Archive for 5月, 2010

双子の弟

姉の腕に抱かれ、眠る。
僕がドアをノックしたらお姉ちゃんは優しく迎え入れてくれないといけないよ。
それは義務、使命だ。

私の弟は異常者だ。
姉弟である自分に姉弟愛では無い、恋愛感情を求めている。
その弟の異常性に気付いたのは彼が中学二年の頃だ。
私と弟の部屋は共同で、ベッドも一つ。
双子として産まれてきて物心がついてからはいつも
二人で一緒に寝てきたことを覚えている。
だけど異常な弟の性に気付くまで私は彼と二人で寝ることを
嫌だとは思っていなかったし、隣に弟がいると安心した。
周りには仲の良い姉弟だと認識されていたと思う。
私も弟のことが好きだったし、弟も私のことが好きであったと思う。
だけどその間に有ったのは姉弟としての愛だ。
引っ込み思案であった弟は、あまり友達の多い方では無かったし
性格も明るくは無かった。でも姉である私に対しては
優しくて思いやりのある弟だった。
誕生日には私の欲しがっていた手帳をプレゼントしてくれたこともあったし、
母親や父親と喧嘩して泣いていた私に、弟はいつも優しくしてくれた。
つまり私にとって弟は心強い味方であったし、優しい友達でもあった。
だから毎日弟とばかり遊ぶのは嫌では無かったし、楽しかった。
幼稚園、小学生、と同じ学校を通ってきた私達は中学も当たり前かのように
同じ公立の中学校へ進学した。
周りの環境は変わったけれど、本質は何も変わっていない毎日が
繰り返されているだけだと思っていた。

ある晩いつもの様に弟とベッドで眠っていた時
私は深夜に不意に目を覚ましてしまった。
ゆっくりと目を開けた。そこには薄暗い闇の中で私を見下ろしながら
性器を取り出し、必死にそれを揺れ動かしている弟の姿があった。
口元には笑みを浮かべていた。
しかし私の目が開いているのに気付いたのか
弟は不思議そうな表情でまじまじとこちらを見つめている。
「あれ・・・?お姉ちゃん・・・起きてたの?」
その時の私は弟の行為の意味を理解していなかった。
だが背筋に走る冷たいものが、理解し難い何かが走った。
私は返事をしなかった。いや、出来なかったのかもしれない。
とにかく言葉を失った。
そしてそのまま寝返りを打ったフリをして目をつぶった。
弟は私が寝ているのを半信半疑の様子だったが
そのまま横で眠りについたようだ。
いつも横にいて安心を与えてくれるはずの弟が
今日は何か得体の知れない人間に感じられた。
怖い。恐怖で身を固まらせながらも私はやがて深い眠りに落ちた。

次の日の朝、弟は何も変わらない様子だった。
少し私はほっとした。
(アレは何かの見間違え、もしくは夢か何かだったのだろう・・・)
いつもと同じ学校の授業を終え、帰宅してテレビを見て入浴。食事を経て・・・
「おやすみ。お姉ちゃん」
「うん、おやすみなさい」
灯りを消してそのまま眠る。
昨日のはやっぱり何かの間違いだったんだな・・・

やがて意識が薄れていき、完全に睡魔に意識を奪われる直前
背中に何か熱い何かを感じた。
文章表現の類では無い、実在する物体の熱さ。
振り向くと弟の寝顔があった。私に密着したまま眠っていた。
(なーんだ・・・。あれ?でもコレって・・・」
私の背中に当たっていた何かは、大きく怒張した弟の性器だった。
悪寒がした。気持ち悪いと思った。嫌悪感を抱いた。
昨日の夜の出来事が何かの間違いでは無かったことに気付いた。
それからは毎日就寝の時間が怖くて仕方が無かった。
弟との普段の生活中での会話も減った。
弟は私に何度も声をかけてきたが
そのたびに何度も素っ気無い返事を返して過ごして来た。
中学も終わりに近づき、高校受験を迎えることになった。
私は女子校を受験した。
更に母親に私と弟の部屋を分けて欲しい、と伝えた。
母親は承諾し、姉弟別々の部屋になった。
その日の夜一人で眠りにつこうとすると
部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「お姉ちゃん、一緒に寝てもいいかな・・・?」
息を飲んだ。気力を振り絞って
「ごめん。今日は一人で寝たいんだ・・・」
すると扉の向こうから足音が遠ざかっていくのを聞いた。
その日は本当に久しぶりの安眠を貪ることが出来た。
だけどそんな日々が続くのも僅かな時間だった。
次の日も弟は、私と一緒に寝たいと伝えにドアをノックしにやってきた。
その日も私は断ったが、その次の日も、次の日も、次の日も、次の日も、次の日も・・・
弟はやって来た。

