Archive for 1月, 2011

禁断のビデオ

俺が東京にきた14年くらい前のこと。

本の町である神保町に毎週のように通って
古書や外国文学を買いあさっていた。
裏通りの本屋をめぐるのが好きだった。

で、エロビデオでもあさろうって気になって
いかにもふるそうなビデオやに入っていったとき、
ふと黒パッケージでタイトルが
「禁断の(読み取れない)」とか言うのが目に入った

得ろ意のかと思ってウラとかビデオの中とか見たんだが、
真っ黒のビデオなだけで何もわからなかった

500円て値段シールが張ってあったので、買ってみた

店員にきいても、出自なんかしらんみたいだし、
オカルトコーナーに乱雑に積んであった
なかから引っ張り出した誇りまみれの
ガラクタに責任なんか持てるかって
感じだったから試しに買ってみることにした。

で、家に帰って早速見ようとほかに買ってきたエロビデオを
それぞれ下見して最後にその黒いやつをデッキにいれてみようとしても、
デッキがへんな音がするんだな。
ガキン、ガチャン、ジーコとか明らかに
テープの読み取り音じゃない。

やべえ ぬっ壊れたか?とか思って何度か
取り出したり、入れて自動再生しないように
してみて、ようやく、ブルーバック的な画像らしきものが映る
前の読み込み画面なのが始まった。

エロビデオを先にみてたから、音声はきわめて小さくしてたんだが、
映像は青いのに、ぶつぶつ話声みたいのが聞こえる。

で2分くらいボケっと見てても、
全く映像が映らんから、音だけでもと思って大きくしたら、
日本語じゃない音が聞こえるんだ。

禁断のとかパッケージにかいてあるのに、
日本のビデオじゃないのかと思ってみてたら、
ふと、廃屋の部屋の中をビデオがよこ向いたままの映像が映った。
地面に置かれた上体で、部屋を写してる漢字だな。

人物とかはいないが、なんかしゃべってる音がする。

そんで、早送りしたら何か見えるかもと思い、
じーっと早送りしたら、カメラが蹴っ飛ばされたみたいに映像がぶっとんだ。
で、転がった先で、いきなり人の顔面のアップが写った

