Archive for 6月 3rd, 2010

廃屋探検

オカルト仲間のMから

「廃屋探検に行こう」

と電話があった。霊感看護師のYさんも一緒とのこと。夜勤明けのYさんと病院のロビーで待ち合わせる。

「“見える”人にとってはココもお化け屋敷みたいなもんやけどねー」

Yさんは私の隣を指して、ほら、Sちゃん(私)お婆ちゃんにぶつかりそう、と笑った。(0感の私には何も見えなかった)

買い物して食事して、メインイベントの廃屋探検に向かう。そこは意外と街なかにあったけど、まわりをうっそうと茂った雑木林が覆ってるので結構雰囲気あっ た。田舎の古い日本家屋な感じの建物で、噂じゃ幽霊もでるとかでないとか。

木の引き戸をこじあけて入ると、雨戸が閉まってるんで昼間でもかな~り薄暗い。ふた部屋抜けた奥に階段があったので上がってみる。一階はそうでもなかった けど、上の階はゴミ屋敷かってくらい家財道具が散乱してた。ほこりもひどいし暗いしなので雨戸をちょびっと開けた。

Yさんはなにかピンとくるものがあったのか、床にちらばったガラクタを手にとって品定めし始めた。私はなにもピンとくるものがなかったんで適当に家捜しし た。っても2階はYさんのいる部屋の横に書斎みたいな小さい部屋があるだけだった。

書斎の文机(って言うの?)に古めかしい電気スタンドがあって、紐をひくと明かりついたんでそこいらに落ちてる手紙ひろって読んで見よう…としたけど昔の 崩した字でなにがなにやら。

ちょっと飽きてきて携帯プレイヤーで音楽なんぞ聴いていたら、

「やったー!」

とYさんの歓声。

なによ何よ?と寄っていったMと私はギョッとなった。

「Yさん…それ骨壷じゃないとですか?」「ちょ、イカンでしょうそれは!」

しかしYさんはニコニコして

「これ探しとったんよー」

と凄くうれしそう。変、なんか変。いつもと違う。まさかなんか憑いた?でもまだ時計は昼の2時さしてるしーここで自分の行動に違和感。

…あれ、私なんで廃屋の掛け時計なんかみて安心してんの?もうとっくに停まったままだろうに。

ふと雨戸の外を見てもっかいギョッとなる。日が暮れかけてる。薄闇せまってる。

え?なんで?こんないつのまに何時間も過ぎてんの?1時間もいなかったはず。

「撤退!撤退しよ!Yさんそげなもん置いてこう!」

MがYさんの手から壷をもぎとった。抵抗するかとおもわれたYさんだが、ちょっと残念そうな顔をしただけで私たちと一緒にきてくれた。点けたままのハズの スタンドはいつの間にか消えてた。大体こんな廃屋に電気なんてまだ通ってたんだろうか。

「…あ、いけん、雨戸あけたままやった」

階段下りたところでYさんがつぶやいた。

ちょっと閉めてくる、といい残してあがっていった。

「戸締りしとかんと○○さんにがられる(怒られる)けんねー」

とかいいながら。○○、は聞いた事もない名前だった。

私とMはじりじりしながらYさんを待った、が、降りてくる気配はいっこうにない。

「ちょっと行ってみてくるわ」

しびれを切らしたMが階段を登っていく。私はもう逃げ出したい一心で出口の引き戸のとこまで後退した。はよ来い。はよ二人とも降りて来い。だが降りてくる どころか2階からは物音ひとつきこえない。

もう駄目、トンズラこきます、外で待たせてちょうだい、臆病者でゴメン!引き戸に手をかけ、一気に……あ、あれ?

「えぇ?開かんよ!?」

なして?多少はガタついてたけど入るときはちゃんと開いたのに!

そしてそれが合図だったみたいに、階段からミシリ、と音がした。

みしり、 みしり、 みしり、 ひとりぶんの足音がゆっくり階段をおりてくる。

コイツはYさんでもMでもない、と直感した。なぜだか○○さん、という言葉が頭に浮かんだ。日が落ちて隙間からも明かりが入らなくなった一階はもうほとん ど闇。手元もよくみえない。その闇の奥のほうから足音がゆっくり、確実にこっちにむかってくる。

半泣きになりながら戸をひっぱる、お願い、開いて、あんなの会いたくない!開けって!たのむから!だが「それ」は私の背後にすごく嫌な気配をともなって迫 り、そして、肩に…

てところで汗びっしょりで目がさめた。あ、あはは、夢かよオイ驚かせやがって。

疲れてんのかなー最近、と朝食かっこんでるとメールがあった。

『廃屋探検のおさそい☆です』 Mから。

…外からながめるくらいなら、行ってもいいかな、と思っている。


絵馬

476 ○○ 2005/10/27(木) 22:23:15 ID:vYtCijxl0
8年ほど前、オレが専門学校に通っていた頃の話。
そのころは専門学校生で、学校でつるんでる仲間とよく心霊スポットに行ってた。
別に大好きって訳でもなくて、特に行くとこもなくてただドライブしてるだけもつまんないので、
適当な目的地として心霊スポットを選んでるってだけだった。
「うぉ~怖ぇ~」とかその場のノリで言ってはみるものの、別に怖いなんて思ったことは一度もなかった。

