Archive for 7月, 2011

新約雨月物語

Aは苛立っていた。彼は商社の営業部に勤めているのだが、今日は昔からの顧客が
離れていくのを止めることもできず、そのため上司に部下の目の前で叱られたのだった。
元はといえば、自分の会社が作るものに魅力が欠けるからなのだが、上司は日頃の
ストレス解消もかねてAを徹底的にいびった。
 そのため、Aもストレス解消することにしたのだが、部下に当たるわけにも行かず、
帰宅してから当てもなくドライブに出た。

 しばらく運転しているうちに、すっかり暗くなってしまい、もうそろそろ帰らないと
明日の仕事に差し支えるという時間になった。そのときAは自分が生まれ育った町の近くに
きている事に気がついた。この町の郊外に小さい頃住んでいた家があった。

(……懐かしいな。毎日夕方になるとここでサッカーやってたっけ……)
 風化した記憶をつなげ合わせ、少しため息をつく。ぼんやり考えているうちに、記憶は家族
のそれ、特に母親に焦点を合わせていく。Aの母親は夫を亡くしてからずっとAを一人で
育て上げてくれたのだった。

(母さん、元気にしているかな)
 上京してから長い間、Aは母親としゃべっていなかった。全てが目まぐるしく変わる
日々に置いてきぼりにされまいと必死だったために、家に連絡する余裕がなかったのだった。
少し思い出に浸ってから、Aは自分の生家に行ってみようと決めた。

 その家は郊外にあり、林道を通って小さなわき道に入るとすぐの、結構古い
家だった。大きい方で、前庭にも裏庭にも木が何本も立っていた。Aは半分そ
れらの木が荒れ狂ったように伸びているだろうと考えていたのだが、意外と整
理されているのを見て驚いた。
(もしかすると、誰か住んでいるのか?あんなに古い家に?)
 Aは淡い期待を胸に車を進めていった。すると、見慣れた前庭と、明かりの
灯った生家が目の前に現れた。

Aは戸惑い、ためらいつつも呼びベルを鳴らした。
「はい、どなた?」
 この声は……
 足音が近づき、ハンドルがゆっくりと回り、ドアが開いた。Aは唾を飲み込んだ。
「あら……」
 それが母の最初の言葉だった。Aはただいま、と言おうとしたが、うまく言葉にならず、
ただ泣きながら母に抱きついた。

「まあ、それじゃあ今日は大変だったね」
「そうだね」
「でもね、お母さん、その人もつらいんだと思う。上に立つ人って、精一杯
背伸びしてるから、少しでも足を引っ張られると倒れちゃうんだよ。だから
必死なんだと思う」
 不思議と母の言葉は胸にじんと来た。Aは味噌汁をすすりながら母に感謝した。
「ところで母さん、一人でこんなに大きい家にいると、何かと不便でしょ」
「そうねえ」母は遠い目をした。「最初はつらかったけど、今はもう楽よ。大丈夫」
「家、動こうと思わなかったの」
「そりゃあね、最初はそうしようかと思ったわよ。でもね、あなたが帰ってきた時、
誰もいないんじゃ寂しいでしょ。だから待ってたの」
「え?」
「来てくれてありがとう」母は笑った。いい笑顔だった。

Aは少しの間考えると、母に向かって言った。
「母さん、俺と一緒に住まないか」
「え」母はきょとんとした目でAを見た。
「俺と一緒に住もうよ。便利だし、寂しくないし」
「そうねえ……でも、もうそういうわけにもいかないのよ。ちょっとねえ……」
 母はそういって居間にある位牌に目をやった。Aはそれを見て口をつぐんだ。
ここはAの生家だが、それ以前に母と父の思い出の場所だのだ。
「ごめん……」
「謝ることないよ。それより、明日早いんでしょ?もう寝なさい」

 腹もくちくなって、Aは眠たくなったが、その前に会社に送るものがあったので、
ダイニングにある自分のコンピュータ(といっても子供の頃のだが)に向かった。
「あら、またインターネット?あなた変わらないわねえ……」
「まあね……あれ?」
 Aは画面を見た。コンピュータは無事起動したのに、スクリーンが真っ黒だった。
「どうしたの?」
「故障かな?」
 すると、徐々にスクリーンに文字が浮かび上がってきた。それは……

「目 を さ ま せ」

「目を覚ませ?変だな」
「変ねえ、これから寝るって言うのに」
 首をかしげながらAは寝室に行った。

 次の日の朝、Aは水滴が顔に当たる感触で目が覚めた。目を開けると
見慣れた懐かしい天井があった。雨漏りかなと思いながらキッチンに行く。
すると、母が朝ごはんを作っていた。
「あらおはよう。ご飯食べる時間ある?」
「今日は休みなんだ。ああ、それより変な夢を見たんだ」
「夢?」
「なんだかね、誰かが耳元で目を覚ませ、って言ってくるんだね。で、
ふと顔を上げると、母さんが少し悲しそうな顔をしてるんだ」
「変ねえ……」