というか、右目だけが写った。

ここまでで、意味がわかったらすごいが、
けっとされたっぽい動きをしたカメラが転がった先に
人の顔があるってことは、その人の顔は地面に直接触れているってことだ。

10秒以上たっても、瞬きしない。

死んでるのかと思ったんだが、画像が止まってるらしいし、
音だけは聞こえるから画像が止まって音だけ吹き込んでる感じ。

つまり人間の目だけを取った映像に音だけを吹き込んだ?という意味不明な映像。

で、音がなんとなく鮮明に聞こえるようになってきたから
聞いてみたら、どうも田舎のなまりっぽいだけで日本語だった。

3分か、そのくらいほったらかしてたら、
その映像から「おい、おめえ」って呼びかける声だけがやけに鮮明に聞こえる。

ありゃ、映像とってる人に言ってるのかなとか
思ったら、「この映像みてるやつ、おめえだよ」 って俺に言ってるっぽい。

で、その後音が一切消えた。映像は相変わらず、目だけ映ってる。

と思ったら、いきなり画面に赤いものがぶっ掛けられたらしい。
ガラスを血みたいのが滴り落ちる。

そのまま待ってると、右目だけ写ってた人らしい人の髪をずるずると
廃屋の奥に引きずって行く人がいる。

で、突然画像が消えた。消え方も、スイッチ切った消し方じゃなく、
カメラを破壊したような終わり方だった。
そのあと早送りしても砂嵐になって何も写っていなかった。

こんなビデオが神保町に売ってました。
怖くて2度と見る気がしません。
で、引っ越しと同時になくなってしまいました。

今あったら、ようつべにでもアプすんのになあ

オチも何もないのに
思わせぶりに失礼しますた

エピローグ

14年も前に見たビデオの内容をやけに細かく覚えてると思っただろ。

なんか定期的に、夢というか
鮮明に思い出す瞬間があるんだよ。

アレは、映像が強烈だからとかそんなんだけじゃないと思う。

何かしらが意図的に
俺の意識に埋め込んでたりすんじゃないか?とか妄想したりするんだな。

以上 今も疲れ果ててネタ時とか
この映像見たときの俺をふいに思い出す。


忘れられない会話

これは俺が中学生の時の体験で
恐怖感はあまり無く、今でも思い出すと不思議な気持ちになります。

中学二年の二学期に、急性盲腸炎で緊急入院しました。定期テストの前だったのでよく覚えています。
明け方に腹痛を覚えてそのまま救急車で運ばれ、即日入院で手術に備えました。
手術は翌日に決まり、痛み止めを服用してその日は病室で横になっていました。
病室は6人用の大病室でしたが、入院患者は僕と、その隣の人しかいませんでした。
夕方、仕事を終えた母が着替えや身の回りのものを持って見舞いにやって来ました。
しばらく話をしていると、60歳くらいのお婆さんが病室に入ってきました。
隣の人のお見舞いのようでした。母が「これから一週間ほどですがお世話になります」
と挨拶すると、向こうも「若いですからすぐに元気になりますよ。こちらこそよろしく」
と微笑んでくれ、とても感じの良い人でした。
お婆さんは、隣の人のベッドのカーテンの中に入り1時間ほど話してから
帰っていきました。面会時間が終了して、母も家に帰りました。

その夜、僕は翌日の手術のことを考えて少し興奮し、すぐに眠れませんでした。
すると隣のカーテンの中から話し掛けられました。
「やぁ、この病室に入院してくる人は久しぶりだ、ここ何ヶ月か1人だったから退屈だったよ。
どうして来たんだい?」と聞かれました。声の感じから、どうやらさきほどの
お婆さんの旦那さんのようです。優しい声でした。
「盲腸です。今日の朝に急にお腹が痛くなってしまって・・・テストもあるんですけどね。」
などと、僕は学校のことや部活のことなども話しました。母が帰り心細かったので
話相手が欲しかったのもありますし、相手のお爺さんの声が優しかったのでスラスラと話せました。
お爺さんは笑いながら話を聞いてくれて
「若いというのはそれだけで素晴らしいね。大病で無くて良かったね。」と言ってくれました。
私は、悪いかとは思いましたがお爺さんにも入院理由を尋ねてみました。
「もう悪いところが多すぎて、何が悪いという訳でもないんだよ。寿命と言うには早いが
私は満足しているんだ。おそらくもう退院は出来ないだろうけれどね。」
と言いました。内蔵の病気を併発しているとのことで、確かに長く話しているとつらそうでした。
僕は、急に悲しくなって「そんなことはない、僕は先に退院するけれど、お見舞いにも来るし
いつか退院できますよ。」と言いました。自分が病気になってみて、どんなに心が弱るか
少しだけ分かった気がしていたので、元気づけられればと思ったからでした。

お爺さんは笑いながら僕にお礼を言ってくれました。
そして次の日、僕は手術をしました。全身麻酔だったのでその後の半日を
眠ったまま過ごしていました。目を覚ますともう夕方を過ぎており、ベッドの周りには
母と父が待っていました。あと1週間ほど入院して、経過が良好なら退院できると説明されました。
しかし気になったのは隣のお爺さんのベッドが空いていたことでした。病室移動かもしれないと
思い、その時は、退院する日に挨拶をしにいこうと思った程度でした。

経過は思ったより順調で、5日ほどで退院の日になりました。僕が入院道具を整理していたら
あのお婆さんがやって来ました。僕がお爺さんのことを聞こうと思いましたが
お婆さんが涙目なのに気がついてすこし動揺しました。するとお婆さんは
「あの人が手紙を書いていたのよ。渡すのが遅れてごめんなさいね。」と僕に手紙を
渡してくれました。そこには「最後の夜が1人でなくて良かった。ありがとう。元気に育ってください。」
そいうような内容が乱れた字で書いてありました。
話を聞くと、お爺さんは僕が手術をしていた日の午前中に容態が急変して、そのままお亡くなりになっていたそうです。
僕は泣きながら「僕もあの夜はお爺さんと話せて安心できました。心細かったけれどとても優しく話をしてくれた。」
とお婆さんに言いました。するとお婆さんは不思議そうな顔をして説明してくれました。

