鏡の中のあいつ

着信:200X年10月4日 9時56分

やあ、元気にしてた?ごぶさた。
こっちはぼちぼちってところかな。
作品も少しずつだが書き溜まってきているよ。
今日メールしたのはちょっと相談したいことがあってね。
冗談だと思わないで読んでほしい。

実は昨日、とても怪奇な発見をしたんだ。鏡の中に。
鏡に映った僕の背後約五メートルに、床に這いつくばる生物がいたんだよ。
尻尾のずんぐりした一メートルくらいの体長なのに、
人間並みの大きな頭がついている。
頭髪みたいな黒いたてがみ。ぬめった暗色の表皮に濁った眼。
一見すると、まさしく人面トカゲと呼びたくなるような生き物だった。
もうそろそろ現実主義の君は、僕が君を担ごうとしているか、
緩みがちだったネジがとうとう落っこちたとでも思っているだろう。
でも、これは嘘でもなければ僕の妄想でもないと断言する。
神様は信じてないから、自分に誓うよ。これは真実だ。
そもそも初めに気付いたのも、
図書館の自動ドアの前で他の客がぎょっと驚いたからなんだ。
つまり、これは他人にも見える。
背後霊とか幽霊という言葉を使わないのは、あまりにもはっきりと鏡に映っているから。
きっと写真にもくっきり写るんじゃないかな?
薄気味悪いけど、あれが霊の類にはどうしても見えない。
今の推測では別次元の生物って感じ。
とにかく、こんな体験はめったに出来るもんじゃない。
下手にちょっかい出して逃げられるのも嫌だから、
気付かない振りしてもう少し観察してみるよ。
君はまだ信じていないだろうが、意見だけは聞かせてほしい。
では、また。

着信:200X年10月5日10時 8分

返信がこない所を見ると、まだメールは見てないようだね。
あれから色々なことが判ったので情報を追加しておくよ。
写真を試してみたんだが、何故か全く写らなかった。デジカメも同様だった。
鏡を見ながらあいつに近づいてみたんだが、距離は縮まらなかった。
こっちの世界で見えないだけかと思って、物に触れさせようとしたが駄目だった。
あいつが動く様子はなかったし、鏡の向こうに映った障害物は奴の身体を難なくすり抜けていた。
それでいてあいつの視線は僕に注がれている。
もはや、僕自身となんらかの関係があるのは明らかだ。
正直、なんだか怖くなってきていた。初めはただ人に似た顔だと思っていた。
だが、時が経つにつれ僕は確信した。あいつには表情がある。
たまに、僕を見てニヤリと薄気味悪く笑うんだ。
寒気が走る。それに、心なしかあいつとの距離がせばまっているような・・。
気の廻しすぎだとは思う。自分でもこんな気の弱い一面があったとはね。
もし、これを読んだならすぐにでも連絡がほしい。
それじゃ。

着信:200X年10月6日 11時33分

まだ読んでないのか!
気のせいなんかじゃなかった。奴は少しずつゆっくりと近づいているんだ!
早く僕の家に来て、これがただの妄想だと笑い飛ばしてくれよ。
君の頭がちょっとおかしくなっただけ・・そう言ってくれるだけでもいいんだ。
奴は狡猾だ。知能がある。
こいつは人の反応が面白くて堪らないんだ。
脅えて取り乱す人間を見て快感を感じている。
僕は・・あいつの獲物なのかもしれない。

着信:200X年10月7日11時14分

もう四日目だぞ!いい加減メールに気付いてもいい頃だ。
僕がどんな想いで過ごしているのが判らないのか!
まさか・・とうとう僕の身体を昇り始めたこいつが、君に目を付けるのを恐れて?
それとも、狂人には関わりたくないとでも思っているのか?
もういい。君がそんな奴だったとは思わなかった。
見損なったよ。
さよならだ。