「お姉ちゃん。なんで無視するの?」
「お姉ちゃん。どうして一緒に寝てくれないの?」
「お姉ちゃん。僕たち姉弟じゃなかったの?」
ドア越しに弟の声を聞く。
耳を塞ぐ。
ある日の朝、私が目覚めるとたくさんの丸まったティッシュペーパーが散乱していた。
事態を飲み込めなかったがティッシュペーパーを拾い、広げてみると
中には粘着性の液体が付着していた。
私はそれが何か瞬時に理解した。
(弟だ・・・弟がこの部屋に入ってきたんだ・・・。でもカギはかけているのにどうやって・・?)
次の日の夜、私は眠りにつくことが出来なかった。
弟が部屋を自由に出入りできることを考えると気が気で無かった。
「もう嫌だ・・・こんな家早く出て行きたい・・・」
口に出して呟くとその時ドアからガチャリと音が鳴り、開いた。
「どうして・・・」
弟がにやりと口元を歪めた。
「合鍵を作ってもらったんだよ・・・。お姉ちゃんの事を考えたら安い投資だ・・・。
最近のお姉ちゃんはおかしいよ・・・。僕は姉弟じゃないの?愛情を与えるのに値しないの?
この地上で同じ時間同じ場所で生まれた二人じゃないの・・・?愛し、同じ使命に従うべき・・・」
「あんたなんて弟じゃない・・・気持ち悪い。」
弟の口元が呆けた様に開いた。何を言っているのか理解できない風の顔をしながら
こちらに近づいてくる。

恐怖で体が動かない。そして私の耳元で弟が囁いた。
「お姉ちゃん、これからは毎日一緒に寝ようね。前と一緒みたいに・・・」
そう言って布団に潜り込んできた。
布団から抜け出そうとすると弟が腕を強引に掴んできた。
「駄目だよ・・・一緒に居てくれなきゃ・・・」
高校生男子の腕力にかなうはずも無く、そのまま一夜を明かした。
一晩中弟は私の方を向いたまま、まばたきもせずに丸い目でこちらを見つめていた。
反対側を向こうとすると無理矢理弟の方に力ずくで向かせられた。
一晩、ずっと弟の顔を見つめさせられた。
異常者の顔にしか見えなかった。
それから毎日弟は私の部屋にやって来る。
高校も1年が過ぎ2年が終わり3年目に突入した。
それでも弟は毎日やって来る。母や父には相談出来るはずも無い。
二人は私達のことを今でも仲の良いただの、普通の、双子だと思っているのだろう。
今日も外は静まり返り、夜がやって来た。
またドアをノックする音が聞こえる。


三文字

俺は、某所のある古いアパートで一人暮らしをしている。
このアパートは二階建てで、各階四号室までの、ごく普通のアパートだ。
ちなみに俺は104号室に住んでいる。
ある日、いつものスーパーに晩メシを買いに行こうと外に出たら、
アパートの前にはパトカーが数台止まっていた。
何だろうと思いながらも、そのままスーパーに足を進めた。
そして、そこでたまたま隣に住んでいるYさんに会った。
そして、Yさんは俺に何とも奇妙な事を聞いてきた。
『お宅の部屋、何ともない?』
『いや、別に今の所は…Yさんの部屋では何かあったのですか?』
俺は聞き返した。するとYさんは重々しい口を開き、しゃべり始めた。
『実は昨日の夜中、201号室の人と101号室の人が、ほぼ同じ時刻に
目玉と首を取られて死んでるんだって。それで、102号室の人が言ってたんだけど、
夜11時頃に、電話の鳴る音が聞こえたんだって。しばらく経ってその音が消えたと思ったら、
何て言ったか聞こえなかったけど、201号室から、数分後に101号室から、
決まった三文字の言葉が聞こえたんだって。それと同時に意味不明な叫び声が…
それで、102の人がすごいおびえてて、次は自分なんじゃないかって…
だから今日はうちに泊めてやる事にしたのさ。若い女性だから、一人じゃやっぱり不謹慎だろうからねぇ。
まあ空手五段のバリバリ主婦のあたしがついてればまず大丈夫だと思うけどね。
けどもし何かあったら助けに来るんだよ!一応隣さんなんだからさ!』
『は、はい…どうも…。』俺がそう言うと103の主婦は買い物を済ませ、部屋に戻っていった。
俺も、晩メシを買い、部屋に戻った。
しかし、いつの間にそんな事件が…俺昨日は早く寝たからな…よし、今日は念のため遅くまで起きてるか。まあ、おそらく何かの偶然だと思うが…しかし、ほぼ 同時に電話が来たといい、三文字の言葉といい…何か不気味だな。これでYさんたちに何かあったら洒落にならないぞ…そう思いながら晩メシを食べ、それから 黙々と雑誌を読んでいた。
…気付けばもう11時か。まあ30分ぐらい布団かぶって待って、何も無かったらそのまま寝るか…