説明によると、お爺さんは喉の腫瘍を切り取る手術が上手くいかずに、声帯を傷つけてしまったために
話すことはもちろん、声を出すことはほとんど出来なかったらしいのです。
最後の手紙は、恐らく亡くなる前日の夜に、自分なりに死期を悟って書いたのだろうとのことでした。

今でも、あの夜にお爺さんと話したことを思い出します。あれはなんだったのでしょうか。
不思議だけれど、あの優しい声は忘れないと思います。


三つの選択

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、
いつものように僕の部屋に集まると適当にビールを飲み始めた。

今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを思い付いた。嘘をつきながら喋る。
そしてそれを皆で聞いて酒の肴にする。
くだらないゲームだ。
だけど、そのくだらなさが良かった。

トップバッターは僕で、この夏ナンパした女が妊娠して実は今、一児の父なんだ、という話をした。
初めて知ったのだが、嘘をついてみろ、と言われた場合、人は100%の嘘をつくことはできない。
僕の場合、夏にナンパはしてないけど当時の彼女は妊娠したし、一児の父ではないけれど、
背中に水子は背負っている。
どいつがどんな嘘をついているかは、なかなか見抜けない。見抜けないからこそ、楽しい。
そうやって順繰りに嘘は進み、最後の奴にバトンが回った。
そいつは、ちびり、とビールを舐めると申し訳なさそうにこう言った。

「俺はみんなみたいに器用に嘘はつけないから、ひとつ、作り話をするよ」

「なんだよそれ。趣旨と違うじゃねえか」
「まあいいから聞けよ。退屈はさせないからさ」

そう言って姿勢を正した彼は、では、と呟いて話を始めた。
僕は朝起きて気付くと、何もない白い部屋にいた。
どうしてそこにいるのか、どうやってそこまで来たのかは全く覚えていない。
ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。
しばらく呆然としながら状況を把握できないままでいたんだけど、急に天井のあたりから声が響いた。

古いスピーカーだったんだろうね、ノイズがかった変な声だった。
声はこう言った。

『これから進む道は人生の道であり人間の業を歩む道。選択と苦悶と決断のみを与える。
歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく』

って。で、そこで初めて気付いたんだけど僕の背中の側にはドアがあったんだ。横に赤いべったりした文字で

『進め』
って書いてあった。

『3つ与えます。
ひとつ。右手のテレビを壊すこと。
ふたつ。左手の人を殺すこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。

ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり彼らは死にます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』

めちゃくちゃだよ。どれを選んでもあまりに救いがないじゃないか。
馬鹿らしい話だよ。でもその状況を馬鹿らしいなんて思うことはできなかった。
それどころか僕は恐怖でガタガタと震えた。
それくらいあそこの雰囲気は異様で、有無を言わせないものがあった。
そして僕は考えた。
どこかの見知らぬ多数の命か、すぐそばの見知らぬ一つの命か、一番近くのよく知る命か。
進まなければ確実に死ぬ。
それは『みっつめ』の選択になるんだろうか。嫌だ。
何も分からないまま死にたくはない。
一つの命か多くの命か?そんなものは、比べるまでもない。
寝袋の脇には、大振りの鉈があった。
僕は静かに鉈を手に取ると、ゆっくり振り上げ
動かない芋虫のような寝袋に向かって鉈を振り下ろした。
ぐちゃ。鈍い音が、感覚が、伝わる。
次のドアが開いた気配はない。もう一度鉈を振るう。
ぐちゃ。顔の見えない匿名性が罪悪感を麻痺させる。
もう一度鉈を振り上げたところで、かちゃり、と音がしてドアが開いた。
右手のテレビの画面からは、色のない瞳をした餓鬼がぎょろりとした眼でこちらを覗き返していた。
次の部屋に入ると、右手には客船の模型、左手には同じように寝袋があった。床にはやはり紙がおちてて、
そこにはこうあった。

