Archive for 6月, 2010

いい波だよ

高校生の時の夏休み、友達が免許を取ったというので遊びにいこうと
電話があった。時間は午前三時。
むし暑い事もあって、サーフィンをやりに神奈川の海岸へ。
海についた時刻が、午前四時。けっこう人もいる。友達は仮眠中。
「俺も仮眠しようかな?」って思った時、車のドアを叩く音がする。
開けてみたら、小学5~6年の男の子が立っていた。
「今、スゴイいい波だよ。おにいさんもきたら?」と少年がいうので、
俺もサーフィンしにいこうかな?と思ったが、
「ありがとう。もう少したってからいくよ。」と応えドアをしめたのだが、
外から、少年の声がする。「本当に波いいよ。」「今がぜったいいいよ。」
あまりにもしつこいので、怒った口調で「わかったよ!」というと同時に
少年のつぶやく声がした。
「ほんとに、いい波だよ。俺、この波で死んだんだ。」
はッとして、ドアをあけたがそこには誰もいなかった・・・
高校の時の思い出である。


七沢トンネル

神奈川の伊勢原の辺りかな?七沢トンネルってご存知でしょうか?
山神トンネルが本当の名称かもしれませんが、そこでの体験談です。
今から2年ほど前、大学2年の頃、神奈川の厚木市に住んでいました。
で、向こうには廃病院やら結構心霊スポットのような場所が多くて
あまり遊ぶトコもないんでよく仲間と肝だめし気分で
そういう噂のあるとこに行っていたんですね。
七沢トンネルについて聞いた噂というのは
雨の降る夜に行くと白いワンピースの女を見るとか
そんなもんだったような気がします。ちょっと記憶が曖昧ですが…。
怖い場所は好きなのですが実際に幽霊とか見たことないし
それらしい体験もしたことありませんでした。それまでは。

その日、七沢トンネル行こうと話を持ってきた友人Aと
いつも一緒につるんでいるBとCと俺の4人で行くことになりました。
車の運転は俺です。途中コンビニで懐中電灯を購入しました。
Aの聞いた道順を頼りに進んでいきました。
どんどん山道を登っていきます。深夜2時を回っていたんじゃないかな。
周囲の明りも少なくなって、道幅も狭くなります。
道路は途中から舗装されてない荒れ道になり他に車は見当たりませんでした。
正直結構小心者なので引き返したいとも思いました。
結局そんなこと言い出せない雰囲気でそのまま進んで行くと
突然Bが「あれっ!?」と声をあげました。
Bの指差す方を見ると、たぶん廃車?が道の脇に
伸び放題の草に隠れるように止めてありました。

「ただの廃車でしょ?」Aが言います。
「いや、人が乗ってたろ!?見えなかった?」
完全にBはパニクってたけど俺にも何も見えませんでした。
「暗いしさ、雰囲気でそう見えただけだよ。」
Cも何も見てないようで3人でBを落ち着かせました。
内心俺はかなりびびっていました。
Bって鈍いというかあまり動じない奴だと思っていたので…。
とりあえず先に進むとゲート?のようなものがあったんですけど
立ち入り禁止のバーが上に上がっていたのでそのまま進みました。
細い道なりに進みカーブを曲がると突然道が開けました。
左に駐車場?のような空き地があって正面にトンネルが見えました。
思ったより小さなトンネルで幅は車1台分ってとこだったと思います。
トンネル内は真っ暗でした。

俺は空き地で車を止めようと思いました。
が、エンジン切る瞬間心臓止まりそうになりました。
ここに来る前に満タン近くだったガスがもうなくなりそう…。
他の3人に言いましたが見間違えだろうと。
まあ俺も怖いんで見間違えたんだろうと思うことにしました。
「じゃあ降りて往復してみよっか」というAの言葉で車から降りました。
トンネルに近付くにつれて小雨が降っているのに気付きました。
だんだんと周囲の雰囲気が怪しいものに思えてきます。
なんとなくBも俺と同じで引き返したそうな感じでしたが
強気なAは懐中電灯を片手にさっさと中に入って行きます。
Aに続いてCが入り、Bと俺が並んで続きました。

