Archive for 7月, 2010

サウナ

銭湯に行った。
あがる前にサウナで一汗かくのが俺の日課だ。
俺が入って1分くらいで、男が1人入って来た。
勝負だ。コイツが出るまで俺は出ない。
これも日課だ。
10分経過。相手の男は軽く100キロはありそうなデブだった。
15分経過。滝のような汗を流してるくせに、頑張るじゃないか、デブめ。
18分経過。ついにデブが動いた。今にも倒れそうな程フラフラになりながらサウナを出ていく。
俺の勝ちだ!!俺はサウナルームの真ん中でガッツポーズをとった。

目を覚ますと俺は見慣れない部屋にいた。
どこかで見たようなオッサンが覗きこんでくる。
番台にいたオッサンだ。オッサンは言った。
「私が点検に行ったら君が倒れてたんだよ。
ドアにもたれかかるようにして失神していた」
どうやら熱中症を起こしたらしい。
少し頑張り過ぎたか。オッサンはやれやれとばかりに
「君を運ぶのはまったく骨が折れたよ。今度からは気を付けてくれよ」
俺はオッサンにお礼を言って帰った。ビールでも飲んで寝るとしよう。


謎の能力

ニューヨークの地下鉄を私はよく利用する。
毎朝通勤の度に地下鉄構内で何やらぶつぶつ言ってる一人のホームレスの男がいた。
男の近くの壁に寄り掛かり内容を盗み聞きした。
目の前をおばさんが通る。すると男は
「豚」
と呟いた。
私は思った。なんだただの悪口か、動物に例えているだけか…。
次に普通のビジネスマンが通る。すると男は
「人」
あぁ、まさに普遍的人間って感じの人だな…。
別の日、暇潰しにまた盗み聞きしてみる。
男の目の前をやつれた男が通る。すると男は
「牛」
と呟いた。
牛?どちらかと言うと痩せた鳥だが…?
次に典型的な肥満の男が通る、すると男は
「野菜」
と呟いた。
野菜?豚の間違いだろ?
私は家に帰り考えた。
もしや、次に生まれ変わる生き物、すなわち転生を言い当てるのか!?
その後、何度もホームレスを観察しているうちに疑問も確信に変わった。
ある日思い切ってホームレスに疑問をぶつけ、能力を身につける方法を教えてくれと懇願した。
ホームレスは淀んだ目で私を見つめた後、私の頭に手をかざした。
次の日からホームレスはいなくなった。仙人だったのだろうか?はたまた神か?
私は能力を身につけた。
それは期待するものとは違っていた。
ただ単に、その人が直前に食べたものだった
私はあまりのくだらなさに笑ってしまった。


入院していた義母が他界

ずっと入院していた義母が他界したので
義弟夫婦と夫の四人で義実家の整理に行った。
隣の家まで歩いて10分と言う土田舎。

電気も水道も止めて貰ってたので、色々手続きが面倒だった。
私と義妹で家の片付け、夫と義弟がご近所さんへの挨拶回り。
昔庄屋だった義実家は、戦前は何人も奉公人が住み込んでいただけあり
部屋数も多く、とにかく広い。

「うちでは管理しきれないわ」「うちも無理だわ、遠いし」「処分するしかないわね」
「でも主人達にとっては生家だし、なんて言うかしら」「そうね~」
等と言いながら、とにかく家中の雨戸と窓を開けていると電話がなった。
昔ながらの黒電話だ。出てみると聞き覚えの無い声で
「お戻りだったのですね。お待ちしておりました。これから伺います」
と言われた。どなた様でしょう?と聞いたのですが相手は答えず電話を切ってしまった。

夜には帰るつもりだったので、義妹と慌てていると夫達が帰ってきた。
電話の事を話して、心当たりを尋ねると義弟が笑って言った
「義姉さん。真面目な顔で何言ってるの?その電話はどこにも繋がってないよ」
10年前に子機付きの新しい電話機に換えた時に、線も引き直したんだよ、ほら、と
黒電話のコードをたぐり寄せた。
電話線は途中で切れていた。

凍り付く義妹と私の前で、その黒電話が鳴り出した。今度は四人とも凍り付く。
「来るって言ったのか?」
と夫が言った。義妹が泣き出し、四人で戸締まりもそこそこに車に飛び乗った。
それ以来、義実家には帰っていない。処分は業者に頼んだ。


小学4年生夏休みの時の話

773 :本当にあった怖い名無し:2010/04/10(土) 10:25:44 ID:5ejCb9eq0
小学4年生夏休みの時の話。
母親が海外に単身赴任してる父親に会いに行くため。
俺はパスポートがなかった為日本に残された。
祖父祖母は父方も母方も他界していた為会ったこともない親戚に一週間預けられたんだ。
親戚といってもほとんど血もつながっていないし付き合いもないような人達だった。

その家族は祖母(90)・父(55)・母(49)・娘(22)・息子(18)というう構成の家族。年齢は確かこれくらいだったかな。
母親に連れられ200km離れたすごい田舎に預けられた。
その家は平成(1994)の時代なのにお風呂は薪だし、トイレはボットンだしそれはそれは田舎を感じさせた。