そしてしばらく待って、10分経ってから眠くなってきた。もう良いだろうと思い、眠り に落ちようとした時、ある音によって一瞬で目が覚めた。
『プルルルル』
103からだ。そしてよく耳を澄ますと、斜め隣の203、その隣の202号室からも聞こえてくる。
おそらく102号室も鳴ってるであろう。
こんな事があろうか。同時に4つの部屋の電話が鳴るなんて…すると上の方の電話の音が消えた。
何も知らずに取ったのであろうか(まあ俺もあまり分からないのだが)そして上からかすかに声が聞こえた。
それは確かに三文字だったが、上の方だったため、よく聞き取れなかった。
しかし、それは確かにその声は三文字だった。しかも、何かボソッと呟くような…。
今まで半信半疑だった俺も、いよいよ怖くなってきた。Yさんの言ってた事が、今のところ現実に起きている。
…ところでYさんたちは?まだ電話は鳴っている。警戒して取っていないのか。その方がおそらく正解だ。
『上は死んだな』何故か俺はほぼ確信していた。しかし、まだ102と103はまだ電話が鳴っている。
俺は、二人がいる103号室に行くことにした。急いで靴を履き、外に出た。
まだ電話は鳴っている。お願いだ、取らないでくれ…取らないでくれ…そう思いながら103のドアを開けた。
『その電話を取るな!』
ところがもう遅かった。恐怖に耐えかねた主婦のYさんが、電話を取ってしまったのだ。
すると、Yさんはしばらく受話器に耳を当て、しばらくして、主婦は例の三文字の言葉を放った。
『はたよ』
………何て意味不明な言葉だ…何かかなり意味深いものを感じ、何故かものすごい寒気がしてくる…。
そして、102の若い女性がいつの間にかいなくなっていた。102に戻ったのか?危ない!
102はまだ電話が鳴っている!取ったら…おそらく…!そう思ってた矢先、電話の音が消え、また聞こえた。
『はたよ』
…もう終わりだ。すると、俺の部屋からも電話の音が聞こえてきた。まさか、
このアパート全体に…!?まあいい、そんなの取らないに決まってる!まず女性の所に…!
そう思って102のドアを蹴飛ばした!

…女性は無事だった。電話を取った後、部屋の隅でうずくまっていた。
ひとまずホッとした。しかし、俺は忘れていた。あの主婦は…?
俺は急いで103に向かった。ドアを開けると、…驚いた。
主婦も無事だ。小刻みに震えながらやはり部屋の隅でうずくまっていた。僕は逆に不思議に思った。
何故電話を取った二人が助かったのか…?ただのイタズラだったのか?いや、
それは無い。実際にそれで101と201の人は目玉を取られて首を刈られ殺されている。
………待てよ?101と201の人は電話を取ったのか?…もしかして、取ったから死んだんじゃなくて、『取らなかった』から死んだんじゃ…。
ものすごい寒気がした。まだ俺は電話を取っていない!まだ電話は鳴っている。
『急げ!』
俺はあせりながらも、急いで自分の部屋に戻った。
『プルルルル』
『プルルルル』
『プルルルル』
『プルルルル』
『プルルルル』
よかった、まだ電話は鳴っている!あれを取れば……助かる…助かるんだあ!俺は急いで電話を取った。
だが、それは自分が予想していた三文字とは全く違う言葉だった。

『おそい』

そしてノックの音がした。


憑いてたモノは…?