思ってた以上にトンネル内は陰気でいかにもって感じです。
霊感なんて全くない自分ですがこれはヤバイんじゃないかと。
Aは楽しんでるようで壁の落書きを見ては笑いながら話してました。
トンネルの真ん中くらいに到達した頃でしょうか。
突然懐中電灯が点滅を始めて、あっと思う間もなく消えました。
「うわぁぁぁ」Bの絶叫で俺も一目散に入り口へ向かってダッシュ。
不思議と暗い中でも入り口の方はかすかに明るかったです。
4人揃ってなんとか車に戻りました。さすがのAも真っ青でした。
「…もう戻ろうか?Aももういいだろ?」Cが言いました。
「お、俺の後ろ何か、いるか?」
「はぁ???」3人ともAが何を言いたいのかよくわかりませんでした。

「お前ら何も聞こえなかった?」
「何が?」3人顔を見合わせて首をかしげました。
「走って戻る間、ずっと聞こえただろ!?」
「お~い…お~い…ってさ?俺達の後を追っかけるようにさっ」
「…いや、何も聞こえなかったよ。な?」俺はB,Cに同意を求めた。
どうやらAだけに聞こえていたようです。
その声はどんどん近付いてきて車に乗る直前には
耳元で聞こえたと半分泣き声でAが言いました。
俺達は聞いてないけどAから聞いただけでもう十分でした。
急いで車を発進させ元来た道を戻りました。

完全に俺はびびってしまって、全員そうだと思うけど
本当にあの時は生きた心地がしませんでした。
車内がジト-っとしてバックミラーなんか見ることができませんでした。
車を走らせると突然目の前に真っ白な棒が…
来る時は上がっていた工事用のゲートのバーが下りていました。
俺の心臓はもう口から飛び出しそうでした。
慌てて車から降りてバーを上げに走りました。
バーを上げて開けたままの車のドアに向かって戻ると…
俺の車は車高の高い四駆なんですが、
ドアの下に座席に上がるため足をかけるステップがついてるんですね。
そこに白いビニール傘が置かれていました。
さっき見たときはこんなものなかった。ってかなんで傘?
もうわけがわからずただ怖かったです。急いで山を下りました。

とりあえず4人揃ってAの部屋へ戻って一息つきました。
Aに続いて部屋へ上がろうとしたCが叫び声をあげました。
「うおっ!!これどうしたん!?」
Cの指差す先、Aのシャツの背中の部分が縦に切り裂かれていました。
4人とも無言で夜が明けるまで眠れませんでした。
翌朝、解散して俺は自宅へ戻りました。
Cから電話があったのはその日の夕方くらいです。
どうもAが熱を出したらしい、背中が腫れているとのこと。
俺が駆け付けるとAはベッドの中でうなっていました。うつぶせで。
背中を見せてもらうと人のこぶし大ほどに腫れてます。
こんなの見た事なかったので病院に連れて行ったほうがいいだろう。
Cと二人でAを支えて近くの救急病院に連れて行きました。

Aの親に連絡を取ったら、明日にでも向かうとのこと。
医者はとりあえず検査しないとわからないから今日は入院してもらうと言いました。
「やっぱり昨日のアレかな…?」Cが青い顔でつぶやきました。
俺は黙ってうなずくしかありませんでした。
ここからAは大学病院に移されて、結局2ヶ月近く入院しました。
原因は不明とのことでした。ひたすら抗生物質を投与されたそうです。
Bはトンネルへ行った翌日バイクでこけて足を骨折しました。
俺は3日後に捻挫したくらいです。これはただの不注意でした。
何もかもトンネルのせいにするつもりはありませんが、
やっぱり噂のあるようなとこって何かあるんだろうなと思いました。