477 ○○ 2005/10/27(木) 22:24:25 ID:vYtCijxl0
そんなころ、友達が車を買ったというのでその新車でドライブに行く事になった。
「またKダム行く?」
「もう心霊スポットええよ~。別に女の子おるわけじゃなし。」
「行くとこないじゃん。米軍基地でも行こうか?」
あらかた近場の心霊スポットは行き尽くしたオレたちは、そんなこと話ながらドライブしてた。
「そういえば!」
と、友達が話はじめた。
「YってとこにS峰ってとこあるらしいんじゃけど、そこなんか怖いらしいで。」
「へぇ、どんないわくがあるん?」
聞くと、なんでもYって場所は縁結びの神様が祭られてる神社があるそうなんだが、
そこである女が好きな男への思いを願いつづけたが、ついぞ叶わず、その神様を呪うという遺書を残して身を投げたとこなんだそうな。
「ええじゃん!行こうや!」
「でも場所がいまいちようわからんわ。Yは分かるけど、S峰って聞いた事ないよ。」
「ええよ、コンビニで聞こw」
別に目的地につけずとも、何か探すっていう目的でよかった。オレら流の遊び方。

478 ○○ 2005/10/27(木) 22:25:22 ID:vYtCijxl0
Yは少し遠かったけれども、夜は道もすいててそんなに時間はかからなかった。
オレらは適当なコンビニを見つけて、S峰を探すことにした。
友達2人は売り物の地図を広げて、オレは店員に聞いてみた。
「すんません、ここらでS峰って知りません?」
「あぁ、S峰。ありますよ。」
そういって店員は詳しい行き方を教えてくれた。
「そこって神社あります?」
「あぁ、T神社でしょ?今から行くんですか?」
「そうそう、なんか怖いらしいから、、、。」
「怖いですよ。あそこは。」
店員の口ぶりに興味をひかれた。
「え?店員さんもいったことあるの?」
「ええ、絵馬でしょ?」
「絵馬、、、?」

480 ○○ 2005/10/27(木) 22:26:08 ID:vYtCijxl0
「ええ、絵馬の遺書。」
「ナニそれ?絵馬に遺書が書いてあるんですか?」
「そうですよ、右側のかけるとこの一番下の右から、、、3番目くらいかな?一番奥。でももうさすがにないかな?」
「そこにあるの!?」
「ええ、オレは見たんですけどね。ま、今から行くんでしょ。もし見られなかったら何が書いてあったか教えますよ。大体覚えてるから。帰りもここ通るんで しょ?」
「そんなん見て大丈夫なん?」
「はずしちゃダメらしいですよ。オレはびびってはずせんかった。できたら外してみて下さいよ。」
またまた~、なんて店員と談笑していると、
「おい、場所わかった?」
と、友達が地図をしまって話しかけてきた。
「おう、店員さんが教えてくれたわ。ついでにおもろい話も。」
「ホンマ?地図載ってなかったーや。分かったんなら行こうや。」
「OK!OK!おもろい話したるけーの!」
ただ出るのは悪かったので、缶コーヒーを一本買って店を後にした。

481 ○○ 2005/10/27(木) 22:27:08 ID:vYtCijxl0
オレはさっき店員から聞いた話を走る車の中でコーヒーを飲みながら友達に話した。
「それマジで?やばいんじゃないん?」
「まぁはずすまーや。見るだけならええんと。」
「外したらどうなるか知りたいわ。○○ちゃん外してみてや。」
「お前店員と同じ事言よるわw」
そんな話をしながら、店員に教えてもらった通り車を走らせた。
「お、アレじゃないん?」
神社らしきものが見えてきた。そこは結構山を上ったとこで、神社はちょうど頂上付近に建ってるって感じだった。
その辺り一帯がたぶんS峰なんだと思う。
オレ達は車を停め、神社に入ったが、
神社は思ったより奇麗でなんだか拍子抜けしてしまった。

482 ○○ 2005/10/27(木) 22:27:57 ID:vYtCijxl0
「なんか心霊スポットって感じでもないのー。」
「おぉ、これならW(近所の地名)の神社のがよっぽど怖いで。」
「まぁ、絵馬探してみようや。」
絵馬がかけてある掲示板みたいなものはすぐに見つかった。
幅2メートル弱くらいのものが2つならんでいた。
「右側の一番下の右から2~3番目、、、」
絵馬は掲示板全体に、ギッシリといった感じでかけられていたが、
店員が言った箇所に目をやるとちょっとおかしい。
「あった?」
「いや、ないけど、、、何コレ?」
右側の掲示板、一番下の一番右。絵馬をかける釘の根元に、なんだか郵便ポストのような、ロッカーのような、
いや、まるでビルの配線やらが入ってて、丸いとこを押して取手を出して開くやつみたいな(わかってもらえるか、、、)。
そんなものが取り付けられていて、蓋に開いた小さな穴を通って釘は打ち付けられていた。
その蓋の両端は耳みたいに取手が出してあって、それぞれ南京錠がしてあった。