着信:200X年10月8日 9時23分

すまん。昨日は取り乱していた。
ただ、それだけ僕がまいっていることを判ってほしい。
狂ってなんかいないんだ。
僕は愚か者だよ。こんなことになるなら、初期段階で警察か
大学の研究機関でも訪れるべきだったんだ。
けど、もう遅い。
このことを知るのは君だけだ。
家族に知らせなかったのは、危険だったからだ。
あいつは誰かが自分に気付くのを待っている。
恐怖しない獲物には関心がないんだ。
鏡の向こう五メートルの床に這う身じろぎ一つしない人面トカゲ。
これに気付いてしまった者だけが・・・おそらく不幸な結末を遂げる。
もし、僕が死んでも君は葬式に来るな。これは返信がないことへの当てつけじゃない。
おそらく、君は仕事が忙しくてメールをチェックし忘れているだけなのだろう。
僕は君の身を案じて言っている。
あいつは恐ろしく狡猾だ。知能も見た目以上に高いだろう。
この数日、僕が連絡を取り合っていた相手が君だと気付けば次は君が狙われる。
いかな君とて、鏡の向こう五メートル先を確認せずにはいられないだろうからね。
奴はもう、僕の首に腕を廻して大きな口を開けている。
首から・・奴の爪が当たってる所から血が滲んでるんだ。
もう、鏡を見るのはやめた。
悔しいよ・・こんな奴、触れるのなら絶対負けやしないのに。卑怯者め!
奴の意図はもう明確だ。僕の頭皮を食い千切る気だ。
頭蓋骨を噛み砕いて中の白くてプニプニした脳味噌をゆっくりすするんだ。くそくそくそ
僕がいったい何をしたっていいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

僕がこれらのメールを読んだのは、出張から帰ってきてすぐだった。
五回目のメールが届いた深夜だ。
悪戯にしては少し質が悪いような気がしたが、彼はもともと散文を書くのを趣味にしている男だ。
これくらいのことは平気でやるだろうと思ったし、笑って許してやるくらいの間柄でもある。しかし・・

彼の訃報を聞いたのは翌日だった。なんとも胸騒ぎがして、電話を入れたのだ。

通夜に出席した。共同斎場だった。
判ったのはなんらかの事件に巻き込まれたらしい、ということ。彼の家では未だに警察官が出入りしているらしい。

自宅に帰っても、どうにも落ち着かなかった。
彼の死を悼んではいるが、大して気にかけているわけじゃない。基本的に自分は薄情な部類の人間だ。
僕の心を占めているのは、偶然にもあのメールと事件が一致し過ぎているということだ。
事件は彼の自宅で起こったらしいということが一つ。そして、散文での彼の死と彼の推定死亡時刻がぴったり重なる点だ。
メールの着信は正確に時刻が記録される。おそらく彼はあれを送信した後で何者かに・・。
いや、本当に送信してからなのだろうか?
もしかしたら、メールの内容と同じように書いている途中で彼が死を迎えたとしたら・・。
画面上の送信ボタンを押したのが犯人・・あるいは・・

馬鹿な!今、自分は何を考えた?そんな生物がいるはずない!
全く馬鹿げている。くだらない散文に引きずられて鳥肌を立ててしまっている自分が情けない。

もう一度メールに目を通してみた。
何度読んでも寒気が走る。いままで、彼はこんな散文を書いたことがあっただろうか?
これがフィクションでなく、まさしく彼のダイイングメッセージだとしたら・・。
自分は通夜に行ってしまった。
彼の警告を無視してしまった。
この狭い部屋なら問題はない。しかし、居間にある姿見を覗くと何が見えるのか?
とても試す気にはなれなかった。
これから・・僕はいったいどうすればいいのだろう?

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娘の話

うちの娘が2才の頃、よく宙に目線を彷徨わせることがあった
嫁さんと「赤ちゃんには見えるっていうよなw」なんて笑いながら
「なにが見えるの?」と問いかけると
「お友達」と娘
「お友達なん?お名前は?」と、まだ余裕で訊く俺と嫁さん
娘は無言でまたじっと宙の一点をみつめると、すこしして
「けいこさん」と答える
テレビかなんかの影響かな?くらいにしか当時は思わず
娘には架空のお友達「けいこさん」がいるというのが嫁と俺の共通認識となった

で半年程して家の事情で他県に引っ越すこととなり
娘もそのころにはあまり目線を宙に彷徨わせることもなく
俺も嫁も「けいこさん」のことなどすっかり忘れていた

娘が3才になる頃、職場の飲み会に(嫁と俺は同じ職場)娘もつれて行った時のこと
猫には幽霊が見えるという話題から、ふと「けいこさん」を思い出し、皆にその話をした

面白がったパートのおばさん連中がうちの娘に「けいこさんはまだ見えるの」と訊くと
「けいこさんはもうおらん」と娘
「どこ行きよったんw」とからかうように訊くおばさん
だが娘がぽつりと語った「けいこさん」の話にその場は凍りついた