家族は初めて会った俺にものすごく優しくまるで家族のように接してくれた。

2日目だったか、お姉さんとお兄さんに連れられて廃線になった線路があるトンネルに探検しようと連れられていった。
トンネルの中は真っ暗でかなり向こうに外の明かりが見えるくらいの長いトンネルだった。
20分掛けてトンネルを抜ける。その間なぜか二人は全然喋らなくなって無性に俺は怖くなった。

トンネルを抜けるとトンネルを迂回して家に帰る。
その日の夜からなぜか家族がものすごくよそよそしくなった。
「なにか悪いことしたのかな?」子供心にすごく不安になった。

その夜はものすごくムシ暑くてなかなか眠れなかった。
すこし外を散歩しようと思って外に出ようと玄関に向かったとき、
ヒソヒソと台所の土間から声が聞こえた。

家族が揃って何か話をしている。

774 :本当にあった怖い名無し:2010/04 /10(土) 10:34:56 ID:5ejCb9eq0
「やっぱり他人の子だな・・・」
「だから俺は嫌だって言ったんだ・・・」

子供の俺にも「あぁ・・・やっぱり迷惑だったんだなぁ・・・」
と、すごく悲しくなって布団に戻り眠りについた。

翌朝目が覚めた時、すごい寝汗でシーツがビショビショだった。
「怒られるかな?」と、思ったがおばさんは全然怒らずシーツを洗って干してくれた。

その日は、おばぁちゃんとおばさん以外は外出するということで一人で近所を探検していた。
ここに来て3日経って気がついたんだけと、お墓の多い村だって事に気付いた。

近隣にも家は2件程あるくらい。なんとも寂しい村だと思った。
夕方家に戻ると誰もいなくて
「変だな・・・」家の中を捜しても一人もいない。
「あ・・・シーツ乾いたかな・・・」
と思って庭にシーツを取りに行った。

「えっ?」
スーツが真っ赤な色に染まっていた。
いよいよ怖くなってくる。
777 :本当にあった怖い名無し:2010/04/10(土) 10:50:43 ID:5ejCb9eq0
夜の22時になっても誰も帰って来ない。
お腹もすくし、お菓子の一つもない。
外は街灯もない真っ暗な村。

真夏なのにものすごく肌寒かった。
電話が鳴った。俺はすがる思いで電話に出た。

俺「もしもし?」
お姉さん「今日は家族誰も戻らないから先に寝ててね・・・」
なんて事だ…俺は怖くなり布団に潜り込んでひたすら朝になるのを待った。

翌朝になっても誰も帰って来ない。「みんなどうしたんだろう?」
その時玄関から俺を呼ぶ母の声がする。
「○○~、今すぐ帰るわよー」

一週間海外にいるはずの母がなぜか日本にいる。
俺は変だとも思ったが母の顔を見て安心した。
その家の家族が戻らぬまま、実家に帰った。

母は何も言わず俺の手を引いて逃げるようにしてその家を後にした。
その後母はあの家の事を何も話してくれなかった。

15年経って俺は母に尋ねた。
「あの家族は元気かな?」・・・母は戸惑った顔を見せたが、ゆっくりと話してくれた。

「実はね、あの時・・・○○を預けて1日目の日に電話があってね・・・○○をもらうって電話があったの・・・」

それで母は急いで日本に戻って来たらしい。

そしてあの家族は、あの探検したトンネルで全員全身血だらけになって発見されたそうだ・・・


大きな神社

先日。俺はとある大きな神社に行った。
鳥居をくぐって階段を降りると、かなり広大な石畳のスペースがある荘厳な神社。

この神社に、なぜか真っ正面から入らずに(鳥居をくぐらずに)
横から入って参道を歩いていった。

途端、ビリビリ!!とおぞましい寒気が襲った。
尋常ならざる寒気と、自分の周りの空気を震わせるような殺気と、誰かがこちらを注視しているような目線を感じて、
「(これ以上進むのは)ムリだわ」と心の中で叫んだ。

寒気で体が硬直し、下を見たまま前を見ることができない。
うつむいたまま後ろに向き直した瞬間、足元に影が近づいてきているのが見えた。

「ヤバい!つかまる!」

と思い鳥居に向かって猛ダッシュしようとして、鳥居を見た瞬間に俺倒れて意識不明。

その後、病院の簡易ベッドの上で目覚めて、
家族から「何であんなところにいたんだよ」と聞かれたので、
そういえばと思い出してみた。

神社に行こうとした理由は自覚している。
単に願い事をするためだ。
だが、神社の横腹から敷地内に入る直前の記憶が全くない。
なんか、体がジャンプしている状態で、いきなりストンと神社脇に着地してこの出来事がスタートした、みたいなそんな感じ。

しかもその神社を訪れたときには、いつも来ている神社という認識があったのに、
(寒気に襲われたときに、「前にもあった。前にもあった、うん。大丈夫、このまま進もう」と自分を落ち着かせている自分がいたから)
今はどこの何神社なのかサッパリわからない。

また夢遊病者のように意識のないままその神社に向かうことになるのだろうか?


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