483 ○○ 2005/10/27(木) 22:28:48 ID:vYtCijxl0
「、、、?」
「こん中に遺書が入っとるとか、、、?」
「、、、!そうじゃ、きっとそうじゃ!うぉ、これ怖いw」
中に目的のそれが入っていると確信して妙にテンションがあがったオレらは、
そのロッカーみたいな、箱をはずしてみようとなった。
箱は掲示板には釘で打ち付けられているだけだったので、
みんなで引っ張ればはずれそうな気がした。
最初に、外に掛かってる絵馬を全部はずして、
車からもってきたマイナスドライバーで箱の打ち付けられている部分を持ち上げて、
指が入るくらいの隙間になってからみんなで引っ張った。
バキッ!と音がして箱が外れた。
「うぉ!外れた!」

484 ○○ 2005/10/27(木) 22:29:39 ID:vYtCijxl0
中には明らかに他のものより古い、黒ずんだ絵馬が入っていた。
みんな最初は黙ってみていたが、オレは絵馬に顔を近づけよく見てみた。
何も書いてない、、、裏返してみると、字らしきものが書いてある、、、。
みんなも顔を近づけた。
「おい、火ぃ点けて。見えんわ。」
友達がライターの火で絵馬を灯す。

大好きなYさん
大好きなYさん
祈ったのに
離れて行った
裏切られた
許さない

485 ○○ 2005/10/27(木) 22:30:25 ID:vYtCijxl0
「!!!」
みんな絶句した、、これは怖い!
「うぉ~~!怖ぇ~~~~!!!!」
テンションが上がったオレは調子にのってオーバーリアクションをしてしまった。
手に持っていた絵馬がオレが振った手に引っかかってポーンと飛んで行った。
「あっ!」
カツンと音を立てて落ちる絵馬。
オレは急いで拾い、すぐにもとの場所にかけた。
「、、、。やべ。」
「、、、さすが○○ちゃん。」
「いや、ホンマにわざとじゃないんよ、ちょっと調子乗ってもうて、、、」
友達に言い訳をしてもしょうがないのだが、なんだか怖くてそんなことを言った。
「ヤバいんかね?」
「、、、。ま、迷信じゃろ。なんもないよ、こんなもん。」
ちょっとビビりはじめたオレに気を使ってくれる友達にちょっとホッとしたその瞬間、

486 ○○ 2005/10/27(木) 22:31:20 ID:vYtCijxl0
「こりゃ~~~~~~~~~~~!!!!!」
ものすごい怒鳴り声!
オレは腰を抜かしてそこにへたり込んでしまった。
「また冷やかしかと思ったら、まさか外しおるとは、、、こんの馬鹿もんがぁ!!!」
いきなり怒鳴ったオッサンが神社の人だってのはすぐにわかった。
いい歳こいて、こんなところ見つかるなんて情けない、、、。
警察呼ばれたらヤバイかも、、、。
「すんません、、、。」X3
みんな謝るフリして、逃げるタイミングを目くばせして計ってた。
するとオッサンは、
「外したか?」
「あ、、。あの、、、はい。」
「箱外したんは見りゃ分かるわ!!絵馬じゃ!!絵馬は外しとらんじゃろうのぉ!!!」

487 ○○ 2005/10/27(木) 22:31:59 ID:vYtCijxl0
「あの、、、ちょっとだけ、、、ほんのちょっと。すぐに戻しましたよ。」
「、、、。」
オッサンは押し黙って、フゥーッとため息をついた。
「だれなら?外したんは。」
「オレ、、、です、、。」
「ちょっと来い。」
「いや、ホンマにすいません。出来心で。箱も直しますから、、、。ごめんなさい、、、。」
「えぇけ~、来い言うとろうが!」
オッサンはいかにも神社の人って格好をしているのに、まくしたてる様子はまるでヤクザだった。
オレは仕方なく、言うがままついて行った。
その時オレを置いて逃げようかどうしようか迷っていた友達の様子がとても憎らしかった。

488 ○○ 2005/10/27(木) 22:32:37 ID:vYtCijxl0
結局友達2人もついてきて、オレらは神社の裏手の建物の中に連れてこられた。
「さてと。」
オッサンは正座しているオレの前にしゃなりと座って、じっとオレの目を見た。
顔が怖くて目をそらしたかったが、そらしてはいけないような気がしてオレもオッサンの目をじっと見ていた。
しばらくして、
「あんたぁ、男前じゃの。」
「は?」
「彼女はおるんかい。」
「え?、、、ええ、一応。」
「好きなんかいの。」
「???、、、、ええ、まぁ、、。」
訳のわからない質問に困惑したが、なんとなく心配になって聞き返した。
「あの、、、彼女がなんかまずいことにでもなるんですか?」
「ん~、もしかしたら調子壊すかもしれん。」
「えぇ?なんで?」

489 ○○ 2005/10/27(木) 22:33:16 ID:vYtCijxl0
「あんたぁ、あそこまでしたんならあの絵馬が何か知っとるんじゃろ?」
「えぇ、噂で、、、。」
「あの絵馬があそこにかかっとるうちはの、女も悪さはせん。決して安らかな訳ではないがの。外すととたんに悪さをするんじゃ。自殺したもんもおる。」
「、、、、。」
オレは絶句した。
「オレらもヤバいんですか?」
後ろの友達2人が聞くと、
「ちょっと外れたくらいなら、あんたらは大丈夫じゃ。でもあんたは、ちょっと悪さされるかもしれん。あんたぁ男前なけー、もしかすると女を狙われるかもし れん。」
「ちょ、ちょっと、どうすればいいんですか!?」
幽霊なんか信じない。そう信じていたオレは、もう完全に霊の存在を肯定していた。