Aは朝食を終えると、またコンピュータに向かった。すると、また画面が
「目をさませ」と警告を発してきた。首をかしげると、玄関のほうでがたんという
音が聞こえた。驚いていってみると、ドアが蝶番から外れていた。
「母さん、ドアが壊れてるよ」
 Aは母を呼んだが、答えがない。何度呼んでも同じだった。不審に思い、Aは
キッチンに行ってみて驚いた。なんとそれはついさっきまで母がいたキッチンとは
似ても似つかなかったのだ。タイルにはカビが生え、洗い場には錆が浮き、あたかも
何年も放置されているようだった。Aは急いで居間に行ってみた。すると、そこに昨日あった
家具は消えうせ、畳も変色しており、クモの巣だらけだった。
ふと、母との会話が頭の中をよぎる。
(そうねえ、最初はつらかったけど、今はもう楽よ)
 今はもう楽?Aは妙な胸騒ぎを覚えて自分の寝室に行ってみた。途中で
廊下がみしみし鳴る。寝室の扉は壊れて開きっぱなしで、天井は穴だらけだった。
(もうそういうわけにもいかないのよ。ちょっとねえ……)
 Aは怖くなって家を出た。玄関のドアを蹴り破って、外に出る。すると、昨日
見た整理整頓された前庭の代わりに、荒れ果てた野原が広がっていた。
(あなたが帰ってきた時、誰もいないんじゃ寂しいでしょ。だから待ってたの)
 Aはゆっくりと振り返った。生家はわずかにその面影を残していたが、
どう見ても廃屋だった。
(来てくれてありがとう)
 Aはふと、母の声を聞いて繰りかえったが、無論そこには誰もいなかった。
風が吹いたとたん、懐かしい味噌汁の匂いがしたので、Aの頬から涙が
流れ落ちた。


エプロンおじさん

洒落にならないか知らないが、そういう話

俺が小学校の頃だから、30年ぐらい前
学校帰りに「誕生日」の話をしてはいけないと言われた。
例えば「今日、俺の誕生日なんだ」とかね。
何故いけないかは、下記の通り―

集団下校の帰りに、ある兄弟が友達に誕生日なんだ、と話していた。
道草をして家に帰ると、台所からカレーの良い匂い。
「やった、今日はカレーなの?!」と喜んで兄弟が台所へ行くと、
「あぁ、そうだよ、お前の誕生日だからね」と聞いたことのない男の声。
足元には、刺された母親の死体。
あまりのことに兄弟が凍り付いていると、エプロン姿の男は二人を椅子に座らせる。
カレーを完成させた男は、向かい側の椅子に座るとハッピバースデイを歌い始める。
「幸せかい、幸せだろう」と男はニタニタと笑いながら、カレーを食わせる。
二人が震える手でカレーを食べ終わると、男は立ち上がってエプロンを脱ぎ、
玄関から出て行ったそうだ。
父親が帰宅すると、放心状態の息子達と妻の惨殺死体が……

と、いう「幸せオジサン」とか「カレーおじさん」とか「エプロンおじさん」いう名前で、
うちの田舎で語られていた話、まったく不審者は怖いねw
明日は貴方の町でハッピバースデイーかもしれません♪


かくれんぼ

私が小学4年生の頃の出来事です。
都会に住んでいたのですが学校でいじめられていたので、
引越しをして別の学校に行くことになりました。
引越し先の学校は学年が違う人たちが1クラスにまとまっていました。
クラスは私をいれて4人しかいませんでした。
初めてクラスのみんなに会って、みんな良い人だったので嬉しかったです。
次の日みんなの様子がおかしかったです。
授業中みんな「クスクス」と笑っていて不気味でした。
お母さんに言っても「そう…。」としか答えてくれませんでした。
その日ベットに入ってウトウトしていたら、お母さんの話し声が聞こえました。
「今度も駄目みたいね…。やっぱりちゃんとした所に行かせた方がいいのかしら…。」
私は何のことか分かりませんでした。

次の日から、私は前の学校と同じようないじめを受けました。
私がトイレに入った時は、いつもドタドタと足音を立てて入ってくるし、私が学校から帰る時はみんな窓から私を見て変な声で笑ってきます。
先生に相談しても、ずっとずっといじめられていました。
クラスのみんなはよく「遊ぼう!」と誘ってくれるけど、
遊んでも私を見て笑ってきます。最初の方が嫌々遊んでいたけれど
一緒に遊んでも楽しくないし、いじめられるので誘ってきても断っていました。
それでも学校に行くのは一人だけ私のことをいじめない子がいたからです。
その子は恵那ちゃんって名前でした。
恵那ちゃんは私がいじめられた後よく話しかけてくれます。
「あなたは悪くないわ。みんなが悪い。いじめられるのはみんなが悪いからよ。
あなたは悪くないよ。」
私がみんなにいじめられても励ましてくれます。
「みんなが悪いんだよ。」と。