余談ですが、入院して2週間後のAを見舞いに行ったときのこと。
ベッドで横になっているAはすっかり落ち付いていましたが、
背中の腫れは子供の顔の大きさくらいになっていました。
これ顔になるんじゃなかろうか?なんて冗談半分で思いましたが
その予想は外れたので良かったです。

以上です。長文失礼しました。


ある葬儀屋の話

ある小さな町でAという身の丈190cmの大男が死んだ。彼は乱暴で粗雑、しかも何ごとも根に持ち
ささいな子供のいたずらにも酷い仕返しをするので皆から嫌われていた。
彼を変人呼ばわりした近所の小学生を捕まえ、顔が紫色に腫れ上がるまで平手で打ち付け
暴行罪で逮捕された経歴まである。
身寄りもおらず、日雇いの汚い仕事で稼いでは酒を飲んでいたので、肝臓でもやられたのだろう。

町で唯一の葬儀店Bの店主もこの男が大嫌いだったが
役場からのたっての頼みでしぶしぶ安い葬式をあげることになった。
適当に死体を洗い、一番安い棺桶に押し込め、
売れない坊主を無理矢理説得してお経をあげさせた。

異変が起きたのは葬儀が終わり棺桶を火葬場に運ぶときだった。
他に葬儀が重なってしまったせいもあり、霊きゅう車が手配できなかった店主は
軽トラックの荷台に積んでAの亡骸を運ぶことにした。
それほど遠い距離ではなかったが、大事をとって店主自らが荷台で棺桶が落ちないよう見張ることになった。

特に坂道や悪路もなく店主が荷台に乗ったのはあくまでも念のためだった。
が、しばらく行くと石でも踏んだのか急に棺桶が大きく揺らぎ、
店主は荷台の外枠と棺に足を強く挟まれた。
すぐに病院に運ばれたが、店主はスネから下を酷く複雑骨折しており
仕方なく切断することとなった。

しばらくして、「葬儀店Bの店主は自業自得だ」という声が町に出始める。
坊主がこんな事実を暴露したためだ。

あいつはAのサイズに合う棺桶を作るコストをケチって、
普通のサイズの棺桶に無理やりAの亡骸を納めたんだよ。
どうやったかって?

もちろんスネから下をノコギリで切断したのさ。


木箱の中身

これは先輩の友人が体験した話だ。

その友人にはまだ十代の妹がいた。
妹は高校中退した後、ふとしたきっかけでホスト遊びにはまり、
ちょっとした借金ができたそうだ。
そしてお決まりのコースよろしく、相手のホストから闇金を紹介され、
風俗勤めすることになった。
けれど彼女は三日ともたず、切羽詰って家の金に手を出したという。

もともと実家は土建屋をやっていて、バブルの頃は羽振りも良かった
そうだが、その頃には、かなり経営も行き詰っていたらしい。
金を使い込まれたことがきっかけになり、親の会社は不渡りを出し、
ついには倒産したそうだ。

住んでいた土地も追われ、一家離散。
彼女は自分のしでかしたことを、自殺することで償った、というか
逃げ出したのかもしれない。

妹思いだった兄は、深い悲しみが激しい憤りへと変わり、
闇金を紹介したホストに復讐することを誓う。

ただ、失意の両親をこれ以上追い詰めるような真似だけはしたくない。
そこで先輩に相談したところ、ちょっと怖い思いをさせてやるか、となった
そうだ。

ある日の朝早く、酔っ払って店を出るホストを待ち伏せして、
先輩ら三人でさらったそうだ。
車のトランクに押し込み、連れて行ったのは山奥の廃墟になったモーテル。
荒れ果てた一室に、手錠をかけたままのホストを監禁。
先輩の友人は、あらかじめ準備していたものを取り出し、ホストの前に
置いた。

「この写真の女の子を覚えてるな」
それは亡くなった妹の遺影だった。
「○○はおまえに詫びてもらうまで成仏できないって、夜な夜な枕元に立つんだ」
遺影の横に、白い布で包んだ木箱を並べる。
「一日かけて謝れ。今夜枕元に出なかったら、迎えに来てやる」