娘いわく
引っ越しの時に前の家にけいこさんはおいてきた
いっしょにはこれなかった
けいこさんは家にいたけどほんとうは石でできた橋のしたにいる
おんなのひと
としはわかんない
けいこさんは橋の下でひとりぼっちだったから自分のところに来た

そこまで語った娘は急に不機嫌になり
その後の追求には「わからん」としか答えなくなった
若いパートの女の子が重くなった雰囲気を変えようとしたのか努めて明るい声で
「けいこさんみたいな人はもう見えんのん?」と娘に尋ねると
娘はじっと座敷の隅を見つめて指差し「○○○さん」と意味不明の名前を言った
ますますその場は重くなり、飲み会は早々におひらきとなった

この話をうちの母親にすると、母いわく
「うちの家系は女は「見る」家系なんだ、気をつけなさい」とのこと
そういえば母親が写真を撮ると必ず何枚かは原因不明の光線カブリがあった
妹が突然「誰かきた」と言い出し、外を見ても誰もいないのに
犬がけたたましく吠えることが時々あった
家系なら仕方ないかとなんだか納得した

娘も今は11才になり、おばけも虫も血も苦手な普通の小学生になってます
当時のことは全く記憶にはないようです

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お化け騒動

昔、小学校の担任のF先生から聞いた話。
第二次世界大戦中、小学生だったF先生(以下F少年)は、集団疎開でとある田舎のお寺に
預けられた。
寝泊りにはお寺の本堂の、一番広い部屋をあてがわれていたが、問題はトイレ。
ご住職と奥さんは、本堂のトイレを使っていたが、疎開者は別のトイレを使わ
なければならなかった。
ところがそれは、本堂からやたらと離れた場所にあり、しかもそこへ行くには、
寂しい一本道を通らねばならず、その両側はなんと墓場。
それも土葬だったようで、ところどころ腐った木の棺を突き破って、死体の
腕や足が突き出していることがあり、子供たちは昼間でも目をつぶってトイレまで
走って用を足しに行っていた。
夜ともなれば、当然ながらその恐ろしさは一層凄まじく、皆なるべく行かないように
していたが、どうしても我慢できないときもある。
その日も一人、夜中に恐々、用足しに出て行った子がいた。

突然、凄まじい悲鳴が聞こえ、飛び起きたみんなが見たものは、涙と汗まみれの
顔をして、四つん這いに這って来るその子の姿だった。

恐怖に全身をガタガタ震わせながら、その子は、
「おばけ!おばけが出た!!」と叫んで泣き出した。
皆でなんとか落ち着かせて話を聞いてみると、トイレ(というより、木造便所
なわけだが)の扉を開けると、中から髪を振り乱し、死に装束をまとった女の
幽霊が迫ってきたのだという。

その子の怖がりぶりはひどいものだったが、余りにも典型的な幽霊話だったために、
誰も本気にしようとせず、「まあ、夜中のことだし、恐怖心から何かを見間違えた
のだろう」ということになって、その夜はその子をなだめすかして終わった。

しかし、この話はこれだけでは終わらなかった。

次の日の夜中。
やはり、我慢できずに用を足しに行った子がいた。

突然、凄まじい悲鳴が聞こえ、飛び起きたみんなが見たものは、涙と汗まみれの
顔をして、四つん這いに這って来るその子の姿だった。

「おばけ!おばけが出たー!!」

便所の扉を開けると、髪を振り乱した、死に装束の女の幽霊が迫ってきたというのだ。

子供たちの、その便所への恐怖はさらに増した。
昼間でもあれほど恐ろしい場所なのに、こうなっては夜中にあの場所へ行く勇気
など、おきるわけがない。
しかし、悲しいかな、やはり我慢できないときはある。
その後も、夜中に用を足しにいっては、幽霊に出くわして逃げ帰る子供が続出した。

その幽霊はやはり、髪を振り乱した死に装束の女の幽霊だという。

ところでF少年は、名うてのガキ大将だった。
ガキ大将というものは、ケンカが強くて、威張っているだけではいけない。
頼れるリーダーとして、義務と責任があるものなのだ。
恐ろしい幽霊に対抗できる、期待の星として、自然と子供たちの注目は
F少年に注がれた。こうなっては、後には退けない。

