自 殺 していたのは男性だった。

では、あの女性はいったい。そういえば俺はあの女性の顔を1度も見ていない・・・結局、それがきっかけで俺は引っ越した。
なので、それ以来あの女を見ることもなくなった。しかし今でもあの女が誰だったのか・・・謎のままだ。

今でもエレベータに乗ると思い出す。おかげで目標階に着くまで目を閉じる癖がついてしまった。

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左手の薬指

俺には中学のころからの付き合いの親友がいる。
大学も同じところに進学し、会社も同じところに入った。
女の取り合いをしたこともあった。
結局、会社で開かれるタイピングコンテストでいい成績をとったほうが
いい成績をとったほうが彼女に告白するということになり
彼女は親友の妻となった。
彼女の名前を京子(仮名)とする。

ある日、親友と飲みに行くと親友はある都市伝説を話し始めた。
「透明人間になる服」なるものが若者の間で流行してるらしい。
なんでも、その服(ジャケット、帽子、靴、手袋)をはめると
その人の存在自体がこの世から抹消されるらしい。
つまり、従来の姿が消えるというのとは少し違った「透明人間」というわけだ。
存在が消えるからだれも事件性には気付かないというわけだ。
馬鹿な都市伝説をつまみに酒を飲み進めたせいですっかり俺たちは
酔いが回ってしまった。
千鳥足になりながら、街灯もまばらな夜道をふらふら歩いていると
道の真ん中に手袋が落ちていた。
手袋は左手のもので薬指の部分がちぎれたのかなくなっていた。
親友はよせばいいのに「中身はいってたりして」と笑いながら
手袋をつまみあげた。
そこには…

中身は当然、入ってなかった。
つまり普通の手袋だ。
「つまんねぇな」などとぼやきながら
親友はその手袋を手に付けた。
「おい、やめろよ。犬の糞でもついてるかも知れんぞ」と俺は
とめたが、親友は耳を貸さなかった。
「んー、ぴったりじゃん」
嬉しそうに言う親友の手袋をはめた手をみて俺は驚いた。
左手の薬指が消えていた。
「お前、指が!」と俺があわてて言うと
親友は不思議そうな顔で「指がどうした?」と聞き返してきた。
すっかり酔いがさめた俺はしどろもどろになりながら指が消滅してることを
親友に説明した。すると
「なにいってんだ?俺はもともと左手の薬指はなかったぞ」と言い放った。
「じゃあ結婚指輪はどうしたんだ?」と聞くと
「俺は独身だ」などとのたまった。
いくら冗談でも京子とのことをなかったことにする親友の不謹慎な態度に
俺は少しムッとした。だが、それ以上にさっきまで顔を赤らめて
気分良く話してた親友の顔が曇っていた。
「お前、京子ちゃんのことをそういう風に言うのはよくないぞ」と俺が言うと
「京子はお前の妻だろ!」と吐き捨てて夜道を去って行った。
俺は親友の頭がおかしくなったんじゃないかと心配になりつつそのまま帰宅した。

家につくと、京子が中で待ち構えていた。
親友にはいつでも自宅に入れるように合鍵を渡していたのでさして驚かなかった。
それより、俺は身構えた。京子が親友の様子がおかしくなったことを
俺に問いただしに来たと思ったからだ。
「京子ちゃん実は…」
「あなた、晩御飯は冷蔵庫の中に入ってるから」
「?」
京子はそのまま寝室に寝に行こうとしていた。
俺はあわてて京子を呼び止めた。
「ちょ、ちょっとまってくれ。なにやってるんだ?」
「なにって?」
不思議がる京子に俺は親友の調子がおかしいことを話した。
「そのことで来たんじゃないのか?」
「なんで私が親友さんのことで?それに来たってどういうこと」
京子は心配そうな目でこっちを見てきた。
そして、アルバムを取り出すと俺たちが夫婦であると証明するかのように
たくさんの写真を見せた。確かにそこには俺と京子が写ってる。
だが、そんな写真に見覚えはなかった。
京子は不安がっていたが、親友の妻と一緒に寝るわけにもいかなく
俺はその日はソファーで寝ることにした。

朝、起きると京子はいなくなっていた。
すべて夢だったと思いたかったが家具などが明らかに
一人暮らしのそれではなかった。
出社すると、親友がばつの悪そうな顔で話しかけてきた。
「ドッキリ大成功」とか「実は夫婦げんかして一芝居打った」とか
ネタばらしをしてくるものだと思っていたら
「今朝、京子ちゃんと話したんだが、お前、昨日のあれ
本気で言ってたのか?」と逆に問いただしてきた。
手袋を脱いだ今でも親友の左手の指は四本しかなかった。
親友は遠まわしに精神病院や心療内科にかかることを薦めてきた。
俺は拒否した。会社のみんなや同級生の誰に聞いても俺と京子が
結婚していることが正史になっているようだった。
精神病院にぶち込まれたくない俺は、すべて思い出したふりをして
今も京子と生活してる。一体どうしたものか…

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温泉宿

私は海外とか綺麗なリゾートホテルはあまり好きじゃなくて、趣のある落ち着いた温泉宿が好きなんだ。
だから嫁と旅行行くときは毎回私が無理を言って温泉宿をとってもらっている。
その日もなかなかの旅館で私は満足していました。

晩御飯も食べて温泉にも入って、一杯飲んだところでお互い眠くなってきたので寝ることにしました。
一応旅館なので蒲団は二枚敷いてありましたが私と嫁は同じ布団でねました。

しばらくしてふと目が覚めて・・・
私はたいてい寝るときは腕枕をしてあげていて、夜中に目が覚めると腕が痺れていることがよくあります。
その日も腕が痺れていたのでそっと腕を嫁さんから抜きました。
その時・・・・・
私たちが使っていない布団に髪の長い女が横たわっていました。
あまりの出来事に私は金縛りにあったかのように動けず
何度か嫁さんを起こそうと試みましたがやはり体は動かず声も出ないので無理でした。

女から目をはなしたら駄目な気がして私はとにかく女を注視していました。
すると
少しずつ女がこちらを向いているのです。
反対側を向いて横たわっていたのがゆ~っくりと
だんだんだんだんこちらを向いて

私の心臓は今まで経験したことがないバクンバクンと聞こえるくらいの大きな音を立てていた
そして完全にこちらを向いたとき私は恐怖のあまり泣き叫びたくなりました

もう一つの布団に横たわっていたのは私の嫁でした。

あれ以来私は旅館に泊まることができなくなってしまいました。

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