『3つ与えます。

ひとつ。右手の客船を壊すこと。

ふたつ。左手の寝袋を燃やすこと。

みっつ。あなたが死ぬこと。

ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり客船の乗客は死にます。

ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。

みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』

客船はただの模型だった。
普通に考えれば、これを壊したら人が死ぬなんてあり得ない。
けどその時、その紙に書いてあることは絶対に本当なんだと思った。
理由なんてないよ。ただそう思ったんだ。
僕は、寝袋の脇にあった灯油を空になるまでふりかけて、用意されてあったマッチを擦って灯油へ放った。
ぼっ、という音がして寝袋はたちまち炎に包まれたよ。
僕は客船の前に立ち、模型をぼうっと眺めながら、鍵が開くのをまった。

2分くらい経った時かな、もう時間感覚なんかはなかったけど、人の死ぬ時間だからね 。たぶん2分くらいだろう。

かちゃ、という音がして次のドアが開いた。

左手の方がどうなっているのか、確認はしなかったし、したくなかった。

次の部屋に入ると、今度は右手に地球儀があり、左手にはまた寝袋があった。
僕は足早に紙切れを拾うと、そこにはこうあった。
『3つ与えます。

ひとつ。右手の地球儀を壊すこと。

ふたつ。左手の寝袋を撃ち抜くこと。

みっつ。あなたが死ぬこと。

ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり世界のどこかに核が落ちます。

ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。

みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』

思考や感情は、もはや完全に麻痺していた。
僕は半ば機械的に寝袋脇の拳銃を拾い撃鉄を起こすと、すぐさま人差し指に力を込めた。
ぱん、と乾いた音がした。ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。
リボルバー式の拳銃は6発で空になった。初めて扱った拳銃は、コンビニで買い物をするよりも手軽だったよ。

ドアに向かうと、鍵は既に開いていた。何発目で寝袋が死んだのかは知りたくもなかった。

最後の部屋は何もない部屋だった。
思わず僕はえっ、と声を洩らしたけど、ここは出口なのかもしれないと思うと少し安堵した。やっと出られる。そう思ってね。

すると再び頭の上から声が聞こえた『最後の問い。

3人の人間とそれを除いた全世界の人間。そして、君。
殺すとしたら、何を選ぶ』

僕は何も考えることなく、黙って今来た道を指差した。

するとまた、頭の上から声がした。

『おめでとう。
君は矛盾なく道を選ぶことができた。
人生とは選択の連続であり、匿名の幸福の裏には匿名の不幸があり、匿名の生のために匿名の死がある。
ひとつの命は地球よりも重くない。
君はそれを証明した。
しかしそれは決して命の重さを否定することではない。
最後に、ひとつひとつの命がどれだけ重いのかを感じてもらう。
出口は開いた。
おめでとう。

おめでとう。』

僕はぼうっとその声を聞いて、安心したような、虚脱したような感じを受けた。とにかく全身から一気に力が抜けて、フラフラになりながら最後のドアを開けた。

光の降り注ぐ眩しい部屋、目がくらみながら進むと、足にコツンと何かが当たった。

三つの遺影があった。

父と、母と、弟の遺影が。

これで、おしまい。

彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。
こいつのこの話は何なんだろう。
得も言われぬ迫力は何なんだろう。
そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。
僕は、ビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。
「……んな気味の悪い話はやめろよ!楽しく嘘の話をしよーぜ!ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」
そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。
その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。
そして、口を開いた
「もう、ついたよ」
「え?」