これは今年の夏、地元G県の廃遊園地Kで私が体験したマジ怖かった話です…遊園地はつい2~3年前閉鎖され、今ではホームレスのたまり場になっていると噂 で聞いていました。そこで友人と弟と、3人で行ってみようということになりました。
遊園地までは山道で、友人が車を出してくれました。真夏で暑かったこともあり、車内の窓は全開でした。山を登り始めたころから、車内に小バエのような小さ な虫がいるのが気になっていましたが、次第にその数が明らかに増えていました。
耳もとで羽音がすごいし、目や口の中にも入ってくる始末。私たちは気持ち悪くなり、一旦車を路駐して車外に出ました。すると、子猫の鳴き声が聞こえたんで す。見ると、竹林の中に白い子猫がいました。
初めは怯えていて、こっちに寄ってはこなかったのですが、私たちが持っていたお菓子やパンをちらつかせると、徐々に道の方に出てきました。明るいところで はっきり猫を見た私たちはびっくり、その猫は右耳がなく、血が固まったあとがありました
右目もつぶれていて、とても悲惨な姿でした。野良にやられたのかな、かわいそう…と、持っていたパンなどを全部子猫にあげ、私たちはまた車に乗り込みまし た。
そのとき、パンを狙ってか子猫を狙ってか、カラスが2羽急降下でおりてきました。細かい羽が飛び散り、私たちは一瞬固まりましたが、弟が車から飛び降り ジャケットを振り回しながら声をあげて近づいていくと、カラスはパンをくわえて逃げていきました。
私と友人も車から降り様子を見に行くと、さっきの子猫はカラスにつつかれたりしたようでお腹や顔から血を流していました。もう息もか細く、10分後くらい に息をひきとりました。

埋めてあげようということになり、竹やぶに子猫を埋めました。その間もずっと上空ではカラスがギャアギャア鳴いていました。カラスが人を襲うとかよく聞く ので、早く移動しようと、いざ遊園地に向かいました。
現地に着くと、従業員入口みたいなところがまたげそうだったので、そこから中に入りました。ひとしきり散策しましたが、ガラスが割られているとかコン ドームが落ちているとか、その程度でした。持って行ったポラで写真もとりましたが、何も写りませんでした。
しかし、恐怖は帰りに起きたのです。お化け屋敷のアトラクションの前に、中から引っ張り出されてきたと思われる、ドレスを着たマネキンが横たわっていまし た。仰向けのかたちで、首を右向きに倒して(右を見て)いました。
そのとき、さっきまでうるさいくらい鳴いていたセミがバチバチ言いながら一気に飛んだのです。それにびっくりし、きゃぁー!と3人で抱き合ってしまい ました。蝉が飛び立ったあと、急激な静けさに全員が生唾を飲み込み、冷や汗をかいていました。
そのとき、私は友人の目が一点を凝視していることに気付きました。まばたき一つせず強張った顔の友人に、…大丈夫?と聞きました。すると
「あの人形…さっきまで右向きだったよね…?」
と、震える声で言いました。

私の真後ろにあるマネキンです。とたんに、全身に鳥肌がたち、背骨から頭の先に圧迫感を感じました。そして振り向くと、たしかにマネキンは左をむいていた のです!しかも、仰向けの体制からまるで寝返りをうったかのように、体ごと左を向き、私たちのことを見ていたのです!
次の瞬間、友人が突然すごい声で「グェェェェ!」と叫びました。驚いて友人の方に振り返ると、口からよだれを垂らし、手の指がありえない向きにばらばらに 動いていました!私は腰を抜かしそうになりましたが、弟に友人をおんぶさせ、走って入口まで逃げました。
途中、弟が「うわぁぁぁ!」と叫ぶので見ると、友人が後ろから弟の首をしめていました!私は恐怖とパニックで「Mちゃん(友人)やめて!」と泣き叫びなが ら、友人の背中を強くグーで叩きました。
すると友人は「うぅ…」と呻いて、弟の首を絞めるのをやめます。そのすきに走って、また首を、背中を叩く、…それを繰り返し、やっと入口にたどり着きまし た。弟は完全に腰が抜けてしまっていて、友人はまた遊園地の中に入っていこうとします。
引き止めようと腕や肩をつかんだら、すごい力で振り飛ばされ、粉々のガラスの上に顔面からつっこみました。パニックだったので痛みはありませんでした。そ のとき、友人のバッグから車のキーがのぞいているのに気付きました