490 ○○ 2005/10/27(木) 22:33:53 ID:vYtCijxl0
「あんたに影が見えん。女の所に飛んだのかもしれん。もしかしたらなんもないかもしれん。女が調子悪くなったら、病院行く前にここに来い。」
オッサンは棚からメモ用紙を取り出し、電話番号を書いてオレにくれた。
「ええか?次悪さしたら警察突き出すけんの?わったか!?」
「ハイ!」X3
いい返事をして頭を下げて帰ろうとするオレらを呼び止めて、オッサンは工具一式を持ってきた。
「直して行け。」
オレたちは外した箱の修理をやらされた。まぁ当然と言えば当然なんだが、、、。
捲れた板をボンドでひっつけている途中、目の前で揺れる古びた絵馬が怖くて、マジで帰りたかった。
絵馬に箱をそっと被せて、釘を打ち直した。
「こりゃ、どうにかせんとのぅ、、、。」
オッサンが後でつぶやいた。

491 ○○ 2005/10/27(木) 22:34:41 ID:vYtCijxl0
その日は、なんだか大変なことをしたと思ったが、なんか実感がなかった。
帰りの車の中でも、
「いや~○○ちゃんはやる思うたよ。さすがじゃーや。うぉ、怖ぇ~~、ポーン!じゃもんの~、オレできんわ。」
「いや、マジでびびってもうたよ。でも正直オッサンのが怖かったけど。」
「ホンマよ、なんやあれ、ヤクザか思うたーや。」
緊張感などまるでなく、解放された安堵で逆にハイテンションだった。
「☆ちゃん(オレの彼女)も大丈夫よ、あんなぁ脅かすために言うたんじゃーや。」
オレも、まぁないだろう、、、と思っていた。
帰りに行きによったコンビニによって、店員に絵馬を外したと報告して帰った。
店員はどうなったか聞いてきたが、何もなかったと言うと、なぁ~んだと言った感じで笑っていた。

492 ○○ 2005/10/27(木) 22:35:26 ID:vYtCijxl0
次の日、一応心配だったオレは彼女に電話をして体調を確認した。
そんなことを聞いてくるオレを彼女は不思議に思って、何かあったのかと聞いてきたが、元気そうだったので次の日の休日に会う約束をして電話を切った。
その晩、彼女から電話があった。
「○○ちゃん?ごめん明日会えんかも」
「え?どした?」
ドキッとした。
「なんか風邪ひいたみたい。熱あるし、寒気もする、、、。治ったらいいんじゃけど、なんかひどくなりそうで、、、。もしダメじゃったらごめんね。」
オレは急に怖くなった。
「そう、、、あったかくして、今日はもう寝ーや。」
電話を切ってオレはすぐにオッサンにもらったメモがちゃんとあるか確認した。
電話番号を携帯のメモリーに入れて、メモも財布に入れておいた。
もし明日彼女の体調がやばかったら電話をしよう、、、。

493 ○○ 2005/10/27(木) 22:36:15 ID:vYtCijxl0
次の日、昼前に起きて彼女に電話を入れてみた。
何回かかけたが、出ない。
しばらく待ってまたかけた。さらに待ってまたかけた。
全く電話にでない彼女が心配になって、バイクで彼女の家に行った。
彼女は実家暮らしで実家の番号は知らなかった。
彼女の家について、チャイムを押そうとしたその時、玄関がガチャリと開いて、彼女を背負ったお父さんが出てきた。
「☆っ!、、、!」
お父さんはオレを見て、
「☆の友達?今はちょっと、、体調が悪いんじゃ。病院につれて行くけー。」
背負われている彼女は意識があるのか、ないのかもよくわからなくて、口をぱくぱくさせてやっと呼吸をしているといった感じだった。
(これは電話をしないと、、、。)

494 ○○ 2005/10/27(木) 22:36:57 ID:vYtCijxl0
すぐに携帯を取り出して、神社の番号に電話をかけた。
玄関から半ベソのお母さんが出てきて、お父さんにかけより、
「あなた、、救急車呼ぼう!」
「車の方が早い!」
なんて言い争いをしていた。それを聞いてオレはパニックになりかけてた。
『T神社です。』
「あの、○○と申します、神主さんを、、、Jさん(オッサン)を、、、!」
『は、はぁ、少々お待ちを』
保留音が2~3秒流れすぐにオッサンが出た、
『もしもし、大丈夫か?』
「彼女が、、、☆が、、、、!!」
『落ち着け!すぐに来れるか!』
「はい、すぐに、、すぐに行くから、、、助けて下さい!」
『すぐに来い!車か?気をつけぇ。それと、これは携帯電話か?』
「そうです、、、」
『じゃあ切るな!このまま彼女の耳に押し当ててわしの声が聞こえるようにせぇ!』
「わ、わかりました。」

