このお話は、怖いとは言えないのですが、私の家系の能力とそれに付随する呪いの話です。
私はS県の武士の家系なのですが、あるときイタコのお嫁さんを頂いたそうでして、そのイタコさんも家よりも血を守る為に嫁いだそうです。
イタコの血は脈々と受け継がれ私の元まで続いてきました。
私の祖父は本家の長男ですが養子で引き取られた後に弟が生まれ、祖母は直系ではあるのですが、本家から出た分家の血筋です。
まぁ祖父は養子で、祖母は分家、血族としては欠陥を持っていますが、分家として我が家が形成されました。
そんなわけで、我が家の女性は霊感が強いのですが、よくある話だと思うのですけれど、霊感の強い人とずっと一緒にいると霊感がなかった人にも霊感が備わるという話。
我が家ではそれを「応える」と言うのですが、私たちの場合は少し特殊なのです。
例えば多少霊感のあるAさんが祖母と仲が良いと、そのAさんには祖母の持つ霊感の癖も応えてしまうのです。
つまり、我が家の誰かと仲良くした人の霊感はその誰かと霊感が似ていくのです。
それは私にもある能力で、私はその危険を知ってしまう事件を起こしてしまいました。
今から7年前、まだ私は中学生で祖母に人と仲良くするときは気を抑えながら、とよく注意されていた私は言い付けを守り当時仲良くしていたIちゃんと遊んでいました。
Iちゃんも多少霊感のある子で見ることの出来る子でした。
逆に私はと言うと、霊感自体はあるのですが、ムラが多く、強い日は鬼の様に無駄に強いのに、弱い日はまるで零感、という迷惑極まりない能力でした(それは今でも健在です)。
私たちは気付きませんでしたが、事件後調べたら功か不幸か遠い親戚で、事件のとき知っていたならもっと気をつけてあげられたかもしれないと思うと悔やまれてなりません。
まぁ仲良くなって半年が経ったある日の事でした。
お使いに出ていた私の携帯にIちゃんの携帯から連絡が入り、出るとIちゃんがしきりに「助けて、助けて」と言うんです。
変態に襲われそうになったのか、喧嘩に巻き込まれたのかも知れないと思い、どこにいるのか尋ねると「わからない、森の中みたい」そう答えてきました。
追われて身を隠していて場所がわからなきゃ意味無いだろうと問うと「どうしてこんなところにいて、どうやってここに来たかも知らないから困ってるんだよ」と言うのです。
なんだか嫌な予感がしたのもあり、Iちゃんに今から探しに行くから無駄に動かないように指示して電話を切り、家から自転車で20分の場所にある森公園に行きました。
そこでIちゃんに電話をしましたが電波状況が悪いのか電源が切れたかわからないのですが繋がらなくなってしまいました。
もしここで発見出来なければ警察に連絡しようとまで思いましたが、Iちゃんはあっさり見つかりました。
しかし、私から見ると最悪の状態でした。
北を正位置にして考えると上下が逆の五芒星を倒れているIちゃんを中心に作られており、その五つの点に一体ずつ男性の霊が立っていました。
更にIちゃんの側にもう一体明らかにやばい奴が立っていました。
完全に近づきたくないという感情はおろか、早くここから立ち去りたいと言う感情が出て来るほど嫌な空間でした。
しかし早くIちゃんを助けなきゃという気持ちもあり、祖母を呼んで結界を崩し、Iちゃんを連れて帰りました。
祖母は家に帰るなり、私は置いて、Iちゃんを連れて出かけました。
祖母が帰って着たのは約8時間後の午前4時の事でした。Iちゃんはお家に帰したからとりあえず寝なさいと言われて、その日は床に就きました。
次の日、Iちゃんの無事を確かめたくて電話をしましたがいつまで経っても出ません。Iちゃんの自宅も同様でした。
一週間その状態が続いていたら、Iちゃんのお母さんから連絡がきて、内容はIちゃんが亡くなった(変死だった)という連絡で、お通夜やお葬式に出席して欲しいとの事でした。
あまりに突然で残酷な結末に祖母に問い質しました。助けてくれたんじゃないのか、もし無理でも先に教えてくれてもよかったのではないかと。
すると祖母は言いました。
「今回はどうしようもなかったのよ。あの子とあんたが友達になったのも悪かった。あんたのムラのある能力にあの子の能力が応えてしまったのよ。あの子はあんたと違う方法で身を守っていたんだけど、それじゃあ霊たちの思う壷だったの。あんたもこれを期に学びなさい。これ以上辛い思いをしたくないならね」
不思議と怒る気はしませんでした。ただ私のせいでIちゃんは死 んだ、私がIちゃんを殺 してしまったと思いました。
これが我が家の呪 いなのだと思いました。
それから7年、未だに特定の親友も恋人も作れていません。