私は弟に友人を見張っておくように言い、キーを持って車を取りにいきました。すると、フロントガラスの上に、埋めた子猫の死骸が、土まみれで置いてありま した。私は足ガクガクで、その場に立ち尽くしました。近くでカラスの鳴き声もします。
掘り返したのか?なんて考える余裕が一瞬ありました。完全に頭がぼーっとしてしまい、動けませんでした。そのとき、遊園地入口の方から弟が友人をずるずる 引きずりながら「姉ちゃん!何やってんだよ!」と叫んで出てくるのが見えました。
私は、弟の首がどす黒く変色しているのと、友人の気持ち悪い動きを見て、何かがふっきれました。そして「わぁーっ!!」と叫びながら、フロントガラスの猫 の死骸を手で払いのけました。そのときのずっしり重く、ぺちゃっとしてぬるい感触はいまだに忘れられません…
そして車に乗り込み、弟と友人を乗せ、急いで山をおりました。途中カラスが車に何羽もぶつかってきたり、エンジンが3回とまるなど、本当に怖かったです。
山をおりてすぐのところにA神社があり、私たちはそこに転がり込みました。巫女さんの姿が見えたので、助けてください!と叫びながら境内の方に走りまし た。顔面血まみれの私を見て、巫女さんはすぐに神主さんを呼んでくれました。
友人はふらふらと車から降りてくると、わりとちゃんとした足取りで境内の方についてきました。しかしわけのわからない言葉をぶつぶつ言っていました。私と 弟は、友人の手をしっかり握り、神主さんに事情を話しました。

神主さんは「事情はわかったから、きみたちは病院へ行きなさい。この子(友人)についてきた物と話してみるから」と言ってくれました。私と弟は二人で病院 へ行きました。弟は首にくっきりと手のあとがついていました。
私は病院の入口につくなり、血の気が引いて倒れてしまいました。あとで弟に聞いたら、出血がひどくて大変だったそうです。弟に血をもらい、顔に残ったガラ スを取り出し縫う手術を受けました。病院側が連絡したらしく、警察の取り調べも受けました。
次の日、私と弟もA神社にお祓いに連れていかれました。神主さんは怒りませんでしたが、事態の深刻さについては静かに話してくれました。友人は、あのあと 意識が戻らず1週間入院しました。
友人の車は、神主さんの助言もあり親御さんが廃車にしたようです。弟は、首の痕はとれましたが、尻餅ついたときの打ち所が悪く、片足が不自由になってしま いました。私はというと、ガラスが目に入ってしまったらしく、数年後には失明すると診断されました。

みなさんも、心霊スポットには十分お気を付けください…


コンセント

最初に気付いたのは散らかった部屋を、僕の彼女が片付けてくれた時だった。
僕は物を片付けるのが苦手で、一人暮らしをしている狭いアパートはごみ袋やら、色々な小物で埋め尽くされていて、結構な状態だったから。
といってもテレビで出てくるほどのゴミ屋敷ってわけでもなくて、ちゃんと足の踏み場はあるし、掃除だってほどほどにはしているつもりだ。
けど、やっぱり男の一人暮らしは散らかってしまうもので。
結果的に時々アパートに来てくれる彼女が片付けてくれている。
その日も同じように彼女が来てくれて、部屋の掃除を始めてくれた。
僕も彼女と反対側の掃除を始めて、本やら小物を要る物どうかを判断したりして、だんだn部屋が片付いてきた時。彼女がそれに気付いたんだ。
「ねぇ……」
彼女が指差した雑誌やらビデオテープやらで隠れていたコンセントの中から、かなり長い髪の毛が一本、垂れ下がっていた。
「これ誰の髪の毛よ」
僕の友達は男友達ばかりだって事を知ってる彼女は、ぼくを疑いの目で見た。
僕の髪は短いし、でも彼女の髪もこれほど長くない。
けど僕にだって彼女以外の女性を部屋に入れた記憶はなかった。
あまりにも彼女が僕を疑いの目で見るので、僕はコンセントから出ている髪の毛を掴むとスルスルとそれを引き出した。