495 ○○ 2005/10/27(木) 22:37:50 ID:vYtCijxl0
携帯を自分の耳からはなしたオレに両親はすぐ詰め寄ってきた。
「お、おい、今の話はなんや!どういうことや!」
「車で話します!だから、、、車貸して下さい!スグに!」
気づくとオレはベソかいて涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだった。
「病院に行くんじゃないんか?訳を話せ!」
「神社に行くんです!オレが幽霊にちょっかい出したんです!そのせいで彼女がこうなってるんです!お祓いしてもらうんじゃ!スグ行かんと!!」
オレはまくしたてた。
オレのすごいけんまくに、両親も押され気味で困惑していた。
さすがにいきなり幽霊とか言われりゃ困惑するだろうが、、、。
「何言ってるの、、、病院行かなきゃ、、、!!あなた!!」
迷うお父さんの背中から、☆がふと目を開けてオレを見て言った。
「Yさん、、、」
絵馬にあった名前、、、大好きなYさん、、、オレは血の気がひいた。
両親を殴り倒して車を奪ってでも神社に行かなきゃ。
「行こう。」
急にお父さんが娘を車にのせた。

496 ○○ 2005/10/27(木) 22:38:51 ID:vYtCijxl0
「君が運転してくれ。」
オレはすぐに車に乗り込んだ。
お母さんは、
「あなた!本気!?どういうこと!?」
と錯乱気味だ。
お母さんも乗り込んできて運転席のオレにつかみかかるが、オレは構うもんかと車を発車させた。
そしてもめている両親の怒号を打ち消すような大声で叫んだ。
「この携帯電話を☆の耳に当ててくれ!!」
キーキー騒ぎ立てる母親を静止して、お父さんは携帯電話を彼女の耳にあてた。
すると彼女は苦しみ出した様子で、お母さんはもう狂ったように、
「やめてー!やめてー!」
と叫んでいた。
「これは、なんや!なんでこんなことするんや!」
「神社の神主さんがそうしろって!オレもわかりません、、!」
車の中はしばらく騒々しかったが、やがてお母さんも落ち着いてきて(というか疲れてきたというか、、、)お父さんは詳細を把握しようとオレに経緯を訪ね た。
オレは神社のこと、女と絵馬のこと、そしてあの夜のことを話した。
両親は信じがたかったろうが、特に反論もせず、それからはしきりに彼女の名前を呼んで励ましていた。

497 ○○ 2005/10/27(木) 22:39:32 ID:vYtCijxl0
神社につくと、オレは彼女の耳から携帯をとり自分の耳にあてた、
電話からは、オッサンのお経のような、呪文のような、そんな声が聞こえる。
「つきました!」
『~~~、、!そうか!すぐに前お前が入った建物まで運べ!』
オレとお父さんで急いで彼女を神社の裏手の建物に運んだ。
オッサンはなんか、神々しい格好をしていて、頼もしかった。
「彼女をここに!」
言われた通り、彼女をオッサンの前の布がひかれた場所に寝かせる。
オッサンはお経のような、呪文のような、歌のような。そんな言葉を発しながら、彼女の身体に手をかざしたりしはじめた。
たまに普通の日本語っぽい言葉も聞こえた。
そのうち彼女に変化があった。
「うぅ~~、うぉおお~~。」

498 ○○ 2005/10/27(木) 22:40:13 ID:vYtCijxl0
うなり声があがったと思うと、彼女は目を見開いて
「またかー!またかー!おのれー!おのれー!」
とすごい形相で叫び出した。身体は反り返り、たまにドスンと床に落ち、すぐ反り返る。
お母さんはその様子を見て気を失ってしまった。
オレももう身体がありえないくらい震えていた。
「違う!違うぞ!この男は違うのだー!」
「ヒャーッ!ヒャーッ!Y~~~~~!Y~~~~~!」
卒倒寸前のオレをオッサンはいきなり捕まえて、
彼女の目の前に突き出した。
「よく見るがいい!おまえの愛した男か!違うであろう!」
すごい彼女の形相。いや、これはあの女の顔なのか。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、違うんです、ごめんなさい、、、」
オレは絵馬を外したことを心のそこから謝った。

499 ○○ 2005/10/27(木) 22:40:50 ID:vYtCijxl0
「~~~~~~~~~~~~~~~~。」
声にならない声で唸っている彼女、、、そのうちそれはすすり泣きのようになっていった。
オッサンはそれをみはからったように、彼女の横にそっとしゃがみこみ、今迄とはくらべものにならないくらい小さな声で語りかけていた。
オレは腰が抜けて放心状態だった。横では彼女のお父さんもへたり込んでいた。
やがて、彼女はだんだん落ち着いた様子になり、オッサンは最後の仕上げとでもいうように、立ち上がり、またお経のようなものを呼んで、オレらの前にしゃな りと正座した。
「もう、大丈夫です。」
それを聞いてオレは涙がボロボロ出た。声をあげて泣きじゃくってしまった。
お父さんとオッサンがいろいろ話をしていたようだが、よく聞いていない。

