関西方面のある有名なホテルで。
2泊3日の旅行で泊まることになった。

1日目に3時過ぎにチェックインして部屋に向かい、何故か入った瞬間にいきなり咳き込む。

テレビのチャンネルや電灯のスイッチやデジタル時計が置いてある棚の上に、少し古めの小型ラジオが置いてある。
このご時勢にラジオが置かれてることに少し驚きつつも、チャンネルに手を伸ばしテレビをつけるといきなり映ったのは砂嵐。

結構有名なホテルだったので、最近のテレビが設置してある。
だからテレビをつけて直ぐに映るのはそのホテルの案内映像だと思ってただけに少し複雑な気持ちに。

ましてや客を通す際にせめて砂嵐以外のチャンネルにしててくれよ。
などと思いながらもゆったりとソファーに座りテレビを観る。

その後、妻と一緒にホテルのロビー横にある土産コーナーを少し眺め、夕食をビュッフェにするか中華にするかフランス料理にするかを悩みながら一旦部屋に戻る。
少し違和感を感じるもその時は特に分からず。

夕飯を済ませ部屋に戻り売店で買ってきたスルメと冷蔵庫の中のビールを飲みながらテレビを観てると、妻が「先にお風呂に入るね」と風呂場へ。
そこで再度違和感が。

酔ってるからか認識は出来ないが何か先程までと違う。
でも何が? それが分からない。

妻が風呂場から出てきたので自分も入りその日は寝ることに。
久しぶりにダブルベッドだし、一緒に寝ようと言い棚を挟んだ、妻のベッドへと移る途中に「ゴリッ」と音が鳴る。

何か踏んだ感触は足には無い。妻も特に何かを押し潰したような事は無い。
何の音か確かめようと足元を見るも何も無い。

1日目はそのまま寝て次の日は朝から観光に。
帰宅したのは夕飯後の7時。

部屋に入り前日同様にビールを飲みながらテレビを観てる時に、また妻が「風呂にはいるねー」と言う。
ここで予期せぬ事が。

「うん」

だとさ。

ん? 誰が?? 聞き間違いか?
俺酔ってるのかな。と思いなおし妻に

「今なんて?」

と聞き返す。

「え? お風呂先に頂きますって言ったんだけどー」

と言うので、「今そのあと返事した?」と返す。

妻は聞き流しながら風呂へ。
何か昨日から違和感があるな。と思い始めるが分からない。

すると

「ゴホン。ゴホン」

と隣の部屋から咳き込む声が聞こえる。

初めに俺もこの部屋に入った時咳き込んだけど、有名ホテルの割りには掃除怠けてるのか。
などと愚ちりながらビールを飲み干す。

あれ? 有名ホテルだよな?
ここって結構値段もして久しぶりの旅行だから良い部屋取ろうって言って選んだんだよな?

なんで横の部屋の咳払いが聞こえるんだ?
と酔いが醒める。

俺飲みすぎたか。と少し自重し妻が上がった後に風呂へ。
風呂を出て妻と一緒に寝る為ベッドへ。

電気をリモコンから消す為に電気のリモコンを「ピッ」と電気に向かって押すと

「ガガ‥ガガ…ガアアアアアアアアア」

といきなり雑音がベッドの足元から聞こえ出す。

何が起きたのか全く分からず、びくつきながら足元に向かう。
その瞬間ピッという音と共に電気が反応し消えた。

妻に「なんで消すのよ?」と言うと「私じゃないよ。リモコンもってないもん」とビクつきながら答える。

「点けて」

と言った瞬間に再度

「ガ…ガ・・・・・・・・・ダ・メ」

と雑音に紛れて音が鳴り始める。

恐怖で飛び跳ねてしまう。
怖さからリモコンを何度も上の電気に向かい流すも反応しない。

直ぐに横の棚にある電話を取りフロントへ電話をかけて番号を言い来てもらうことに。

従業員が来るまでの間、電気と雑音は鳴りやまず、チャイムが鳴り再度腰を抜かしそうになりながらもドアまで走り開けて中の様子を説明。
電気に関しては入り口に設置されてあるリモコンからすぐに点いた。

その時にベッドの足元側の下にあったものにびっくりした。
少し古い小型ラジオがそこにあり音を出してる。

従業員があっけにとられた顔で俺を見る。
俺も妻と従業員を交互に見る。

少し恥ずかしくなり「こんな壊れてるの置いとかないでよ」と従業員に言うと「え?」と言う。

「いや、お客様がご使用されたのでは?」

と言うので「一切なにもしていない」と言い、妻へ向き「使った?」と聞くも首を横へ振る。

従業員も相手にしてられないという感じでラジオを止めて失礼しました、と出て行こうとする。

その時に明らかにラジオから聞こえた音が未だに恐怖で二度とあのホテルには泊まらないって決めた。

「ぜんぶとれた?」

意味は分からんが何か怖すぎて血の気が引いた。

従業員も「え?」って向きなおしてたから俺らが言ったと思ってるのかもしれんが、俺らも全く訳分からない。

従業員が出口を出る瞬間に

「ぜぇんぶとれた??」

と二度目に聞こえた時に必死に電源を探してた彼に言いたい。

電池が一個下に落ちてるから、音出るはずないのよ。そのラジオ。