プツン。

嫌な感触に僕は思わずその手を離した。
まるで、本当に人の頭皮から髪の毛を抜いたような、リアルな感触。
長い髪の毛が掃除された床に異端者のように舞い落ちて、隙間風に揺らめいた。
思わず僕はコンセントの穴を覗き込んだけれど、その先は真っ暗闇で、何一つ見えなかった。

翌日の朝。僕は青ざめていた。
思い出せば昨日はコンセントの事などすっかり忘れて、僕はあの後彼女とカラオケで遊び、そこで飲んだ酒のせいか、僕は帰ってきたとたんに死んだようにだっ ぷりと眠っていた。
目覚めたときには電車のギリギリの時間、僕は飛び起きると寝ぼけ眼で、大学の準備をしようと放り出してあったカバンを取り上げた。
その時、ちょうど目線に入ってきたコンセント。
真っ暗な二つの穴の一つから長い髪の毛がまた、だらりと力なさげに垂れていたんだ。
昨日引き抜いたはずの髪の毛。
長さから見ても同じ人物のようだった。
まるで何かの触手のようにコンセントから伸びているそれがとても気持ち悪くなり、僕はそれを急いで引き抜いた。プツリ。またあのリアルな感触。
「気色悪い……」
僕はそう呟くと、その穴に使っていなかったラジカセのコンセントを押し入れ、引き抜いた髪の毛を窓から捨てると、荷物を持って部屋を後にした。
髪の毛は風に乗って、何処かへ飛んでいった気がした。

それからラジカセが大きかった事もあってか、僕はまたコンセントの事など存在すら忘れて普通の日々を過ごしていた。
部屋はまた散らかりだし、布団の横には漫画が山積みになっていて、また彼女が来ないかな、などと思いながら空いたスペースをホウキで掃くぐらい、ごみ箱は もういっぱいで、僕は集めたゴミをゴミ袋の中に直接捨てた。

あれから一ヶ月は経った時だったろうか。
ついに、それは僕に降りかかった。

<ガ・・・・・ガガ・・・・ガガ・・・ガガガ・・・>

夜中に突然鳴り出した音に、僕の安眠はぷっつりと閉じられた。
「あ・・・・う・・?」
苦しそうな声を上げて電気をつけると、放置していたラジカセからビリビリと何か奇妙な音が流れていた。
山積みになった漫画の更に裏にあったはずのラジカセが見える、変に思ってよく見ると、積んであったはずの本は崩れて、周りにころがっている。
まさか、ラジカセの音で崩れるはずは、とも思ったが…それしか浮かばない。
<ガガ・・ガガガ・・・>
ラジカセはまだ壊れたように妙な音を発していて、僕はその電源ボタンに手をかけ――そして気付いた。
電源は…すでに切れていた。
オフになっているのに、やっぱり壊れてしまったのだろうか。
僕はラジカセを持ち上げようと、両手で両端を掴み力を込めた。
ぬちゃ…といやな感触がして、僕はそのまま…目を見開いた。
ラジカセの裏から伸びたコンセント、そこに人間一人分ほどの髪の毛が絡みついていたんだ。
コンセントのコードにつるのように絡まって、ギチギチに。
目で追うと、それはコンセントの穴の片方から…伸びているようだった。
…しかも、僕は驚いてラジカセを力いっぱい引いてしまったんだ。

ぶ ち ぶ ち ぷ ち ぶ ち

ラジカセに絡まっていた何十万本まの髪の毛が頭皮から引き抜かれる感触がした。
同時に、コンセントの向こうから絶えられないほど絶叫が響いたよ。
コンセントの穴から髪の毛が一斉に抜け落ちて、ドロリとした真っ赤な血が、穴から噴出した時…僕は悲鳴を上げ、気を失った。

血塗れの部屋。髪が散乱する部屋。僕は部屋を綺麗に掃除すると、荷物をまとめて部屋を出た。
あのコンセントからは、また髪の毛が一本触手のように垂れていた。


ゲシュタルト崩壊

家に姿見のような大きめの鏡がある方は一度試して貰いたい
鏡に映った自分を見ながら 『 お前は誰だ 』 と言ってみてください
いえ、お化けとか幽霊だとかそういう類のモノでは無いんです
鏡に映った自分の眼を見ながら 『 お前は誰だ 』 と言ってみてください