私は一人で散歩に出かけるのが好きでした。
その日は学校の近くの山に行こうと思いました。
先生からは「山には入るな。」と言われていたけど、私は人と会うのが苦手だったので
人がいない山に惹かれていました。
山は道が無くて歩きにくかったです。
昼間でも薄暗くて怖かったです。
少し歩くとぼろぼろの木の小屋がありました。
中に入ってみると、中もやっぱりぼろぼろでした。
私はこの小屋を秘密基地にしようと思いました。
次の日からほぼ毎日、山の小屋に行きました。
小屋の中で私はよく絵を描きました。
引っ越す前から絵を描くのが好きでした。
絵を描いてるときは変な事をしてくる人がいないから。

授業が終わってみんなが帰った後、5年生の由佳ちゃんが話かけてきました。
「ちょっと見せたいものがあるんだ。付き合ってよ。」
私は嫌でしたが断るともっとひどい事をされるかもしれないと思ったので、
ついていきました。
学校の中を歩いて行き美術室の前で由佳ちゃんは止まりました。
「この中に見せたいものがあるんだ。」
私は美術室何かに何があるんだろうと思って部屋にはいりました。
美術室は他の部屋とあまり変わらず、スケッチ用の紙が何枚かおいてあるだけでした。
「何があるの?」と聞いて振り返った時、美術室の扉が閉まりました。
「ここからでちゃ駄目よ。」
そう言って、由佳ちゃんはいなくなりました。
私は怖くなって部屋を出ようとしましたが扉は開きませんでした。
鍵はついてなかったはずなんですが扉は開きませんでした。
私は「助けて、助けて。」と叫びましたが、私の声が響いて返ってくるだけでした。
外も部屋も暗くて前がよく見えませんでした。

朝明るくなってきた頃、先生とお母さんが入ってきて私を見つけてくれました。
私はお母さんに抱かれて部屋を出て行くときに美術室の中が目に入りました。
美術室のスケッチ用の紙・黒板・机によくわからないものが描かれていたのが見えました。
人間のように見えるけど人間じゃない。
手が何本も生えていて、顔には赤いぶつぶつができていて、とても人間には見えなかったです。
私はお母さんに昨日の事を言っても、お母さんは泣いているだけで何も言ってくれませんでした。
その日からお母さんが変になっていきました。

私が部屋にいる時は、気味の悪い声をあげて笑い、私の部屋の扉を勢いよく閉めていきます。
私がご飯を食べている時は、いつも「ゲエゲエ」と気持ちの悪い声を出しながら歯を磨きます。いつもいつもです。
お母さんがお母さんじゃなくなりました。
私の味方はもう恵那ちゃんしかいませんでした。
恵那ちゃんは、「あなたは悪くないわ。お母さんが悪いのよ。」
と励ましてくれます。

私はまた引っ越す事になりました。
先生とクラスのみんながお別れ会をしてくれましたが、みんな不気味な声で笑っているだけでとても怖かったです。
引越しをする前日に恵那ちゃんが話しかけてきました。
「このまま仕返しもしないで、引越していいの?何か仕返しをしよう。」
そう言って仕返しの方法を教えてくれました。
私は由佳ちゃんとクラスのいつも不気味に笑っている二人を山の入り口に呼びました。
「ねぇ、最後に一緒に遊んでくれる?」と私は誘いました。
「いいけど、山で遊ぶの?ここは入っちゃ駄目なんだよ」由佳ちゃんが言いました。
「この山でね、かくれんぼをして最後の一人になるまで見つからなければお願いが叶うんだよ。私、鬼になるからみんな隠れてよ。」
「でも、ここ暗いし、迷ったらどうするの?」
「私、この山でよく遊んでるから道知ってるし大丈夫だよ。ね、やろうよ。」
みんな暗い山の中に入っていきました
気分が良くなったので絵を描きたくなりました。
私は探すフリをして小屋に行き絵を描きました。

不安げな動きがしても気づかぬフリをして歩いていきました。
真夜中の山で怯えてしまえばいい。
一晩中寝られずにいればいい。消えてしまえ。
私は家に帰り、いい気分で眠りにつきました。
由佳ちゃんが行方不明になりました。
お母さんは私をひどく叱りました。
私は悪くないのに。

その後は引越しはしませんでした。ずっと白い家に住んでいます。
誰かがドアを開けて入ってきました。
その人は白い服を着ていて、一枚の絵を持っていました。
その絵は、とてもカラフルな絵でした。中央に手足みたいなものが何本もあるような絵が描かれていて、その回りにぐちゃぐちゃな物が3個ありました。
白い服を着た人がしゃべりかけてきました。
「こんにちは。願い叶ったよ」と。
よく分かりませんでした。


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