ある小さな町でAという身の丈190cmの大男が死んだ。彼は乱暴で粗雑、しかも何ごとも根に持ち
ささいな子供のいたずらにも酷い仕返しをするので皆から嫌われていた。
彼を変人呼ばわりした近所の小学生を捕まえ、顔が紫色に腫れ上がるまで平手で打ち付け
暴行罪で逮捕された経歴まである。
身寄りもおらず、日雇いの汚い仕事で稼いでは酒を飲んでいたので、肝臓でもやられたのだろう。
町で唯一の葬儀店Bの店主もこの男が大嫌いだったが
役場からのたっての頼みでしぶしぶ安い葬式をあげることになった。
適当に死体を洗い、一番安い棺桶に押し込め、
売れない坊主を無理矢理説得してお経をあげさせた。
異変が起きたのは葬儀が終わり棺桶を火葬場に運ぶときだった。
他に葬儀が重なってしまったせいもあり、霊きゅう車が手配できなかった店主は
軽トラックの荷台に積んでAの亡骸を運ぶことにした。
それほど遠い距離ではなかったが、大事をとって店主自らが荷台で棺桶が落ちないよう見張ることになった。
特に坂道や悪路もなく店主が荷台に乗ったのはあくまでも念のためだった。
が、しばらく行くと石でも踏んだのか急に棺桶が大きく揺らぎ、
店主は荷台の外枠と棺に足を強く挟まれた。
すぐに病院に運ばれたが、店主はスネから下を酷く複雑骨折しており
仕方なく切断することとなった。
しばらくして、「葬儀店Bの店主は自業自得だ」という声が町に出始める。
坊主がこんな事実を暴露したためだ。
あいつはAのサイズに合う棺桶を作るコストをケチって、
普通のサイズの棺桶に無理やりAの亡骸を納めたんだよ。
どうやったかって?
もちろんスネから下をノコギリで切断したのさ。