何か不安感というか、奇妙な感覚に囚われるかと思います

大戦中 ナチスがユダヤ人に行なった実験に
人格をコントロールするという名目で
一日数回 被験者を鏡の前に立たせて、鏡の向こうの自分に話し掛けさせ
(例えば『お前は誰だ』とか言わせ)精神の変化を観察記録していったそうな。
実験開始後
10日間経過したころには異変がみられ始めた。
判断力が鈍り
物事が正確に把握できなくなり、
そして3ヶ月経った頃にはすっかり自我崩壊し
「自分が誰だか分からなく」なって 狂ってしまった。

..というのを以前軍板で見たんですが

当事、好奇心旺盛だった友人(以下 )と僕は
「ウソくせー 試しにやってみようぜ」という事になった。

その日、自宅の姿見の自分に向かって「お前は~  とやってみた
夜中、閉めきった部屋だったので不気味極まりないのですが
テンション上がってたので怖くは無かったです
しかしすぐに 気分が悪くなり 吐き気を催し
(僕の顔がキモかったからでは無いです)
やっぱヤバいなと思って私はやめた。

次の日
友人Aに 怖くてちょっとしか出来なかった旨を言うと
「うわ、ダッセー あんなもん怖くもなんもねぇよ」と子馬鹿にされました。
そして二人の間でこの話題はここで終わったのです。

しばらく経って鏡の話など忘れてしまった頃、
Aがしばしば学校を休むようになった。
登校している時に 何かあったのかと聞いてみたが
「ん.. 何でもない」と、どこか上の空のような感じでした

それから数日後
夜中 急にAから電話がかかってきた。そして受話するや否やいきなりAが

『俺って オレだよな? 俺って、相田XXX(Aの本名) だよな?』 と変な事を聞いてきた
『な?な?』って 今にも泣きそうな声で聞いてきた

僕が「何おかしな事言ってんだよ、お前は相田XXXだろ」と答えてやると
『そっか...そう だよな。』と
Aは少し落ち着いた様子でこう続けた
『実はさ、あの後も 何度か鏡に向かってやってたんだ。いや、別にナルシストなわけじゃないんだけども鏡の自分に話し掛けてると不思議と気分が良かったん だ』
『何かどんどん自分が自分じゃ無くなっていく感覚が気持ちいいんだ』

おいおいヤバいだろそれは...
私はすぐに止めるようにAに言ったのですが、
『いいんだ、 いや、大丈夫だから、これでいいんだ だいじょうぶ、いや コレで良いんだ』と
壊れたオーディオみたいに繰り返し、私が「おい!」と言った瞬間電話を切ってしまった。

心配になってもう一度電話をかけてみたがなかなか出ない。
12回コールしたところでやっと出たAは一言こう言った。

『 お前.. 誰だ? 』

すぐに断線し それから二度と電話は繋がらなかった。
そしてAは全く学校に姿を見せなくなった

後日
全く連絡のつかないのを不安に思ったAの親がAの下宿先に行ったんだが
Aの奴 すっかり頭が狂ってて、親の顔も認識できなくなってて
唖然とする両親を尻目に
ヘラヘラ笑いながら洗面所の鏡に向かって
ずっと話し掛けてたそうな

勿論、鏡に映った自分とである。

その後Aは実家に連れ戻され地方の病院に入院したので
詳しいことは分かりませんが
人づてに聞いた話によると 今では精神状態も大分良くなったそうな
ただ、Aの病室には自分が映る鏡や鏡面の金属製の物は一切置いてないのだと。

私もまさか、短時間であんなにおかしくなるのとは思わなかったんですが

件の鏡の実験には続きがあって
ある被験者を普通の鏡だけでなく合わせ鏡で行なったところ、
通常の倍の速度で精神に変調が見られたそうだ。

そう、Aの洗面所の鏡は三面鏡だったんです

家に姿見のような大きめの鏡がある方は一度試して貰いたい
鏡に映った自分の眼を見ながら 『 お前は誰だ 』 と言ってみてください
何か不安感というか、奇妙な感覚に囚われるかと思います。
暗示にかかりやすい人は お手軽かつ、簡単に狂うことができるので
絶対に継続してやらないで下さいね。

最近顔を洗って鏡を見たら知らない女が映ってて驚いたが、
よく見たら自分の顔だったって事が良くあるんです。

私って私ですよね?


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