彼女は気を失ったままで、意識が戻ってからでいいので、病院に行くようにと言われたらしい。
オッサンは帰り際にオレに話した。

500 ○○@終わりです。 2005/10/27(木) 22:42:02 ID:vYtCijxl0
「正直あの程度でここまでつかれるとは思わんかった。あんたぁ、よっぼど気に入られたんじゃのぉ。もう祓ったから心配いらん。
が、もう彼女には会うな。未練はそうとうなもんじゃ。またあんたと一緒におればああなるかも知らん。もう会うな。お互いの為じゃ。気の毒じゃがそう せぇ。」
彼女のことは好きだったので、ショックだったが、やむを得ないと思った。
オッサンは続けて、
「できればの、、、引っ越せ。この土地を離れぇ。それが一番安全じゃ。もとはと言えばあんたの軽はずみな行動が原因じゃ、反省せぇ。」
引っ越しはちょっと、、、と思ったが、やっぱりやむを得ないと思った。学校もやめなきゃ、、、。
その後彼女の両親に送ってもらった。お父さんは、こうなったのは君のせいだが、助けてくれたのも君だから礼を言う、と言ってくれた。
お母さんはずっと黙ってた。
オレは両親にもう彼女とは別れ、自分もこの土地を後にし、戻らないと約束した。
お別れも言えないなんてつらくて涙が出た。

その後オレは学校をやめて地元に戻り就職した。
その頃つるんでいた友達(心霊スポットを一緒に回った友達2人も)もちょくちょく遊びに来てくれたが、
誰も彼女のことや、あの夜の後日談に触れるやつはいなかった。


和菓子屋の取材

私は編集者をしており、主にイベントや食べ物屋さんなどの紹介記事を書いています。
こちらから掲載をお願いする事もあれば、読者からの情報を参考にしたり、その他お店からハガキFAXや、電話などで掲載以来を受ける事もあり、その場合、 なんとなく興味がわいたら取材に行くという感じ。
お店を選ぶ基準は、このお店なら色々書くことありそうだな~、こっちのお店はなんかいまいちだな~といったフィーリングによるものが大きいです。

ある日、締め切り明けで暇になり、みんなどこかに遊びに行ったり、得意先まわりに行ったりで編集部からほとんど人が消えました。
私は特に行く所もなく、何か面白いことないかな~と、その日届いた読者からのハガキを眺めていました。
その中にあった一通の封筒の中には、1枚の写真と便せん。
写真にはいかにも老舗って感じの古めかしい和菓子屋さんが写っていました。

便せんには、なんだかインクのしみというか…
書いて乾かないうちにこすってしまったような…
とにかく汚い字で「おいしいですよ ぜひ来てください」と書かれているだけです。
なんだか気味が悪かったんですが、逆にちょっと興味を引かれ、「暇だしのぞくくらいならいいか」という気分になりました。
「来てください」というなら恐らく自薦だろうと、便せんに書かれた住所を見て、だいたいの位置を把握しました。
…いつもは道路地図やネットで(最低でも店の名前くらいは)調べてから行くのですが、その時は暇だったのもあり、なんだか調べるのが面倒にだったんです。
見つからなければそれでいいや、くらいの軽い気持ちで出かけました。

1時間ほど車を走らせ、目的地周辺まで到着した私は、近くにあったスーパーに車を止め、そこからは徒歩で探す事にしました。
写真を見ながらてくてく歩く事、十数分。
だいたいの住所はこの辺だな…と見回すも、そこは閑静な住宅街といった感じで和菓子屋さんなんてありゃしません。
裏道かな?とわき道にそれると、一軒の(恐らく)空き家がありました。
雨戸は閉められ、庭は荒れ果て雑草が生い茂り、一目見ればわかるじめっとした雰囲気。
なんだか気持ち悪くなり目を逸らすと、突然上の方から視線を感じました。
はっとその方向を見ると、2階の一室だけ、雨戸が閉められていない窓がありました。
まさか人がいるのか…と、余計に気味が悪くなり、早々にその場から立ち去りました。

しばらく周辺を歩くもやはり写真のお店は見つからず、そのまま少しはなれた商店街まできてしまいました。
私は近くの雑貨屋さんに入り、ジュースを買うついでに店主のおじいさんに写真を見せ、詳しい場所を聞いてみました。
おじいさんは写真を見るなり怪訝そうな顔でしばらく考え込み、思い出したように言いました。

「ああ、これ、○○さんとこか!で、あんた、この写真どうしたの?」
「あ、私Aという雑誌の編集者なんですよ。それで、そのお店の取材に行こうと思いまして。写真はそのお店の方が送って来てくれたんですが」
「んん?そんなわけ無いよ。この店、10年くらい前に火事おこして焼けちゃったから」
「え!?…お店の方は?」
「みんなそれで焼け死んじゃったと思うけどなあ」
「…それで今はその場所、どうなってるんですか」
「そのあと新しく家は建って誰かしら引っ越して来たんだけど…
いや、まあ、その家族なんだかで長くしないうち引っ越しちまったから、いまは空き家だよ。しかしタチの悪いイタズラだなあ」

空き家…先程の家かもしれませんが、視線を感じたこともあり、確認するのが恐かったので、おじいさんにお礼を言い、そのまま編集部に帰りました。
帰って来ていた編集長に事の経緯を話し、例の封筒を見せようとカバンの中をあさりましたが、なぜか無いんです。
どこかに落としたのかもしれません。
車の中か?と戻ろうとすると、「多分無いと思うよ、それ」と編集長に引き止められました。