「俺が、おばけを退治してやる!!」
F少年は、ある日ついに、そう宣言した。

その日の夜中。
F少年は、片手に寺から持ち出した木刀を握り締め、子供たちの視線を一身に
浴びながら、本堂を後にした。

昭和の初期の田舎の暗闇は、月の光で影ができるほど、濃く、深い。
そして細い道の両側には、例の凄まじい光景が広がっている。
それでも最初のうちは、英雄としての賞賛を背に、意気揚々と歩いていたが、
やがて振り向いても本堂を見ることも出来なくなり、励ましの声も聞こえなく
なってくると、カラ元気も次第に尽きて、F少年の足取りは、自然にトボトボと、
力ないものになっていた。

ぽつんと立っている、細い電柱。そこに取り付けられた、頼りない電球の
灯りに照らされて、その便所はあった。
屋根はなく、四方を板で囲んだだけの、粗末なつくり。
やっとの思いで、そこまでたどり着いたF少年だったが…、

正直、怖くて扉が開けられない。

それでも、ここまで来てしまったからには、もうやるしかない。
ガキ大将としてのメンツがかかっているのだ。
恐怖と緊張に汗の滲んだ右手に、木刀をしっかりと握りなおし、彼は便所の扉の
取っ手に手をかけた。

ただし、やっぱり怖いので、顔はそむけていた。

F少年は、ついに度胸を決め、思い切って取っ手を引いた。
勇気を振り絞って振り返ったそこには、髪を振り乱した、死に装束の女が!
それがぐぐっと、こちらに迫ってくる!
「うぎゃあああああっ!」
もうメンツも何も何もあったものではない。

そして、本堂で英雄を待っていた子供たちは、恐怖の汗と涙で顔をぐしゃぐしゃにして、
四つん這いに這って来るガキ大将を出迎えることになってしまった。

こうなってはさすがに放置できず、付き添いの教師や住職は、事態の究明に動き出した。
そして、意外な事実が判明した。
幽霊の正体は、実は住職の妻だった。
子供たちが疎開してきてからというもの、暴れ盛りの彼らが、本堂を好き放題に
駆け回り、もともと物静かでやや神経質だった彼女は、すっかりノイローゼ状態に
なってしまった。
何度か夫に訴えたが、子供好きな住職は、仕方のないことだからと応じてくれない。
そこで、思いつめた末に、子供たちを追い出す作戦に出たのだった。
夜中に一人、あの恐ろしい場所で、幽霊の扮装をして、おっかなびっくりやってくる
子供を待ち伏せていたのだった。

おわり。

(長々と書き込んだ挙句に、こんなオチで失礼しました…でも実話なんで…)

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うちのハムちゃん

かわいがっていたうちのハムちゃんがいきなり私の指を噛みました。
カワイイハムスターが人を噛むわけが無いと思い、手術をしてあげることにしました。
ハムちゃんごめんね、すぐよくしてあげるからね、と言って慰め、
手足を押さえてハムちゃんのお腹をハサミでちょきちょきと切って悪いものを取り出そうと探しました。
お腹の皮を切ってあげている間、何度も何度もハムちゃんは私の指を噛みました。
ピーピーピーと悲しそうな声で泣きました。
「早くボクの中の悪い物を取り出して!」と懇願しているようです。
早くハムちゃんの体の中に取り付いている悪い物を取り除かないと、
と思い、必死でハムちゃんのお腹をさぐりました。
そしたら赤黒いニュルニュルしたものが出てきたので取り出してあげました。
それは生き物のように動き、とても気持ち悪かった。
ハムちゃんの様子が落ち着いたのでお腹を糸で縫ってあげました、
今はスヤスヤと眠っています。

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俺はアイドル

俺は自慢じゃないけど、小学生の時からかなりの人気者だったよ。

何かよく分からねぇけど俺の一言でみんな大爆笑する。
例えば、俺がトイレでウンコしてると、
みんなが必ず集まって来てくれて、上から雑巾とか投げてくるから、
俺が「やめろ!」と言うと、みんな大爆笑。

あと、下駄箱のクツがなぜかなくなっちゃった時に、
みんなが「○○早く来いよ~」と言うから、
俺が「クツがない!」と言うと、みんな大爆笑。

そんな俺はもちろん女子にも人気があったよ。
俺をテーマにしたゲームがたくさんあった。
特に人気があったゲームは、
俺が触ろうとすると、みんなが俺を避けるというゲームだ。

俺はアイドルだったんだよ。

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