この話がどこまで本当なのか、先輩は分からなかったと言う。
ただ、喉の渇きを訴えるホストに、その友人は自らペットボトルの水を与えた
そうだ。
その姿は、本当に妹に詫びて欲しいように見えたらしい。

翌朝、明け方に三人で集合し、再び山奥の廃墟へと。
みんなかなり緊張しながら、部屋のドアを開けると、

・・・そこはもぬけの殻だった。

手錠は片方が洗面台の配管にかけられていて、身体の自由はきかない
はずだった。それでも、玩具の手錠。釘一本で簡単に開けられるのかも
しれなかった。

財布や携帯は取り上げてあったが、モーテルの目の前は旧道。
疎らとはいえ、地元の車の往来はある。
「逃げやがった」
先輩らは周りを探すのを諦め、車に戻ることにした。
その友人は遺影を脇にして、両手で木箱を持つと、声を上げた。
「えっ、何だこれ」
木箱の中に骨壷が入っているものだと、先輩は思っていたそうだが、
違ったそうだ。
「いや、ただの箱だよ。納骨は終わってる。びびらせるつもりでさ」
友人が白い布をとくと、蓋つきの木箱が現れた。
「中身はからっぽのはずなんだけどな」
蓋を開けると、中身はいっぱいの黒土が。
「なんだこれ」
箱をひっくり返して土を落とすと、拳大の塊が一つ出てきたそうだ。

先輩と友人が間近で確かめようとすると、鼻を突く異臭がしたという。
傍らにあった木の枝でつつくと、それはひからびたミイラのように見えた。

「これって胎児じゃねえーのか」

先輩と連れが顔を見合わせていると、震える声で友人が言ったそうだ。

「妹はあいつを連れてったのかもしれない」

二人がぞっとして友人を見ると、さらに言葉を続けた。

「遺書に書いてあった。あいつと子供と、三人で暮らしたかったって」

後日、先輩が語ったのは、多分、その友人がホストを殺したんじゃないかな、
とのことだった。

先輩も、その友人と連絡が取れなくなって、数年たつという。


鏡の中の話

鏡の中の話だ。
小さい頃、俺は何時も鏡に向かって話し掛けていたという。
もちろん、俺自身にはハッキリとした記憶は無いが、親戚が集まるような
場面になると決まって誰かがその話を始める。
近所には同じ年くらいの子供が居なかったので、寂しくて鏡の自分に
語りかけていた。そういう事になっている。

事実は違っているが親や親戚に話せるはずも無い。
だから、ここに書いてみようと思う。他の板なら頭がオカシイと思われる
だろう。でも、この板のこのスレッドなら平気だ。
俺はただ、誰かに話したかっただけで、相談に乗って欲しいわけじゃないし、
暇つぶしに読む人も居るかもしれない。どうせ誰にも解決できない。

小さい頃の記憶は曖昧なので書きようが無い。
はっきり鏡に人影らしきものが映るようになったのは、中学の頃だった。
昼も夜も無い。鏡を見ていると、俺の後ろに誰かが横切ったり、
誰かが覗き込んでいるような顔が映るようになった。

そうなると人の視線を感じたり、気配を感じるようになる。
落ち着けないし、深い眠りにつくことも出来なくなった。
気の所為かもしれないが、俺は自分の部屋から鏡を無くした。
それは一月程で消えた。すっかり見ることも無くなって忘れていた。

十年経って、俺は一人暮らしを始めた。
先週の事だ。夜中に車を運転していてルームミラーに目をやると、
そこに人の顔があった。急ブレーキで停車し、後部シートを振り返ったが
誰もいない。だが、ミラーの中の顔は消えずに俺を見ていた。
不思議なことに、前髪がミラーから生えてユラユラ揺れている。

やっと気がついた。
鏡に映っている訳じゃない。鏡の中から俺を見ていたんだと。
車をそこに置き、一時間かけて歩いて帰った。
今、テレビから這い出してくる貞子の映画を思い出している。
正直言って正気でいる自信が無い。


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