「5、6年前かな。俺が新人の頃さ、同じようなことがあったんだよな。そこに行ったのは俺じゃなくて先輩だったんだけど」
「あ、そうなんですか。行ったのはどなたですか?」
「いや、もういない。取材に行ったきり帰ってこなかったんだよ。××町の和菓子屋さん行くわってふらっと出掛けたっきり。
当時はけっこう大騒ぎになったんだよね。車ごと消えたから。先輩も車も、結局見つからなくてさ。
で、俺は先輩が行く前にその封筒も中身も見たんだけど、お前が言ってたのとだいたい同じ感じだったかな。
先輩のは確か「きてください」としか書いてなかったんだけどね。もちろん、いたずらかもしれないけどさ。気味が悪いよなあ。」

…その後、車の中を探しましたがあの封筒は見つからず…。
誰があの封筒を送って来たのか、なぜその先輩が消えたのか、私が呼ばれたのはなぜなのか…結局わからないままです。
それから3年たちましたが、郵便が届くたびにあの封筒が来ないか、ビクビクしています。


放課後のかくれんぼ

これは私の父が小学生の頃に体験した話です。

放課後、いつものように友人5人と学校でかくれんぼをしていました。(早く帰らなければ先生達から叱られる為、数分で終わるかくれんぼを毎日一回だけして 帰っていました)

その日はジャンケンで父が負け、教室の後ろでしゃがみ込み、顔を手で覆いながら30秒数えていました。

「…にーじゅきゅー、さーんじゅ!もーいーいかーい?」

『まあだーだよー』

そう返されたので、また父は数え始めました。

「…よんじゅはーち、よんじゅきゅー、ごーじゅ!もーいーいかーい!」

『まあだーだよー』

今度は遠くからそう返され、今度は早口で数え始めました。

「ごーじゅはーち、ごーじゅきゅ、ろーくじゅ!もーいーいかーい!」

『もーいーいよ?』

何故かすぐ頭上から声が聞こえました。

上には隠れる場所なんてなく、ましてや最後の声は聞き慣れた友人の声ではないのです。

みすみす自分の隠れた場所から声を出すなんて事はしないのです。

いつもなら問い掛けた後に返事がなければ探しにいけるのです。

そのまま父が固まっていると、どれぐらい経ったか、廊下から走ってくる多数の足音が聞こえました。

「あー、もうお前何やってんだよー」

「○○(担任の名前)に先に見つけられたよ、あーあ」

「あーあ」

「おい、聞いてんの!?」

「○○(父の名前)?」

その時父は酷い顔で泣いていた為、すぐ手をどけられませんでした。

恐怖より友人達が来てくれた安堵で泣いてしまったそうです。

普段、泣く事がなかった父の酷い泣き顔を見た担任に驚かれながら、その日は家まで送ってもらいました。

後日、友人5人にその恐怖体験を話すと、それから卒業するまでかくれんぼをしようと言い出す友人はいませんでした。

もちろん、あの時教室には誰も隠れていませんでした。では誰が隠れていたのでしょうか。いや、隠れていたというよりは…

大人になり子をもった今でも、父は『隠れん坊』は禁断の遊びだと信じています。


菜々子ちゃんの部屋

かなり昔だが、まだレベル的に言うとHey! Say! JUMPくらいの時期の嵐がMCをしていた
「Usoジャパン」と言う番組を知ってるだろうか?

その番組の中で、うちの地元にある、ガス爆発を起こし中に住んでいた何人かが死亡した女子寮
と言うのが特集され、学生やらヤンキーやらがこぞって肝試しに侵入したりしていた。

その女子寮と言うのが特殊な作りで、とりあえず入口が左右に二つ、そこから階段を上っていくと真ん中が吹き抜けでワンフロアーに3部屋ほど、それの4階建 てになっていて、屋上まで行くと丁度真ん中に吹き抜けが続いて、一応柵越しに顔は合わせられるが左右に行き来は出来ない作りになっている。(わかりにくく てごめん)

その女子寮が特集されて数ヶ月。

やはり出ただの見ただの言い出すやからが多数いて、そいつの友達、またその友達と噂に尾鰭(おひれ)がついて、地元中がその話で持ち切りとなった。

その時に一応僕らが聞いた話はこうだった。

なんでも、右の入口から入って三階の廊下突き当たりの部屋。

ここの部屋だけ生活感たっぷりに家具やら衣服やらが綺麗に残っていて、その部屋に残っていた遺留品から出てきた名前が「菜々子」

その菜々子さんが住んでた部屋の中から電話をかけると、女の泣き声が聞こえるやら、帰りに事故を起こすやらと、どこにでもあるような在り来りの都市伝説 だった。

もちろん、僕らも噂の真偽を確かめるため、その部屋に突入して電話をかけたり、友人に至っては壁や家具を破壊し暴れていたが、帰りも事故に遭うことなく、 鼻で笑いながら女子寮の事は徐々に僕らの頭の中から忘れさられていった。

地元でも女子寮騒ぎが落ち着きだしたある夏、友人数人と公園に集まって話をしていた時、ふと一人が悪ふざけを思い付き、それを実行することにした。

その計画とは、集合に遅れて来ると言っていたM君を一人で菜々子ちゃん部屋に突入させると言ったものだった。

早速その計画の発案者HがMに電話をかけ、公園から今女子寮に向かっているからお前も直接女子寮の方に向かって来い!と嘘をつき
着いたら連絡くれ!とだけ伝え電話を切った。