「『ひとつ、作り話をするよ』」

おわり


人を殺しているビデオ

そのビデオはこのようなストーリーだったそうです
まず女が一人6畳ほどの部屋でいすに縛り付けられている場面から始まります
女は、ぼーぜんとしていて意識があるのかないのかは、判断できないような状態だったそうです(女は、25歳前後まず間違いなく日本人だそうです そんでもってあんまり可愛くなかったそうです)
そこに男が2人部屋に入ってきて、1人が日本語ではないようなことを(ほとんど奇声に近い)しゃべりながら、女を殺す場面へと行きます
女は、男が部屋に入ってきてからものすごい勢いで泣き叫ぶそうですが、何を言ってるのか全く理解不可能で、人の名前だろうと友人は推測しておりました
殺し方については至ってシンプルで 強姦する訳でもなく、ただひたすらに刃物を突き刺すとゆうものだったそうです
女は裸の状態でしたが、全然エッチじゃなかったそうです
最初は、ランボーが持ってるようなナイフ(アーミーナイフでいいのかな?)で指を落とそうとするんだそうですが、女が抵抗してなかなか指が切れず、そこで男が怒ったらしく胸にナイフを突き刺すそうです
女はなかなか死なないのですが何度もナイフを突き刺し次第に叫ぶのをやめ動かなくなり、男だけが奇声を発していたそうです
血は、思ったよりも出ず、ぽたぽたと落ちる程度だったとかれは、言っていました
あとビデオを撮っていた場所は、幹線道路沿いなのか何度もクラクションの音や車のとうりすぎる音が聞こえたそうです


ちょっとした裏話

本当か分かりませんがちょっとした裏話です
あの衝撃的な酒鬼薔薇事件からはや数年、もう世間の興味は失せたかのようにも見えますが、 一般に公開された情報は全容のほんの一部にしか過ぎません
これを知れば、あの異常な事件は起こるべくして起こったということがわかるはずです
数年前、福岡で起きた美容師バラバラ殺人事件を覚えていますか?
全てはここから始まったのです
もっとも、その殺人に至った経緯は美容室店長をめぐる女二人の三角関係のモツレが原因というありふれたものでした
しかし、遺体をバラバラにする過程で、殺した江田という女がある知り合いの男の協力を得たという部分はほとんどクローズアップされることなくこの事件も忘れ去られていました
この男、江田が逮捕されて自分に捜査の手が伸びることを知るとすぐに自殺してしまいました
が、マスコミはその事実を一様に伏せたままでした
なぜか?それは、その男が地元福岡では、ある有名な外科病院の院長の息子だったからです
その病院は佐田外科といい、福岡市の中心部天神に程近いところにある、外科手術では技術に定評のある大病院です
この男自身は医者の道へは進まず、天神界隈で花屋を経営していました。生きていれば今年30才でした。花屋と言えば花
花といえば薔薇
薔薇といえばホモというのが連想されますが、実はこの男、ホモだったようでその殺人事件の原因ともなった美容室店長ともホモ関係にあったという噂もまことしやかに流れたものです
ともあれ、彼は自殺し、佐田家では密かに密葬が行なわれ、周辺の住民のみがその詳細を知るにとどまっていました
と、ここまでは神戸の事件とは何ら接点がないように思われるでしょう
しかし、です
この男には上に兄と姉がいました
兄は院長の志を受け継ぎ、現在副院長として病院に勤務しています
そして姉の方はといえば、十数年前に結婚し、その後神戸に住まいを構えていました
そうです、その姉こそが神戸小学生バラバラ殺人事件犯人の母親です
つまり、美容師バラバラ殺人事件の共犯者だった花屋経営の男と、酒鬼薔薇聖人は従兄同志だった訳です
母親はよく家族連れで福岡に帰省していたので、酒鬼薔薇聖人はその従兄を「花(薔薇)のお兄ちゃん」として慕っていたとしても不思議はありません
さて、警察の調書では犯人の少年が「祖母の死」をきっかけに人の死に興味を持ったと書かれていたそうですが、それはこの従兄の事件と彼の自殺のダミーです
自分が兄と慕っていた従兄がバラバラ殺人事件の共犯者でそのために自殺したということが、当時小学生だった一人っ子のシンイチロウに大きなショックと精神的ダメージを与えたとしても、ある意味、当然のことだったかも知れません
しかし、彼の親、特に母親に多大な問題があったことは否めません
現在、両親は福岡ダイエーホークスの本拠、福岡ドームがある高級住宅街、早良区百道(ももち)に密かに住まいを移し平然と生活しています


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