その時は、Mに一人で女子寮をある程度回らせてからネタばらしと言った爆笑コースの可愛いいたずらだったのだが、後にこの事件は本気で笑えないものとなっ た。

電話をかけてから30分くらい経過したときに、ハメられていることを知らないMから着信が入った。

僕らも一人でテンパっているMのあわてふためく姿を想像し、クスクスと笑いながら電話に出た。

だが、当の本人のMの様子が少しおかしかった。

電話をとるなり
「お前ら逃げてないで早く出て来いと」わけの解らないことを言ってきた。

ここで発案者のHが
「菜々子ちゃん部屋で待ってるから早く来い」とだけ言い乱暴に電話を切った。

しかしいくら待ってもMからの電話はなかった。

流石に心配になった僕らはMに電話をかけてみた。

電話をかけてすぐに「通話」の文字がディスプレイに表示されたので、慌てて携帯に耳をやると、縄跳び?みたいな(ヒュンヒュン)と言った音と、狂ったよう な女の笑い声、それとMの「ごめんなさい、ごめんなさい」と言った半泣きの声が耳に入ってきた。

僕らは一瞬どういう状況か解らずフリーズした。だが、Hがヤバイ!!と言って突然走り出したので、とりあえずみんなHの後に続いて行った。

10分くらいで女子寮に到着し、みんな手分けしてMの捜索にとりかかった。

だが以外と早くM発見の報告が入り急いでその場所に行くと、Mは菜々子ちゃん部屋の中でうずくまりながら、しきりに「ごめんなさい」と呟いている。

そしてなぜか背中には薄汚れた麦藁帽子が乗せられていた。

どうしていいか解らず固まっている僕らを横目に、Hが「取り合えずここから連れ出そう」とMの背中に乗っていた麦藁帽子を窓の外にぶん投げたのを合図に、 皆でMを抱え込む形で女子寮を後にした。

最初に集まっていた公園にMを連れていき、少し落ち着いてきた様子のMに事のいきさつを聞いてみた。

Mは最初の電話を受けたあと、すぐに女子寮に向かった。

そして僕らの嘘を信じて一人で中に入ったらしい。

入ってすぐに上の方から話し声や笑い声が聞こえたため、Mは俺達だと思って各階、各部屋を除いて回ったらしい。

だか声はするが俺達の姿が見つからないのでMは一旦僕達に電話を入れた。

そこで菜々子ちゃん部屋に皆居ると信じたMは菜々子ちゃん部屋に走って向かった。

そして「ウラァ!!」と叫びながら勢いよくドアを開けたMの目に飛び込んできたのは、紐のようなものを持った若い女だったらしい。

時間と場所を考えてもここに女一人で居るのもおかしいし、直感的にMはヤバイと思ったらしいが金縛りに会ったように体が動かなくなり、腰を抜かしその場に へたりこんだ。

その女は血走った目でM凝視し、手に持った紐?をこれでもかと言うくらい振り回し、狂ったように笑いながら徐々にMとの距離を詰めてきた。

Mは恐怖で土下座する形で頭を抱え込み、女の笑い声を聞きながら必死に謝っていたとの事。

みんな固まった。

Hに至っては責任を感じ、オイオイ泣いていた。

しかしいつまでも公園に居る訳にはいかないので、その日は一旦解散しようと立ち上がった瞬間、その場にいた全員また固まった。

今の今までMが座っていた場所に、ついさっきHが投げ捨てた汚い麦藁帽子が、ちょこんと置かれていた。

すぐさまHがブチ切れた。

「ふざけんな、誰だ!ぶっ飛ばすぞ!!」

だが投げたH本人も気づいているが、帽子をぶん投げた後は皆でMを公園に連れて来るので必死だったので、誰も帽子を拾いになんか行っていなかった。

取り合えず、帽子をそのままにすることは出来なかったので、コンビニで食塩とライターオイルを買ってきて、皆で手を合わせながら帽子焼いた。

そしてMをHが送っていく形でその日は家に帰った。

次の日の朝早くHから電話がかかってきた。

寝ぼけながら電話をとると、Mが××病院に入院したとの事。

慌てて病院に向かおうとしたが、今は面会謝絶と言うことで、詳しい話を聞こうとHと合流することにした。

Hの話によると昨夜Mを家まで送り、Mの部屋で一服してから帰ろうとしたとき急にMが頭が痛いと呟き、そのままぶっ倒れたらしい。

救急車を呼び両親が付き添ってMは救急病院に搬送された。

詳しい事はHも解らずMの両親の話だと、頭の血管が破裂して今、生死の境をさ迷っている最中とのこと。

Hはその間ずっと病院の外に設置してある小さい祠の前でMの無事を祈っていた。

Mが倒れてから3日後なんとか峠を越えたと両親から聞かされたとき僕達は緊張の糸が切れたことと安堵感で号泣した。

Mはその時の後遺症で少し滑舌が悪くなったが今も元気だ。

ちょっとした悪ふざけのつもりがこんな事になってしまったので、あれから僕達は心霊スポットと呼ばれるところに一切近づいていない。

あれが霊のせいだとは言い切れないが、みなさんも心霊スポットには注意した方がいい。


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